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波乱
来訪者への極意~魔王監修~
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刻盤が白の十二を差し、裏返ったまさにその時、
「魔王様! 奴らが参ります!」
二度のノックの後、返事を待たず爺が執務室へ飛び込んできた。もはや日常風景と化しており、中の二人が驚くことはない。
「早いな。場所の目星はついてんのか?」
「それが……魔王様の開いた門を再現し、城の医務室に直接やってくると思われます」
「「!?」」
爺の発言には二人も驚きを隠せなかった。
「門の再現って、魔法は完全に解いただろ。どうやったんだ」
「どんな手を使ったのかは分かりかねます。奴の観測した限りは、門を出現させこちらへの進行のため備えている、と」
「――――っ。ひとまず爺は城の全員に情報共有を。私は赤ちゃんを安全な場所へ移しますので」
最初は驚いていたパインだったが、一度深呼吸をするといつも以上に冷静に指示を飛ばした。
「分かりました!」
「じゃあ俺は一足先に医務室で奴らを待ち伏せて――――」
「魔王様はこの部屋から出たら、しばらく二足歩行ができなりますのでそのつもりで」
「俺どうなっちゃうの!?」
混乱に乗じて再び訪れた人間との接触の好機に動き出そうとした魔王であったが、それを見過ごすようなパインではなかった。
再度部屋から出ないように釘を差すと、爺と共に執務室を飛び出した。
二人で階段を下り二階へ。爺は一階から館内を巡るべく階段を下へ、パインはそのまま医務室へ向かう。
医務室の扉を開けると薬品棚の対面、五台並んだベッドの左端のカーテンだけが閉まっていた。
音を立てぬように近づいてカーテンを開ければ、こんな状況など知る由もない赤子は無垢な寝顔をしていた。
「もっと静かなところに行こうね」
起こさぬように細心の注意を払いつつ赤子を抱き上げ、パインは医務室を出た。
すると廊下の奥からこちらに駆けてくるヴィエルの姿が見えた。爺から現状を聞いて一番に駆け付けたのであろう。
パインに抱きかかえられた赤子の姿を確認すると、速度を落とし息を整えながら合流した。
「パインさん、ありがとうございます。どこに移動しましょう?」
「候補が一つ。審判の間の奥なら」
「あそこって――――」
「ヴィエル、お願いできますか。私は魔王様の元へ戻らなければいけないので」
「分かりました」
二人は階段を上がり3階で別れた。パインは執務室へ戻り、ヴィエルはさらに階段を上がる。
階段の先には他の部屋とは明らかに素材が異なる重厚な扉。
そこには上半身が体毛に覆われ恐ろしい顔をした生物と美しい女性が一輪の花を互いに持っている姿があった。
巧妙な細工が施され、二人の姿が浮かび上がるように周りが掘り下げられている。
その年季の入った青紫色の扉は見た目にそぐわずすんなりと開いた。
「魔王様! 奴らが参ります!」
二度のノックの後、返事を待たず爺が執務室へ飛び込んできた。もはや日常風景と化しており、中の二人が驚くことはない。
「早いな。場所の目星はついてんのか?」
「それが……魔王様の開いた門を再現し、城の医務室に直接やってくると思われます」
「「!?」」
爺の発言には二人も驚きを隠せなかった。
「門の再現って、魔法は完全に解いただろ。どうやったんだ」
「どんな手を使ったのかは分かりかねます。奴の観測した限りは、門を出現させこちらへの進行のため備えている、と」
「――――っ。ひとまず爺は城の全員に情報共有を。私は赤ちゃんを安全な場所へ移しますので」
最初は驚いていたパインだったが、一度深呼吸をするといつも以上に冷静に指示を飛ばした。
「分かりました!」
「じゃあ俺は一足先に医務室で奴らを待ち伏せて――――」
「魔王様はこの部屋から出たら、しばらく二足歩行ができなりますのでそのつもりで」
「俺どうなっちゃうの!?」
混乱に乗じて再び訪れた人間との接触の好機に動き出そうとした魔王であったが、それを見過ごすようなパインではなかった。
再度部屋から出ないように釘を差すと、爺と共に執務室を飛び出した。
二人で階段を下り二階へ。爺は一階から館内を巡るべく階段を下へ、パインはそのまま医務室へ向かう。
医務室の扉を開けると薬品棚の対面、五台並んだベッドの左端のカーテンだけが閉まっていた。
音を立てぬように近づいてカーテンを開ければ、こんな状況など知る由もない赤子は無垢な寝顔をしていた。
「もっと静かなところに行こうね」
起こさぬように細心の注意を払いつつ赤子を抱き上げ、パインは医務室を出た。
すると廊下の奥からこちらに駆けてくるヴィエルの姿が見えた。爺から現状を聞いて一番に駆け付けたのであろう。
パインに抱きかかえられた赤子の姿を確認すると、速度を落とし息を整えながら合流した。
「パインさん、ありがとうございます。どこに移動しましょう?」
「候補が一つ。審判の間の奥なら」
「あそこって――――」
「ヴィエル、お願いできますか。私は魔王様の元へ戻らなければいけないので」
「分かりました」
二人は階段を上がり3階で別れた。パインは執務室へ戻り、ヴィエルはさらに階段を上がる。
階段の先には他の部屋とは明らかに素材が異なる重厚な扉。
そこには上半身が体毛に覆われ恐ろしい顔をした生物と美しい女性が一輪の花を互いに持っている姿があった。
巧妙な細工が施され、二人の姿が浮かび上がるように周りが掘り下げられている。
その年季の入った青紫色の扉は見た目にそぐわずすんなりと開いた。
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