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錯綜する真意
少女は語る
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私には二人の幼馴染がいる。
名前は源太と聖護。
源太は大人っぽくて、冷静。村の同世代の中でも一番先を見る力がある、けどその分臆病なところがある。
逆に聖護は考えるよりも先に体が動く。思い切りが良いけど、後先を考えないから何か起きてから困ることもしばしば。
そんな二人だけど、私は好きだ。
もちろん本人たちには口が裂けても言わないけれど。
私たちは物心ついた時から一緒にいた。
当然知らないことなんてなかった。(ふたりがやらしい本の隠し場所を秘密にしていたことは知っていたけれど訊かないであげた)
なぜ過去形なのか言えば、今目の前で私の知らないことが起きていたから。
日が落ちてきても二人の姿が見えず、それぞれのおばさまから捜索を依頼された私は、苦手な夜の雑木林へ足を運んだ。
集会所へと続く道は二人の遊び場で、林の中にある秘密基地と称した廃屋には私も何度か行ったことがある。
帰りが遅くなる時は、間違いなくそこで何か悪巧みをしてるんだ。
おばさま達にこのことを言ったら、きっともう秘密基地には行けなくなってしまうし、私も二人楽しみがなくなってしまうのは嫌だ。
だから、このか弱い私が仕方なく家まで送り届ける役目を果たしている。
今日もそのはずだった。
雑木林と集会所の中間、少し開けたその場所に佇む二人の顔は今までに見たことがないくらい強張って青白くて、思わず枝葉で切り傷ができるのも承知で林の中へ隠れた。
この林の周りには私たち以外に誰もいない。それは二人の声が筒抜けということ
『あれ』 『魔族』 『美雪ねーちゃん』
二人の言葉は確かに聞き覚えがあったけど、何を言っているのかわからない。
一体どこで何を見てきたんだろう。一つ言えるとすれば、秘密基地にいたのではないことだけは確かだということ。
誰かに言ったほうがいいのかな。そもそも二人の言ってることは本当なの?
どうせまた、悪巧みでもしてたんでしょ。じゃなきゃ、『魔族』なんて言葉出てきっこない。
そうに決まってる。……でも、だったらなんであんな顔してるんだろう。
いろんな考えが頭を巡る。もうだめだ、二人の姿が遠くなったら私も街へ戻ろう。
あとは、うまいこと二人を見つけたふりして、家まで送ろう。
考えるのは、私も家に帰った後だ。
そう心に決めた時、背中に視線を感じた。
思わず振り返る。
暗闇で警戒心が強かったせいか、勢いがつきすぎて体制が崩れる。茂みに手をついて転びはしなかったけど、葉音が響いてしまった。
二人もこちらに目を向ける。
見つかったら、なんと言えば……。
言い訳を考える私の後ろから、わざとらしく羽音を立ててカラスが飛んでいくのがうっすら見えた。
それに納得して、二人は歩き始めた。
少しずつ遠くなっていく二つの背中に、私も大きく息を吐いた。
予想外に疲れた。早く帰っておじいちゃんのお茶が飲みたい。
ぎりぎり背中を確認できる距離を保って、二人の後に続いた。
名前は源太と聖護。
源太は大人っぽくて、冷静。村の同世代の中でも一番先を見る力がある、けどその分臆病なところがある。
逆に聖護は考えるよりも先に体が動く。思い切りが良いけど、後先を考えないから何か起きてから困ることもしばしば。
そんな二人だけど、私は好きだ。
もちろん本人たちには口が裂けても言わないけれど。
私たちは物心ついた時から一緒にいた。
当然知らないことなんてなかった。(ふたりがやらしい本の隠し場所を秘密にしていたことは知っていたけれど訊かないであげた)
なぜ過去形なのか言えば、今目の前で私の知らないことが起きていたから。
日が落ちてきても二人の姿が見えず、それぞれのおばさまから捜索を依頼された私は、苦手な夜の雑木林へ足を運んだ。
集会所へと続く道は二人の遊び場で、林の中にある秘密基地と称した廃屋には私も何度か行ったことがある。
帰りが遅くなる時は、間違いなくそこで何か悪巧みをしてるんだ。
おばさま達にこのことを言ったら、きっともう秘密基地には行けなくなってしまうし、私も二人楽しみがなくなってしまうのは嫌だ。
だから、このか弱い私が仕方なく家まで送り届ける役目を果たしている。
今日もそのはずだった。
雑木林と集会所の中間、少し開けたその場所に佇む二人の顔は今までに見たことがないくらい強張って青白くて、思わず枝葉で切り傷ができるのも承知で林の中へ隠れた。
この林の周りには私たち以外に誰もいない。それは二人の声が筒抜けということ
『あれ』 『魔族』 『美雪ねーちゃん』
二人の言葉は確かに聞き覚えがあったけど、何を言っているのかわからない。
一体どこで何を見てきたんだろう。一つ言えるとすれば、秘密基地にいたのではないことだけは確かだということ。
誰かに言ったほうがいいのかな。そもそも二人の言ってることは本当なの?
どうせまた、悪巧みでもしてたんでしょ。じゃなきゃ、『魔族』なんて言葉出てきっこない。
そうに決まってる。……でも、だったらなんであんな顔してるんだろう。
いろんな考えが頭を巡る。もうだめだ、二人の姿が遠くなったら私も街へ戻ろう。
あとは、うまいこと二人を見つけたふりして、家まで送ろう。
考えるのは、私も家に帰った後だ。
そう心に決めた時、背中に視線を感じた。
思わず振り返る。
暗闇で警戒心が強かったせいか、勢いがつきすぎて体制が崩れる。茂みに手をついて転びはしなかったけど、葉音が響いてしまった。
二人もこちらに目を向ける。
見つかったら、なんと言えば……。
言い訳を考える私の後ろから、わざとらしく羽音を立ててカラスが飛んでいくのがうっすら見えた。
それに納得して、二人は歩き始めた。
少しずつ遠くなっていく二つの背中に、私も大きく息を吐いた。
予想外に疲れた。早く帰っておじいちゃんのお茶が飲みたい。
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