魔王の子育て日記

魔王と侵入者

出会い魔王 その4

　「＄％＆*＠＠＠＄＄で、今に至ると……」
　通訳を担っていた女は、何度も目を見開きながらも、こちらの言葉を仲間に伝え終えた。
　話していく中で、この状況がどれほど異常なのか改めて実感する。
　当然だ。他ならぬ自分自身が目の前の光景をどこか他人事のように見えてしまっているのだから。
　「＄％＆＄＄”＠＠％＄＃％””よくわからん運を持ってる奴らだな」
　難しそうな顔で何かをつぶやく男も
　「＊＊‘’＆＆％＆；＄こんな話信じられるんですか！？　＆％＄＊＋＠＠＠＆％＄＄奴らが送ってきた刺客かもしれません」
　それに反応する小柄な女も
　「’＆＄％”％＄それならもっとそれっぽいやつ来るだろーー」
　「＝～＆％＄＝＝＄＄その油断を狙ってのことです。＆％＆＆＄＆＝＊＊パインさんもそう思いますよね！！」
　「＠＠＆％＄＄信じられませんが偶然なのでしょう」
　不満げに頷く通訳の女も
　あるいは本当に夢なのではないだろうか。
　源太は魔族たちに気づかれぬように、手を置いていた太ももをつねる。
　確かな痛みと、目じりに涙が込み上げてきて現実であることを告げるのだった。
　「おい、大丈夫か。腹でも痛いのか」
　魔族を警戒しながら、聖護が声をかけてくる。
　「いや、目の前のことが夢なら痛みを感じないのではないか、と」
　「意外とお前夢見がちなとこあるよな」
　「っ……。寄りにもよってお前に言われるとは」
　「どういう意味だそれ！」
　「「「！？」」」
　「「あ」」
　魔族の視線が集まる。
　不覚にもいつもの声量に戻ってしまっていた。
　このデリケートな場面でいきなり大声を出すなんて、危険人物と思われかねない。
　なんとか、立て直さなければ――――
　「けんか、いい、ないです」
　「「はい」」
　魔族に諭されてしまった。
　「はなし、わかる、した、です。しんじる、むずかしい、でも、する、です」
　「本当か。そう言って牢屋にでも閉じ込めるんじゃ」
　「それ、する、いみ、ない、です。あぶない、なら、けす、です」
　「「消す……」」
　たどたどしくも、その言葉には確かな重みがあった。
　「もう、おそい、です。あっち、まで、おくる、する、です。」
　「……わかった。いくぞ」
　「ああ」
　不安は拭えないが、今は言われたとおりに動くしかない。
　二人は、魔族の視線を浴びながら席を立った。