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魔界へ
とりあえず一杯 その5
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ハリルは一人、茶以外も入っていないカップの中をティースプーンでかき混ぜる。
左手で頬杖をつき、思案に耽る。
魔王様とパインさんが人間界に行った後、ネイビルさんがお茶の時間だからみんなで3階に行こうと言い出した。
勿論私達はこんな非常事態にのんきなことを言ってる場合じゃないと反論したけど、あの馬鹿ーーじゃなくてリングスさんが兵士の中には子持ちのやつもいるから面倒見ておくなんて言い出すから、こんな時にお茶なんか飲む羽目に。
てっきりヴィエルさん辺りが止めてくれるかと思ったけど、男だけじゃ心配だから私も一緒に行くなんて言い出して。
全員揃わないのは残念だけど子守り組には後でお茶を持って行くからよろしくなんて言い出して。
納得いかなかったけど仕方なく3階に上がって、この魔王様のお部屋でお茶の支度をしてたら廊下から話し声が聞こえて。
全員部屋の中にいるのにおかしいと思って廊下に出ると、階段に目の前の二人がいて。
どうして人間がここにいるのか分からなかったけど、そんなことよりもおじいちゃんを殺した種族が目と前にいると思ったら頭に血が上って、思わず二人を捕まえて。
そしたら様子を見に来たネイビルさんに見つかって、二人にもお茶を振る舞いましょうなんて言い出して、この状況に至る。
本当にわけがわからない。
どうしてみんなこの状況を受け入れているのかわからない。
目の前の二人は忌まわしい生き物である人間なのになんで?
どうして? そんな疑問符がハリルの頭を埋め尽くす。
そんなハリルの思考を現実に引き戻したのは爺の問いだった。
「ところで君たちはどうやってこの魔界にやってきたのかな? 魔法でも使わなければ来ることはできないだろう?」
「@#、&☆♪……」
二人は言語の違いに戸惑いながらも、なんとか返答を試みる。
しかし、言語の壁は高い。
結局最後には黙り込むしかなかった。
「ふむ……。コリユスよ」
言語の違う二人にどうやって意思の疎通を図るか悩んだ結果、爺はコリユスを呼んだ。
「なんですかぁ?」
「ちょっと絵を描いてほしいのだが」
「はぁい」
コリユスは返事を返すと、エプロンドレスのポケットから愛用のメモ帳を取り出し、机の上に広げた。
「二人にどこから来たのか教えてほしい、という旨を伝えられるような絵を描いてくれ」
「分かりましたぁ。描け!」
コリユスが声を上げメモ帳に両手をかざすと、指先が光り、幾つもの線が浮かび上がると、やがて一枚の絵になった。
「「おお~」」
メイドたちが声を上げ、人間の二人もその様子に釘付けになる。
ハリルも思わずティースプーンを皿の上に置いてコリユスの手元に
二人にとっては始めて見る魔術だった。
「どれどれ……。ほう、これは良い」
デフォルメされた二人が人間界からこの屋敷に歩いてくる途中の道のりで、コリユスが首を傾げる様子が描かれたメモ帳を受け取り満足げに眺めると、爺は二人に見せた。
左手で頬杖をつき、思案に耽る。
魔王様とパインさんが人間界に行った後、ネイビルさんがお茶の時間だからみんなで3階に行こうと言い出した。
勿論私達はこんな非常事態にのんきなことを言ってる場合じゃないと反論したけど、あの馬鹿ーーじゃなくてリングスさんが兵士の中には子持ちのやつもいるから面倒見ておくなんて言い出すから、こんな時にお茶なんか飲む羽目に。
てっきりヴィエルさん辺りが止めてくれるかと思ったけど、男だけじゃ心配だから私も一緒に行くなんて言い出して。
全員揃わないのは残念だけど子守り組には後でお茶を持って行くからよろしくなんて言い出して。
納得いかなかったけど仕方なく3階に上がって、この魔王様のお部屋でお茶の支度をしてたら廊下から話し声が聞こえて。
全員部屋の中にいるのにおかしいと思って廊下に出ると、階段に目の前の二人がいて。
どうして人間がここにいるのか分からなかったけど、そんなことよりもおじいちゃんを殺した種族が目と前にいると思ったら頭に血が上って、思わず二人を捕まえて。
そしたら様子を見に来たネイビルさんに見つかって、二人にもお茶を振る舞いましょうなんて言い出して、この状況に至る。
本当にわけがわからない。
どうしてみんなこの状況を受け入れているのかわからない。
目の前の二人は忌まわしい生き物である人間なのになんで?
どうして? そんな疑問符がハリルの頭を埋め尽くす。
そんなハリルの思考を現実に引き戻したのは爺の問いだった。
「ところで君たちはどうやってこの魔界にやってきたのかな? 魔法でも使わなければ来ることはできないだろう?」
「@#、&☆♪……」
二人は言語の違いに戸惑いながらも、なんとか返答を試みる。
しかし、言語の壁は高い。
結局最後には黙り込むしかなかった。
「ふむ……。コリユスよ」
言語の違う二人にどうやって意思の疎通を図るか悩んだ結果、爺はコリユスを呼んだ。
「なんですかぁ?」
「ちょっと絵を描いてほしいのだが」
「はぁい」
コリユスは返事を返すと、エプロンドレスのポケットから愛用のメモ帳を取り出し、机の上に広げた。
「二人にどこから来たのか教えてほしい、という旨を伝えられるような絵を描いてくれ」
「分かりましたぁ。描け!」
コリユスが声を上げメモ帳に両手をかざすと、指先が光り、幾つもの線が浮かび上がると、やがて一枚の絵になった。
「「おお~」」
メイドたちが声を上げ、人間の二人もその様子に釘付けになる。
ハリルも思わずティースプーンを皿の上に置いてコリユスの手元に
二人にとっては始めて見る魔術だった。
「どれどれ……。ほう、これは良い」
デフォルメされた二人が人間界からこの屋敷に歩いてくる途中の道のりで、コリユスが首を傾げる様子が描かれたメモ帳を受け取り満足げに眺めると、爺は二人に見せた。
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