魔王の子育て日記

教祖

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魔界へ

とりあえず一杯 その2

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 「なあ、やはり戻ったほうが……」
 「源太は魔族ってどんな姿してると思う? 俺は意外と人間っぽいんじゃねーかと思うんだけど」 
 「いや、歴史書によれば人間とはかけ離れた容姿をしているらしい。って俺の話を聞けよ!」
 源太の言及に聖護は鬱陶しそうに顔を歪めた。
 「今更どうすんだよ。お前だって頷いただろ」
 「俺は頷いていない! お前が一人であの部屋から出て行くから俺もついてきたのだろう」
 「そうだっけ? まあ細けえことは気にすんなよ」
 「細かくない!」
 鋭いツッコミが廊下の隅々まで響き渡り、二人は肝を冷やす。
 「これで見つかったらお前のせいだからな」
 「この野郎……」
 ぐぬぬ、と怒りを堪え、源太はため息を吐いた。
 聖護達は門から出てきた部屋の階のひとつ上、その階の階段を二つほど降りたところにいた。
 聖護の
 発見されなければ……という言葉に踊らされたわけではなく、返事を聞かずして一人先走って部屋から出て行った聖護を追いかける形で、源太はついてきたのだった。
 「やっぱ、最上階に一番凄いやつがいるってのが定番だよな」
 「仮にその定番が本当だったとして、お前は何をする気だ」
 「なーに、ちょっとつらを拝んで魔法でも見してもらうだけだ」
 「ちょっとで済むか! お前は本当に……おい、まさかとは思うが部屋に乗り込むつもりではあるまいな?」
 今までの言動から察するに部屋の隙間から覗き見るなどという発想はコイツにはない。
 それはつまり、魔族に直接接触しようとしている……?
 源太は恐る恐る聖護に問うた。
 「それ意外になにがあんだよ?」
 「それ以外の方法しかないだろうが!」
 「大丈夫だって。魔族が人間を食うなんて話聞いたことねーだろ?」
 「食われなくとも何をされるかわからないだろう! 魔法でも使われたらどうする!」
 「そん時は……どうしよ」
 「おい!」
 
 「@&☆♪→\$☆? 」
 
 「「え?」」
 突然の声に二人が振り向くと、そこには小首をかしげる少女がいた。
 一般的にメイド服と呼ばれる服装で、頭にはヘッドドレス、そこから伸びるのは指2本分はあろうかという太さの角。
 「@&☆♪→\$☆@&☆♪→\$☆!」
 少女は聖護の頭を指差して驚いた顔を作るとすぐに親の仇でも見るように二人を睨みつけた。
 「な、なあ? これって……」
 「魔族じゃねーの? んでこいつ、なんつってんの?」
 「お、俺が知るか。おい、は、早く逃げるぞ!」
 「わーったよ!」
 
 「@&☆♪→\$☆!!!」
 
 「「うわっ!」」
 逃げようと階段の方へと顔を向けた二人のシャツの後ろ襟が少女によって掴まれた。
 「@&☆♪→\$☆……」
 少女の顔は悪鬼羅刹の如く怒りに満ちていた。
 
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