魔王の子育て日記

教祖

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魔界へ

そんなこんなんで出てくるわけ・・・・・・ほんまや その2

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 「なんか俺でもそんくらい出来そうだけどな」
 「お前ができるなら、そこら中で勝手に魔法が発動してボヤ騒ぎが絶えないだろうな」
 「なにを~!」
 けらけらと笑いながら歩いていると突然顔に直射日光が当たった。
 二人が目を手で覆いながら辺りを見回すと、どうやら集会場と街とを繋ぐ小道の中間地点にある広場に辿り着いたようだった。
 今まで歩いてきた森が消え去り、円形に広がる剥き出しの地面を隔てて、およそ20mほど先から再び森への小道が続いている。
 「そこまで言うなら見せてやるよ! 俺の本気を」
 「何をする気だ」
 「まあ見てろって」
 聖護は広場の中央に向かって走っていくと、近くにあった小枝を拾い何やら地面に書き始めた。
 「なにをやっているんだか……」
 無駄な事をと思いながら、源太も広場の中央へと向かった。
 「こうやって、ここはこうで、こんな感じか。よし完成っ!」
 「何やって……これは何だ?」
 「見ての通り魔法陣だ」
 「落書きされた鏡にしか見えないのだが」
 聖護が地面に描き出したのは、楕円の中にミミズがのたうちまわったような線が散らばり、その中に不恰好な渦巻き状のマークが鎮座した、なんとも前衛的な魔法陣だった。
 「今からこいつで魔界に繋がる扉を開いてやる」
 「変なところに繋がりそうだがな」
 「いくぞー! 開けええええ!」
 「ひらけー」
 両手を前に突き出すような形で念を送る聖護の隣で、源太は気の抜けた声で呼びかけた。
 だが、そんな呼びかけに応じるものなど何もなくなんとものどかな時間が流れた。
 「なんで、開かないんだ。何か呪文でも唱えないとダメなのか」
 「それ以前の話だと思うがな」
 首を捻る聖護に、源太の届かぬ独り言が呟かれる。
 「なんかないかな。こう、もっと古臭くてカッコいい言葉」
 「んー、なら、中央皇族が使う言葉でも使うか?」
 「なんでそんなの知ってんだよ!?」
 「昔本で読んだ。どうする?」
 「おう! 教えてくれ」
 「じゃあ、扉よ開けを皇族言葉に直すと……。たぶんオープンザゲートだな」
 「おーぷん、ざ、げいと?」
 「げいとじゃなくて、ゲート」
 
 「なるほど。よし、オープンザゲート!」
 
 「いやー、今日も暑いなー」
 言葉を変えても、変わらぬ地面と落胆した聖護の顔。
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