29 / 133
人間界へ
LET’S人間界 その7
しおりを挟む 俺は少し緊張しながらもリビングに着き、閉まっているリビングの引き戸を開けると……
『パァ~ン』
『パァ~ン』
俺の方に目がけて、クラッカーが鳴らされる。
「比叡君! ようこそ~~私たちの町へ!」
「比叡さん。今日は沢山楽しんでくださいね!」
鈴音さんと稀子がそれぞれ声を掛けて来る。
クラッカーを引いたのもこの2人だ!
「2人ともありがとう!」
「美少女ゲームの主人公の気分だよ!」
「美少女ゲーム?」
「なにそれ?」
稀子はそう言う。どうやら意味を知らない見たいだ。知らない方が良いけど……
「さぁ、比叡さん。こっちに座って下さい!」
俺は鈴音さんにダイニングに案内されて、テーブル席の奥の方に座る。俗に言う上座の席で有った。
テーブルの上には唐揚げ・フライドポテト・白身のフライ・ピザ・クリームシチュー・野菜サラダ・おにぎり等がテーブル一杯に並んでいた。
(わぁ、色々な料理が有るな!)
(滅茶苦茶、豪華なわけでは無いけど、何だか温かみの有る料理だな…)
俺が色々な料理に目を奪われていると、俺の右横に座って居る山本さんが声を掛けてくる。
「比叡君は飲める方かね?」
「えっ!?」
「ああ、お酒の事ですか?」
「まぁ、多少なら…」
「じゃあ、注いでやろう!」
山本さんはそう言って、瓶ビールを俺の方に差し出す。
俺はコップを持って、コップにビールが注がれる。注がれたので、注ぎ返そうとすると……
「今日は君が主役だから!」
「注いで貰うのは明日からだ!」
山本さんは言うが、別の意味で捉えれば『明日からは注げよ』に成る。
「じゃあ、みんな乾杯しようか!」
山本さんの音頭でみんながコップを持つ。
俺と山本さん以外はソフトドリンクで有る。
「比叡君の未来を願って、乾杯~!」
「乾杯~~」
みんなでコップを鳴らし合って、俺の歓迎会が始まる。
俺はコップに注がれたビールを一気に空ける。
「おぉ~。良い飲みっぷりだね!」
「ほれ、比叡君」
「あっ、すいません…」
空になったコップにビールが新たに注がれる。ビールも良いが何かを摘まみたい。
俺は目に付いた唐揚げを箸で掴み食べる。
「あっ、美味しい!」
思わず口に出してしまう。
そうすると稀子が言って来る。
「美味しい。比叡君?」
「揚げ物は、私が全部揚げたのだよ!」
「鶏肉の唐揚げは、もちろん手作りだよ!!」
「すごく美味しいよ、稀子ちゃん!」
「幾らでも食べられそう!!」
「どんどん、食べてね♪」
「今日の主役は比叡君なんだから♪」
「ありがとう! 稀子ちゃん!!」
「さて、私は白身のフライ食べよ!」
稀子はそう言って、白身のフライを食べている。
みんながみんな、和気あいあいと楽しんでいる。
(何か、子供の時の誕生日会を思い出すな……。あの時も、こんな風に楽しんでいたな)
俺がそう感慨に浸っていると、鈴音さんが声を掛けて来る。
「はい! 比叡さんどうぞ!!」
鈴音さんは、クリームシチューの入った器を手渡してくれる。
「稀子さんは揚げ物担当で、私はクリームシチューの担当!」
「温かいうちにどうぞ!」
そう言われたのなら、早速食べるしか無い!
スプーンでシチューをすくって口に運ぶ。
「わっ。このシチューすごく美味しい!」
「自分で作るよりも遙かにコクが有って、野菜の旨味と鶏肉の相性がバッチリだ!」
「すごく美味しいです。鈴音さん…」
「比叡さんに喜んで貰えて何よりですわ!」
「デザートに、私と稀子さんの共同作業で作ったプリンも有りますからね♪」
「デザートまで用意して貰って、ありがとうございます」
「比叡さん。今はお礼を言うより、沢山食べて楽しんでください!」
「その方が、私や稀子さんも嬉しいですから!」
鈴音さんがそう言うと、山本さんも声を掛けてくる。
「僕の担当はおにぎりだから、沢山食べろよ!」
「余ったら、君の明日の朝食に持ち帰れば良い!」
「後、しっかり飲めよ! ビールが飽きたら日本酒やウィスキーも有るからな」
そう言って、まだ空に成っていないコップにビールが注がれて行く。
「あっ、はい。今日は沢山楽しみます!」
俺はそう言って、ビールの入ったコップをグッと空ける。
「いや~、良い飲みっぷりだね!」
「意外に酒は強いのかね…?」
「地元の日本酒飲んでみるか。辛口で旨いぞ!」
「じゃあ、少し頂こうかな!」
「孝明さん!」
「歓迎会だからと言って、あまり比叡さんに飲ませちゃ駄目ですよ!」
「孝明……。あんたも飲みすぎては駄目だからね…」
「まぁ、母さんに鈴音。今日は良いじゃないか!」
「比叡君の歓迎祝いだ!」
「これから前途多難な人生が待ち受けているのだから、今日位は好きなだけ飲ませてやらないと!」
そう言って、俺のコップにはビールから変わって、日本酒が注がれている。
(前途多難か……。まぁ、その通りだよな…)
(今は目の前の道しか見えてない。でも、突き進むしか無い!)
「さぁ、グィッと行け」
暗い気持ちに成り掛けた所を酒の力で打ち消す!
日本酒だから、そんな一気には行けないが、飲むと俺好みの日本酒の味がした。
「うん……。美味しいです。すっきり系ですね!」
「おっ、流石だね! 当たりだよ。旨いだろ!」
「ほれ、どんどん飲んで、食べて、楽しめよ!」
「僕はそう言った人間が好きだ!!」
何か普段の山本さんとは違うような気がする。山本さん酔い掛けて居るのだろうか?
今日は絶対に飲みすぎに成るのは確定だが、俺のために開いてくれた歓迎会を楽しむ……
稀子を始め、鈴音さんや山本さん家族。みんなこんなに優しくしてくれる。今までの環境とは大違いだ。
俺は酔い潰れないほど飲んで、お腹が一杯に成っても、温かい気持ちのこもった料理を食べ続けた。
……
楽しい歓迎会も終わりを迎えて、俺は少しフラつきながらも、みんなにお礼を言って、お土産のおにぎりと唐揚げ等を貰って、自分のアパートに戻るために玄関に向かおうとすると……
「比叡君!」
「お家帰る前にちょっと、お話しよ!!」
「こっち来て!!」
稀子は俺を引き留める。何か話でも有るのだろうか?
俺は家に戻る前に稀子と話しをする事と成った。
『パァ~ン』
『パァ~ン』
俺の方に目がけて、クラッカーが鳴らされる。
「比叡君! ようこそ~~私たちの町へ!」
「比叡さん。今日は沢山楽しんでくださいね!」
鈴音さんと稀子がそれぞれ声を掛けて来る。
クラッカーを引いたのもこの2人だ!
「2人ともありがとう!」
「美少女ゲームの主人公の気分だよ!」
「美少女ゲーム?」
「なにそれ?」
稀子はそう言う。どうやら意味を知らない見たいだ。知らない方が良いけど……
「さぁ、比叡さん。こっちに座って下さい!」
俺は鈴音さんにダイニングに案内されて、テーブル席の奥の方に座る。俗に言う上座の席で有った。
テーブルの上には唐揚げ・フライドポテト・白身のフライ・ピザ・クリームシチュー・野菜サラダ・おにぎり等がテーブル一杯に並んでいた。
(わぁ、色々な料理が有るな!)
(滅茶苦茶、豪華なわけでは無いけど、何だか温かみの有る料理だな…)
俺が色々な料理に目を奪われていると、俺の右横に座って居る山本さんが声を掛けてくる。
「比叡君は飲める方かね?」
「えっ!?」
「ああ、お酒の事ですか?」
「まぁ、多少なら…」
「じゃあ、注いでやろう!」
山本さんはそう言って、瓶ビールを俺の方に差し出す。
俺はコップを持って、コップにビールが注がれる。注がれたので、注ぎ返そうとすると……
「今日は君が主役だから!」
「注いで貰うのは明日からだ!」
山本さんは言うが、別の意味で捉えれば『明日からは注げよ』に成る。
「じゃあ、みんな乾杯しようか!」
山本さんの音頭でみんながコップを持つ。
俺と山本さん以外はソフトドリンクで有る。
「比叡君の未来を願って、乾杯~!」
「乾杯~~」
みんなでコップを鳴らし合って、俺の歓迎会が始まる。
俺はコップに注がれたビールを一気に空ける。
「おぉ~。良い飲みっぷりだね!」
「ほれ、比叡君」
「あっ、すいません…」
空になったコップにビールが新たに注がれる。ビールも良いが何かを摘まみたい。
俺は目に付いた唐揚げを箸で掴み食べる。
「あっ、美味しい!」
思わず口に出してしまう。
そうすると稀子が言って来る。
「美味しい。比叡君?」
「揚げ物は、私が全部揚げたのだよ!」
「鶏肉の唐揚げは、もちろん手作りだよ!!」
「すごく美味しいよ、稀子ちゃん!」
「幾らでも食べられそう!!」
「どんどん、食べてね♪」
「今日の主役は比叡君なんだから♪」
「ありがとう! 稀子ちゃん!!」
「さて、私は白身のフライ食べよ!」
稀子はそう言って、白身のフライを食べている。
みんながみんな、和気あいあいと楽しんでいる。
(何か、子供の時の誕生日会を思い出すな……。あの時も、こんな風に楽しんでいたな)
俺がそう感慨に浸っていると、鈴音さんが声を掛けて来る。
「はい! 比叡さんどうぞ!!」
鈴音さんは、クリームシチューの入った器を手渡してくれる。
「稀子さんは揚げ物担当で、私はクリームシチューの担当!」
「温かいうちにどうぞ!」
そう言われたのなら、早速食べるしか無い!
スプーンでシチューをすくって口に運ぶ。
「わっ。このシチューすごく美味しい!」
「自分で作るよりも遙かにコクが有って、野菜の旨味と鶏肉の相性がバッチリだ!」
「すごく美味しいです。鈴音さん…」
「比叡さんに喜んで貰えて何よりですわ!」
「デザートに、私と稀子さんの共同作業で作ったプリンも有りますからね♪」
「デザートまで用意して貰って、ありがとうございます」
「比叡さん。今はお礼を言うより、沢山食べて楽しんでください!」
「その方が、私や稀子さんも嬉しいですから!」
鈴音さんがそう言うと、山本さんも声を掛けてくる。
「僕の担当はおにぎりだから、沢山食べろよ!」
「余ったら、君の明日の朝食に持ち帰れば良い!」
「後、しっかり飲めよ! ビールが飽きたら日本酒やウィスキーも有るからな」
そう言って、まだ空に成っていないコップにビールが注がれて行く。
「あっ、はい。今日は沢山楽しみます!」
俺はそう言って、ビールの入ったコップをグッと空ける。
「いや~、良い飲みっぷりだね!」
「意外に酒は強いのかね…?」
「地元の日本酒飲んでみるか。辛口で旨いぞ!」
「じゃあ、少し頂こうかな!」
「孝明さん!」
「歓迎会だからと言って、あまり比叡さんに飲ませちゃ駄目ですよ!」
「孝明……。あんたも飲みすぎては駄目だからね…」
「まぁ、母さんに鈴音。今日は良いじゃないか!」
「比叡君の歓迎祝いだ!」
「これから前途多難な人生が待ち受けているのだから、今日位は好きなだけ飲ませてやらないと!」
そう言って、俺のコップにはビールから変わって、日本酒が注がれている。
(前途多難か……。まぁ、その通りだよな…)
(今は目の前の道しか見えてない。でも、突き進むしか無い!)
「さぁ、グィッと行け」
暗い気持ちに成り掛けた所を酒の力で打ち消す!
日本酒だから、そんな一気には行けないが、飲むと俺好みの日本酒の味がした。
「うん……。美味しいです。すっきり系ですね!」
「おっ、流石だね! 当たりだよ。旨いだろ!」
「ほれ、どんどん飲んで、食べて、楽しめよ!」
「僕はそう言った人間が好きだ!!」
何か普段の山本さんとは違うような気がする。山本さん酔い掛けて居るのだろうか?
今日は絶対に飲みすぎに成るのは確定だが、俺のために開いてくれた歓迎会を楽しむ……
稀子を始め、鈴音さんや山本さん家族。みんなこんなに優しくしてくれる。今までの環境とは大違いだ。
俺は酔い潰れないほど飲んで、お腹が一杯に成っても、温かい気持ちのこもった料理を食べ続けた。
……
楽しい歓迎会も終わりを迎えて、俺は少しフラつきながらも、みんなにお礼を言って、お土産のおにぎりと唐揚げ等を貰って、自分のアパートに戻るために玄関に向かおうとすると……
「比叡君!」
「お家帰る前にちょっと、お話しよ!!」
「こっち来て!!」
稀子は俺を引き留める。何か話でも有るのだろうか?
俺は家に戻る前に稀子と話しをする事と成った。
0
お気に入りに追加
114
あなたにおすすめの小説


【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。

白い結婚をめぐる二年の攻防
藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」
「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」
「え、いやその」
父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。
だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。
妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。
※ なろうにも投稿しています。
【電子書籍発売に伴い作品引き上げ】私が妻でなくてもいいのでは?
キムラましゅろう
恋愛
夫には妻が二人いると言われている。
戸籍上の妻と仕事上の妻。
私は彼の姓を名乗り共に暮らす戸籍上の妻だけど、夫の側には常に仕事上の妻と呼ばれる女性副官がいた。
見合い結婚の私とは違い、副官である彼女は付き合いも長く多忙な夫と多くの時間を共有している。その胸に特別な恋情を抱いて。
一方私は新婚であるにも関わらず多忙な夫を支えながら節々で感じる女性副官のマウントと戦っていた。
だけどある時ふと思ってしまったのだ。
妻と揶揄される有能な女性が側にいるのなら、私が妻でなくてもいいのではないかと。
完全ご都合主義、ノーリアリティなお話です。
誤字脱字が罠のように点在します(断言)が、決して嫌がらせではございません(泣)
モヤモヤ案件ものですが、作者は元サヤ(大きな概念で)ハピエン作家です。
アンチ元サヤの方はそっ閉じをオススメいたします。
あとは自己責任でどうぞ♡
小説家になろうさんにも時差投稿します。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる