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~ 第三章 反撃の狼煙 ~
捻じれまくった迷路の先で⑥
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アリーナ中央に設置された、フローズンレイン用とクリアデイ用の二本のランウェイ。隣り合ったステージは、一メートルほどの間隔が空いている。
今まではフローズンレインとクリアデイがそれぞれのランウェイを交互に歩いていたが、ショーのラストは両ブランドのモデルたちが全員、列をなしてステージに登場した。
秋の新作がずらりと並んだ光景は圧巻で、デザイナーにとっては今までの苦労が報われる至福の時だろう。しかし氷雨も快晴もモデルとしてまだ舞台上に居るので、残念ながら満足感に浸る時間はなさそうだ。
会場はクライマックスに相応しい豪華さに包まれ、キャノン砲から撃ち出された銀テープが空を舞い、金色の紙吹雪が降り注ぐ。
先ほどまでは張り詰めた表情をしていたモデルたちも、今は楽しそうに笑いながら客席に向かって手を振っていた。
特に今日、鮮烈なデビューを飾った黛と深影がはにかみながら遠慮がちに手を振ると、一層大きな歓声が上がる。
『ギャップ凄い。さっきまで闇の世界から来た使者みたいで、近寄りがたかったのに』
『こうしてると本当に高校生なんだね。あの二人、もっと見ていたかったな』
『俺、推しがクリアデイだから全票入れるつもりだったけど、一票だけフローズンレインに入れるわ』
コメント欄を見て、玲旺は「よしよし」とほくそ笑む。すっかりエンディングの気配だが、まだ投票は受付中なので気は抜けない。
やがて全てのモデルたちがウオーキングを終えてランウェイを去り、舞台上には結果を待つ氷雨と快晴だけが残された。
イベント進行のために男性司会者が再び壇上に現れて、派手な動作で会場の目立つところにある電光掲示板を指し示す。
『さあ、いよいよ決着の時を迎えました。因縁のライバル対決。果たして勝利を手にするのはどちらなのか!』
氷雨が僅かに顔を歪めたので、玲旺は「因縁のライバルと言われたのが気に入らないんだろうなぁ」と予想する。
その間も、表示された数字は絶えず動いていた。
『では、結果発表前にお二人にお話を聞いてみたいと思います。まずは快晴さん、自信のほどは?』
ファッションショーの最中に舞台上でデザイナーにインタビューをする場面はあまり見たことがなかったが、今回は対決が企画の趣旨なので致し方ないだろう。
マイクを向けられた快晴は、にいっと口角を上げて悪役らしい笑みを浮かべた。
『勝つ自信、ありますよ。今日は氷雨の泣き顔を楽しみにして来たんだもん。しっかり拝んで帰らないと』
オーバーな身振りで快晴が氷雨の顔を覗き込む。場を盛り上げるような挑発に、観客たちもわぁっと興奮したように沸いた。
続いて司会者が、うんざりしたように快晴から顔を背けた氷雨に尋ねる。
『快晴さんはあのようにおっしゃっていますが、氷雨さんはいかがですか』
氷雨が不愉快そうに歪めた口を、渋々開いた。
『勝つ自信なら僕にもあるよ。それに、これでやっと快晴から解放されるのかと思うと、本当に清々する』
ツンと澄まし顔で言い放つ氷雨を見て、快晴がクククと肩を揺らす。例えどんな辛辣な言葉でも、氷雨からリアクションを貰えれば、もしかすると快晴は満足なのかもしれない。
インタビューを終えた司会者が一歩前に進み出て、会場の観客を煽るように呼び掛ける。
『それでは、ここで投票を締め切らせて頂きます。さぁ、みなさんも一緒にカウントダウンを始めましょう。いきますよ。10……9……8』
指を折って秒読みを始めた司会者の声に合わせ、カウントダウンの大合唱が会場内に響いた。
今まではフローズンレインとクリアデイがそれぞれのランウェイを交互に歩いていたが、ショーのラストは両ブランドのモデルたちが全員、列をなしてステージに登場した。
秋の新作がずらりと並んだ光景は圧巻で、デザイナーにとっては今までの苦労が報われる至福の時だろう。しかし氷雨も快晴もモデルとしてまだ舞台上に居るので、残念ながら満足感に浸る時間はなさそうだ。
会場はクライマックスに相応しい豪華さに包まれ、キャノン砲から撃ち出された銀テープが空を舞い、金色の紙吹雪が降り注ぐ。
先ほどまでは張り詰めた表情をしていたモデルたちも、今は楽しそうに笑いながら客席に向かって手を振っていた。
特に今日、鮮烈なデビューを飾った黛と深影がはにかみながら遠慮がちに手を振ると、一層大きな歓声が上がる。
『ギャップ凄い。さっきまで闇の世界から来た使者みたいで、近寄りがたかったのに』
『こうしてると本当に高校生なんだね。あの二人、もっと見ていたかったな』
『俺、推しがクリアデイだから全票入れるつもりだったけど、一票だけフローズンレインに入れるわ』
コメント欄を見て、玲旺は「よしよし」とほくそ笑む。すっかりエンディングの気配だが、まだ投票は受付中なので気は抜けない。
やがて全てのモデルたちがウオーキングを終えてランウェイを去り、舞台上には結果を待つ氷雨と快晴だけが残された。
イベント進行のために男性司会者が再び壇上に現れて、派手な動作で会場の目立つところにある電光掲示板を指し示す。
『さあ、いよいよ決着の時を迎えました。因縁のライバル対決。果たして勝利を手にするのはどちらなのか!』
氷雨が僅かに顔を歪めたので、玲旺は「因縁のライバルと言われたのが気に入らないんだろうなぁ」と予想する。
その間も、表示された数字は絶えず動いていた。
『では、結果発表前にお二人にお話を聞いてみたいと思います。まずは快晴さん、自信のほどは?』
ファッションショーの最中に舞台上でデザイナーにインタビューをする場面はあまり見たことがなかったが、今回は対決が企画の趣旨なので致し方ないだろう。
マイクを向けられた快晴は、にいっと口角を上げて悪役らしい笑みを浮かべた。
『勝つ自信、ありますよ。今日は氷雨の泣き顔を楽しみにして来たんだもん。しっかり拝んで帰らないと』
オーバーな身振りで快晴が氷雨の顔を覗き込む。場を盛り上げるような挑発に、観客たちもわぁっと興奮したように沸いた。
続いて司会者が、うんざりしたように快晴から顔を背けた氷雨に尋ねる。
『快晴さんはあのようにおっしゃっていますが、氷雨さんはいかがですか』
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ツンと澄まし顔で言い放つ氷雨を見て、快晴がクククと肩を揺らす。例えどんな辛辣な言葉でも、氷雨からリアクションを貰えれば、もしかすると快晴は満足なのかもしれない。
インタビューを終えた司会者が一歩前に進み出て、会場の観客を煽るように呼び掛ける。
『それでは、ここで投票を締め切らせて頂きます。さぁ、みなさんも一緒にカウントダウンを始めましょう。いきますよ。10……9……8』
指を折って秒読みを始めた司会者の声に合わせ、カウントダウンの大合唱が会場内に響いた。
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