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~ 第二章 賽は投げられた ~
gemstone②
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かなりまじまじと眺めてしまったが、当の本人はメールを打つのに夢中で、こちらの視線には気付いていないようだった。
「さっきさぁ」
久我を待つ間、手持ち無沙汰の玲旺は、先ほど湧いた疑問をぶつけてみることにする。
「『どうしても声をかけたい人が二人いる』って言ってたけど、そのうちの一人って湯月さん?」
メールを打っていた手を止め、氷雨がスッと顔を上げた。否定も肯定もしなかったが、ニヤリと笑ったのできっと正解なのだろう。
一人は湯月だと仮定して、玲旺は質問を続けた。
「じゃぁ、もう一人は誰?」
「ちょうどその人に声をかけてみたところ。かなりの大物なんだけど、今は育休中でさ。少しの間、現役から離れてるんだよね。だから、スケジュールも空いてるだろうと思って」
良い返事が来ますようにと、氷雨は自分のスマートフォンにおまじないをかけるようにキスをする。
「かなりの大物」と「育休中」というキーワードで、玲旺の脳内に一人の女性モデルが浮かび上がった。それが本当だとすると、誇張でも何でもなく相当な大物じゃないかと困惑する。
「それってもしかして、南野朱?」
「せいかーい!」
氷雨がパチパチと手を叩いた。
南野と言えば、ミラノやパリなど海外の有名コレクションをメインに活躍していた、日本を代表するスーパーモデルだ。
玲旺も実際にランウェイを歩く南野を見たことがあるが、その姿はとにかく圧巻の一言に尽きる。
女性ながら百八十センチ近くある高身長にクールビューティーな容姿は、まるで研ぎ澄まされた刃のようだった。海外のトップモデルと並んでも遜色はなく、貫禄と威厳に満ち溢れていて、どこにいても自然と目が吸い寄せられる。
出産を機に今は第一線を退いてはいるが、もし彼女が引き受けてくれるのならこんなに心強い事は無い。復帰後の初舞台と言う話題性もある。しかし、ハイブランドのイメージの強い南野が、果たして十代向けのブランドに興味を持ってくれるだろうかと玲旺は首を捻った。
「そろそろ復帰したいから身体作りしてるんだって、前に言ってたのよ。喧嘩も祭りも大好きな人だから、今回のイベントも乗ってくれるんじゃないかなぁ」
玲旺の懸念を察したのか、氷雨が人差し指の先を顎に当てて微笑んだ。
「すっごく戦闘力の高い人だから、文字通り百人力よね。どうせやるなら徹底的に。快晴にぎゃふんて言わせてやろうよ」
「さっきさぁ」
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「『どうしても声をかけたい人が二人いる』って言ってたけど、そのうちの一人って湯月さん?」
メールを打っていた手を止め、氷雨がスッと顔を上げた。否定も肯定もしなかったが、ニヤリと笑ったのできっと正解なのだろう。
一人は湯月だと仮定して、玲旺は質問を続けた。
「じゃぁ、もう一人は誰?」
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良い返事が来ますようにと、氷雨は自分のスマートフォンにおまじないをかけるようにキスをする。
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「それってもしかして、南野朱?」
「せいかーい!」
氷雨がパチパチと手を叩いた。
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「そろそろ復帰したいから身体作りしてるんだって、前に言ってたのよ。喧嘩も祭りも大好きな人だから、今回のイベントも乗ってくれるんじゃないかなぁ」
玲旺の懸念を察したのか、氷雨が人差し指の先を顎に当てて微笑んだ。
「すっごく戦闘力の高い人だから、文字通り百人力よね。どうせやるなら徹底的に。快晴にぎゃふんて言わせてやろうよ」
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