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~ 第二章 賽は投げられた ~
強引な招待状⑨
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東京服飾桜華大学は、日本で最高峰の服飾専門大学だ。
学問と言ったら東大。美術や音楽なら藝大。そして服飾ならば桜華大。誰もが知る一流校で、世界で活躍する日本人ファッション関係者の約七割は、桜華大の卒業生と言う実績を誇る。
多分に漏れず、氷雨と快晴の母校でもあった。
そんな名門大学の付属高校の生徒もまた、非常に優秀なことを玲旺はよく知っている。突拍子もない提案にも思えたが、氷雨はへぇっと感嘆したような声を上げた。
「芸能科の生徒か……考えてもみなかった。面白そうね」
氷雨は興味深そうに玲旺の話しに食いついたが、久我の方はあまり乗り気ではないようで、難しい顔をして腕を組んだ。
「桜華高校合格と言う狭き門をくぐり抜けた、将来性のある子達だとは解っているが……。大舞台で、第一線で活躍中のモデルやタレントたちと互角に戦えるか? 委縮して、本来の実力が出しきれないんじゃないかな」
久我の懸念を聞いた氷雨は口角をゆるりと上げ、余裕ありげに椅子の背に寄り掛かった。肘掛けを指でトントンと叩きながら「大丈夫」と言い切る。
「中学三年生の時点でこの世界に身を置こうと覚悟を決めた、肝の座った子たちばかりよ。強敵ほど燃えるんじゃないかしら。そもそも、高校生のキラキラした無敵感って眩しいじゃない。経験値では活躍中のモデルに及ばないかもしれないけど、あの怖いものなしのパワーを僕は借りたいな。最近の自分は、ちょっと忘れちゃってる感覚だから」
伝えきれなかった部分も理解し、更に補足までして貰えたことが嬉しくて、玲旺は氷雨の両肩に手を置いた。
「そう! そうなんだよ。あの『何にでもなれる、なってやる』っていうエネルギー、凄いんだよね。あのパワー欲しいよね」
氷雨は肩を掴まれグラグラと体を揺さぶられながら、子どもでもあしらうように玲旺の手を退ける。
「ハイハイ。わかったから落ち着いて。ちょっと緑川学長に可能かどうか聞いてみるわ。久我クン、いいでしょ?」
「氷雨と桐ヶ谷がそう言うなら、間違いないだろう。緑川さんに確認を頼む」
久我の返答に「了解」と頷いた氷雨は、スマートフォンを手にし椅子を回転させて背を向けた。
緑川から良い返事がもらえますようにと願いつつ、玲旺は快晴からの申し出を本当に受けてしまって良いのだろうかと、恐れのような感情に見舞われる。
不安が顔に出ていたのか、久我が玲旺の頬を軽く撫でた。
学問と言ったら東大。美術や音楽なら藝大。そして服飾ならば桜華大。誰もが知る一流校で、世界で活躍する日本人ファッション関係者の約七割は、桜華大の卒業生と言う実績を誇る。
多分に漏れず、氷雨と快晴の母校でもあった。
そんな名門大学の付属高校の生徒もまた、非常に優秀なことを玲旺はよく知っている。突拍子もない提案にも思えたが、氷雨はへぇっと感嘆したような声を上げた。
「芸能科の生徒か……考えてもみなかった。面白そうね」
氷雨は興味深そうに玲旺の話しに食いついたが、久我の方はあまり乗り気ではないようで、難しい顔をして腕を組んだ。
「桜華高校合格と言う狭き門をくぐり抜けた、将来性のある子達だとは解っているが……。大舞台で、第一線で活躍中のモデルやタレントたちと互角に戦えるか? 委縮して、本来の実力が出しきれないんじゃないかな」
久我の懸念を聞いた氷雨は口角をゆるりと上げ、余裕ありげに椅子の背に寄り掛かった。肘掛けを指でトントンと叩きながら「大丈夫」と言い切る。
「中学三年生の時点でこの世界に身を置こうと覚悟を決めた、肝の座った子たちばかりよ。強敵ほど燃えるんじゃないかしら。そもそも、高校生のキラキラした無敵感って眩しいじゃない。経験値では活躍中のモデルに及ばないかもしれないけど、あの怖いものなしのパワーを僕は借りたいな。最近の自分は、ちょっと忘れちゃってる感覚だから」
伝えきれなかった部分も理解し、更に補足までして貰えたことが嬉しくて、玲旺は氷雨の両肩に手を置いた。
「そう! そうなんだよ。あの『何にでもなれる、なってやる』っていうエネルギー、凄いんだよね。あのパワー欲しいよね」
氷雨は肩を掴まれグラグラと体を揺さぶられながら、子どもでもあしらうように玲旺の手を退ける。
「ハイハイ。わかったから落ち着いて。ちょっと緑川学長に可能かどうか聞いてみるわ。久我クン、いいでしょ?」
「氷雨と桐ヶ谷がそう言うなら、間違いないだろう。緑川さんに確認を頼む」
久我の返答に「了解」と頷いた氷雨は、スマートフォンを手にし椅子を回転させて背を向けた。
緑川から良い返事がもらえますようにと願いつつ、玲旺は快晴からの申し出を本当に受けてしまって良いのだろうかと、恐れのような感情に見舞われる。
不安が顔に出ていたのか、久我が玲旺の頬を軽く撫でた。
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