74 / 302
~ 第二章 賽は投げられた ~
強引な招待状②
しおりを挟む
『お待たせ―。時間ピッタリ? あ、ちょっと遅れちゃった? ごめんごめん』
画面の端に流れる視聴者からのコメントを読みながら、金色に近い明るい栗色の髪をかき上げる。
『そう、今日は重大発表があってさぁ。俺、オモシロイ企画思いついちゃったんだよね。と、言う訳で、その企画に協力して欲しい人に今から電話してみたいと思いまーす』
グレーを帯びた青い瞳を細め、画面に向かって無邪気に手を振った。終始軽い調子だが、人懐っこそうな笑顔のお陰で印象は悪くない。
快晴がスマートフォンを手に取り「出てくれるといいなぁ」と、へらっと笑ってから耳に当てる。
嫌な予感に眉をひそめていると、氷雨のスマートフォンが鳴り出した。
「嘘でしょ……アイツほんっと何考えてんの」
着信表示を確認した氷雨は、応答せずにそのまま放置し、頭を抱える。
「え、まさか快晴さんから? 出なくていいの」
「これ生配信でしょ。即答できないような無理難題吹っ掛けられたら面倒だもん。出ない方がいいでしょう」
玲旺の問いに、うんざりしたように氷雨が答えた。しつこく鳴り続けるコール音に、耳を塞ぎたくなってくる。
『あっれー、出てくれないね。忙しいのかなぁ。それともビビってんの? おーい、氷雨。出ろってば。逃げてんじゃねえぞ』
本気とも冗談とも取れるような言い方で氷雨を煽る。それでも無視を決め込んでいると、やっと諦めたようで着信音が鳴り止んだ。
『なんだ、せっかくオモシロイ企画を教えてやろうと思ったのに。アイツさぁ、最近全然表舞台に出てこないじゃん? 逃げ回ってるみたいだから、無理矢理オモテに引っ張り出そうかと思って』
快晴がそう言ってにんまり笑うと、氷雨のファンなのか、『来月号のブレイバーに出るから逃げてない』と擁護するようなコメントがいくつも書き込まれた。
『へぇ。ブレイバーに出るんだ』
湯月の言っていたことが目の前で実際に起こり、玲旺は鳥肌が立つのを感じた。擁護コメントのお陰で逃げ回ると言う印象は払拭されたが、これが無かったらと思うとゾッとする。
『じゃぁ、まだあっちの答え聞いてないけど、とりあえず企画を発表するね。クリアデイとフローズンレインで、秋物のコレクション対決をしたいなと思って』
そう宣言した瞬間、興奮した視聴者からのコメントは、文字が読み取れないほどの速さで流れだす。
快晴は玉座のような豪奢な椅子に納まり、傲慢な笑みを浮かべて画面越しにこちらを見据えた。
『もちろん受けて立つだろ? なぁ、氷雨』
画面の端に流れる視聴者からのコメントを読みながら、金色に近い明るい栗色の髪をかき上げる。
『そう、今日は重大発表があってさぁ。俺、オモシロイ企画思いついちゃったんだよね。と、言う訳で、その企画に協力して欲しい人に今から電話してみたいと思いまーす』
グレーを帯びた青い瞳を細め、画面に向かって無邪気に手を振った。終始軽い調子だが、人懐っこそうな笑顔のお陰で印象は悪くない。
快晴がスマートフォンを手に取り「出てくれるといいなぁ」と、へらっと笑ってから耳に当てる。
嫌な予感に眉をひそめていると、氷雨のスマートフォンが鳴り出した。
「嘘でしょ……アイツほんっと何考えてんの」
着信表示を確認した氷雨は、応答せずにそのまま放置し、頭を抱える。
「え、まさか快晴さんから? 出なくていいの」
「これ生配信でしょ。即答できないような無理難題吹っ掛けられたら面倒だもん。出ない方がいいでしょう」
玲旺の問いに、うんざりしたように氷雨が答えた。しつこく鳴り続けるコール音に、耳を塞ぎたくなってくる。
『あっれー、出てくれないね。忙しいのかなぁ。それともビビってんの? おーい、氷雨。出ろってば。逃げてんじゃねえぞ』
本気とも冗談とも取れるような言い方で氷雨を煽る。それでも無視を決め込んでいると、やっと諦めたようで着信音が鳴り止んだ。
『なんだ、せっかくオモシロイ企画を教えてやろうと思ったのに。アイツさぁ、最近全然表舞台に出てこないじゃん? 逃げ回ってるみたいだから、無理矢理オモテに引っ張り出そうかと思って』
快晴がそう言ってにんまり笑うと、氷雨のファンなのか、『来月号のブレイバーに出るから逃げてない』と擁護するようなコメントがいくつも書き込まれた。
『へぇ。ブレイバーに出るんだ』
湯月の言っていたことが目の前で実際に起こり、玲旺は鳥肌が立つのを感じた。擁護コメントのお陰で逃げ回ると言う印象は払拭されたが、これが無かったらと思うとゾッとする。
『じゃぁ、まだあっちの答え聞いてないけど、とりあえず企画を発表するね。クリアデイとフローズンレインで、秋物のコレクション対決をしたいなと思って』
そう宣言した瞬間、興奮した視聴者からのコメントは、文字が読み取れないほどの速さで流れだす。
快晴は玉座のような豪奢な椅子に納まり、傲慢な笑みを浮かべて画面越しにこちらを見据えた。
『もちろん受けて立つだろ? なぁ、氷雨』
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
【R18・完結】甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
花室 芽苳
恋愛
【本編完結/番外編完結】
この人なら愛せそうだと思ったお見合い相手は、私の妹を愛してしまった。
2人の間を邪魔して壊そうとしたけど、逆に2人の想いを見せつけられて……
そんな時叔父が用意した新しいお見合い相手は大企業の御曹司。
両親と叔父の勧めで、あっという間に俺様御曹司との新婚初夜!?
「夜のお相手は、他の女性に任せます!」
「は!?お前が妻なんだから、諦めて抱かれろよ!」
絶対にお断りよ!どうして毎夜毎夜そんな事で喧嘩をしなきゃならないの?
大きな会社の社長だからって「あれするな、これするな」って、偉そうに命令してこないでよ!
私は私の好きにさせてもらうわ!
狭山 聖壱 《さやま せいいち》 34歳 185㎝
江藤 香津美 《えとう かつみ》 25歳 165㎝
※ 花吹は経営や経済についてはよくわかっていないため、作中におかしな点があるかと思います。申し訳ありません。m(__)m
サイテー上司とデザイナーだった僕の半年
谷村にじゅうえん
BL
デザイナー志望のミズキは就活中、憧れていたクリエイター・相楽に出会う。そして彼の事務所に採用されるが、相楽はミズキを都合のいい営業要員としか考えていなかった。天才肌で愛嬌のある相楽には、一方で計算高く身勝手な一面もあり……。ミズキはそんな彼に振り回されるうち、否応なく惹かれていく。
「知ってるくせに意地悪ですね……あなたみたいなひどい人、好きになった僕が馬鹿だった」
「ははっ、ホントだな」
――僕の想いが届く日は、いつか来るのでしょうか?
★★★★★★★★
エブリスタ『真夜中のラジオ文芸部×執筆応援キャンペーン スパダリ/溺愛/ハートフルなBL』入賞作品
※エブリスタのほか、フジョッシー、ムーンライトノベルスにも転載しています
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
コントレイルとちぎれ雲
葉月凛
BL
恋も仕事も失った本城薫、26歳。
ちぎれたような薫の心を導いてくれる、ひと筋のコントレイル(飛行機雲)は現れるだろうか──
*『ブライダル・ラプソディー』に出てくる本城薫が少し若い頃のお話ですが、単独で読んでいただける内容になっています。時系列的には、こちらが先です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる