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~ 第二章 賽は投げられた ~
第十七話 強引な招待状
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それから数日後、塩野崎の言った「近々」は、思いの外早く訪れた。
いつものように表参道店のスタッフルームで作業をしていた玲旺は、スマートフォンから流れる着信音に気付いて手を止める。画面には「久我要」と表示されていて、勤務時間中にメールではなく電話をかけてきたことに、少しだけ胸騒ぎを覚えた。
何か急ぎの用件だろうか。
作業机を離れ、窓辺のソファに移動してから応答の文字をタップする。
「もしもし、どうしたの」
『ああ、悪い。今、話して大丈夫か?』
電話越しから聞こえて来た久我の声は、どことなく焦りを感じさせ、いつもよりも幾分か早口だった。
「今、表参道店で作業してた。電話は大丈夫だよ」
『そこにいたんだ、丁度よかった。あのさ、あと十分後に快晴が動画をライブ配信するらしいんだ。気にし過ぎかもしれないけど、「重大発表」って仰々しいタイトルで、ちょっと嫌な予感がするんだよね』
「重大発表?」
大袈裟な表現で視聴者の目を引こうとしているだけの可能性もあるが、確かに気になるタイトルだった。
『俺も表参道店に向かっているから、先に動画を観ておいてくれないか』
「わかった。警戒するに越したことはないからね。チェックしておくよ」
電話を終えた玲旺は、タブレット型端末の電源をオンにする。クリアデイが開設している動画チャンネルへ飛ぶと、配信待機画面が映し出された。
もう既に数千人が待機していて、チャットでは視聴者たちが重大発表について予測し合っている。
「なに。なんかあったの?」
デスクトップのパソコンで型紙を作成していた氷雨が、玲旺の緊張を感じ取って声をかけた。
「まだわかんないけど、快晴がもうすぐライブ配信するって。予告タイトルが『重大発表』で、ちょっと気になるんだよね」
「さっきの電話は久我クンから?」
「うん。快晴の配信の件を知らせてくれた。今こっちに向かってるって」
グッと唇を噛みしめた氷雨は椅子から立ち上がり、そのまま無言でツカツカと歩みを進める。玲旺の隣に腰を降ろして足を組み、仏頂面で画面を見下ろした。
玲旺は視線をタブレットに向けたまま、氷雨に尋ねる。
「快晴は何を発表する気だろ」
「さぁね。どうせロクでもないことよ」
新作の紹介や新店舗のオープン日の発表ならば良いのだが。
こちらを巻き込まないでくれと、半ば祈るような気持で画面を見続ける。
やがて配信予告時間を少し過ぎた頃、ようやく快晴が画面に現れた。
いつものように表参道店のスタッフルームで作業をしていた玲旺は、スマートフォンから流れる着信音に気付いて手を止める。画面には「久我要」と表示されていて、勤務時間中にメールではなく電話をかけてきたことに、少しだけ胸騒ぎを覚えた。
何か急ぎの用件だろうか。
作業机を離れ、窓辺のソファに移動してから応答の文字をタップする。
「もしもし、どうしたの」
『ああ、悪い。今、話して大丈夫か?』
電話越しから聞こえて来た久我の声は、どことなく焦りを感じさせ、いつもよりも幾分か早口だった。
「今、表参道店で作業してた。電話は大丈夫だよ」
『そこにいたんだ、丁度よかった。あのさ、あと十分後に快晴が動画をライブ配信するらしいんだ。気にし過ぎかもしれないけど、「重大発表」って仰々しいタイトルで、ちょっと嫌な予感がするんだよね』
「重大発表?」
大袈裟な表現で視聴者の目を引こうとしているだけの可能性もあるが、確かに気になるタイトルだった。
『俺も表参道店に向かっているから、先に動画を観ておいてくれないか』
「わかった。警戒するに越したことはないからね。チェックしておくよ」
電話を終えた玲旺は、タブレット型端末の電源をオンにする。クリアデイが開設している動画チャンネルへ飛ぶと、配信待機画面が映し出された。
もう既に数千人が待機していて、チャットでは視聴者たちが重大発表について予測し合っている。
「なに。なんかあったの?」
デスクトップのパソコンで型紙を作成していた氷雨が、玲旺の緊張を感じ取って声をかけた。
「まだわかんないけど、快晴がもうすぐライブ配信するって。予告タイトルが『重大発表』で、ちょっと気になるんだよね」
「さっきの電話は久我クンから?」
「うん。快晴の配信の件を知らせてくれた。今こっちに向かってるって」
グッと唇を噛みしめた氷雨は椅子から立ち上がり、そのまま無言でツカツカと歩みを進める。玲旺の隣に腰を降ろして足を組み、仏頂面で画面を見下ろした。
玲旺は視線をタブレットに向けたまま、氷雨に尋ねる。
「快晴は何を発表する気だろ」
「さぁね。どうせロクでもないことよ」
新作の紹介や新店舗のオープン日の発表ならば良いのだが。
こちらを巻き込まないでくれと、半ば祈るような気持で画面を見続ける。
やがて配信予告時間を少し過ぎた頃、ようやく快晴が画面に現れた。
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