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~ 第一章 売られた喧嘩 ~
If④
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「俺はこの写真を見て、服飾に携わる仕事に就こうって決めたんだ。ページを開いた瞬間、心臓が止まるかと思った。それくらいのインパクトがあったよ。あの時の俺に教えてやりたいなぁ。十年後には、憧れてた人と一緒に仕事をしてるぞって」
画像を眺めて思いを馳せる久我の横顔に、玲旺は少し嫉妬した。しかし久我の人生を左右させたその写真は、それだけの威力があるのも事実だ。
「じゃあ、氷雨さんに感謝しなくちゃ。久我さんがフォーチュンに就職してなかったら、俺たち会えてないだろうし」
不思議な縁を感じながら、玲旺がしみじみと呟く。どこかで一つでもピースが揃わなかったら、今この瞬間がなかったかも知れないと思うと恐ろしい。
久我も感慨深そうにうなずいたが、「でもなぁ」と、微笑みながら隣に座る玲旺の頬を指の背で撫でた。
「俺は例え別の場所にいても、桐ケ谷を見つけて惹かれていたと思うよ」
久我を見上げていた玲旺の大きな瞳が、さらに大きく見開かれる。
ただ単にその場限りの耳障りの良い言葉ではなく、久我ならば玲旺がどこに居ても本当に見つけ出してくれそうな気がした。
暖かな眼差しを向けられて、玲旺は久我にぎゅっとしがみつく。
「俺も。久我さんがどこにいても、見つけたい」
今までのことは全て夢で、朝目覚めたら久我と言う存在がこの世にどこにもなかったらどうしよう。
急にそんな馬鹿げた不安に襲われた。
それくらい、久我と出会えて今こうして想いを通わせていることが奇跡のように感じられる。
無言で見つめ合った数秒後、触れるだけの軽いキスが落ちてきた。唇が合わさったのはほんの一瞬でも、そこから全身に熱が広がる。
この熱を手放す気になど到底なれない。だからこそ、湯月の行動は玲旺にとって不可解だった。
どれだけの出来事があったら、愛しい人から離れる選択をしなければならないのだろう。
「何で永遠は突然引退したのかな。氷雨さんの前からも姿を消して……今日、六年ぶりに会ったって言ってた」
久我は玲旺を抱き寄せて、慰めるように背中を撫でる。
「永遠が引退した理由はわからないけど、丁度その頃なんだよね、氷雨のオリジナルブランドの計画が消滅したのって。もしかしたら、それと何か関係があるのかもしれない」
いつの間にか、玲旺を抱きしめる久我の手に力が篭る。
「なぁ、玲旺。お前はどんなことがあっても、俺の前から消えるなよ」
画像を眺めて思いを馳せる久我の横顔に、玲旺は少し嫉妬した。しかし久我の人生を左右させたその写真は、それだけの威力があるのも事実だ。
「じゃあ、氷雨さんに感謝しなくちゃ。久我さんがフォーチュンに就職してなかったら、俺たち会えてないだろうし」
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久我も感慨深そうにうなずいたが、「でもなぁ」と、微笑みながら隣に座る玲旺の頬を指の背で撫でた。
「俺は例え別の場所にいても、桐ケ谷を見つけて惹かれていたと思うよ」
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ただ単にその場限りの耳障りの良い言葉ではなく、久我ならば玲旺がどこに居ても本当に見つけ出してくれそうな気がした。
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急にそんな馬鹿げた不安に襲われた。
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「永遠が引退した理由はわからないけど、丁度その頃なんだよね、氷雨のオリジナルブランドの計画が消滅したのって。もしかしたら、それと何か関係があるのかもしれない」
いつの間にか、玲旺を抱きしめる久我の手に力が篭る。
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