異世界距離恋愛 (修正版)

ふくまめ

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本日は快晴、気分は能天気

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翌日。休日は結構ダラダラしがちな俺も、さすがに世間一般に朝と呼ばれる時間に活動を開始した。今日は長い一日になりそうだ。雲一つない空が眩しい。

「あ、おはよう。」
「…あぁ。」

相変わらず、新島さんにはソファでの寝起きをお願いすることになってしまっている。前からよくソファで寝落ちすることがあったから慣れている、と新島さんは気にしていないようだが、それはそれでどうなのだろうか。

「今日の朝食は簡単にベーコンエッグです。」
「…俺、朝は食べない…。」
「体が資本の警察官が何言ってんの!一日の始めを疎かしちゃダメだって!…まぁ無理して食べろとは言わないけど、せめてお味噌汁だけとか。」
「…。」

そう言いながら新島さんは、テーブルにご飯とベーコンエッグとみそ汁を並べていく。自炊している方だとは思っていないので、冷蔵庫に何が入っているか正確には把握していなかったが、ジンプルながら湯気の立つ味噌汁はうまそうに見える。大人しくテーブルにつき、汁椀に数回息を吹きかけて、静かに口をつけてゆっくりと啜る。味噌の香りと塩味が腹に落ちて、じんわりと染みていくのを感じる。

「どう?」
「…うまい。」
「そうでしょー?体は栄養を欲しているんだよ、何かは体に入れないと!」

そう言うと、新島さんも自分用に朝食をよそいだす。ちらりと見えた皿の上には少し不格好な目玉焼き。

「…なんだか、飯の準備任せて申し訳ないんだが。」
「えぇ?でも、私ここに置いてもらっている身だし…。このくらいしないと、むしろ罪悪感でどうにかなりそう。…ただでさえ、深く聞かないでもらっているし。」
「深く聞きようもないし。」
「うーん、不審者だって警察に突き出さないでもらっているのも大きい、かな。」
「自分が警察だし。」
「…うぅん…?まぁ、いいの!ここでお世話になっているからには、何かしら役に立たないと!」
「…新島さんがいいなら、いいけど。」

それとも迷惑だったろうか、と顔に出始めた新島さんに気付かないふりをして、ベーコンエッグにかじりついた。

「…それで、今日は外に行くことになるから、私なりにいろいろ確認してたんだけど…。」
「確認?」
「うん。私、何も考えすにこの部屋まで来たけど、特に問題なく着いたのよね。」
「…はぁ。」
「つまり、私の身の振り方や通貨に問題はなかったってこと。…もしも日本円じゃなかったら、それこそ本当に警察案件だったわ…。」
「あぁ、なるほど。」

そうか、そういう可能性もあったのか。自分が生活するうえでは当たり前のこと過ぎて何とも思わないが、新島さんは獣人を見たことがないような、本人に言わせればそのような存在はいなかったとのことだが、一般常識とかけ離れていることもあり得たかもしれない。幸いそのようなことはなさそうだが、そうであったならあいつのところに連れて行くだけでも難易度が跳ね上がりそうだ。とはいえ…。

「今更なんだけど、ここって日本よね?」
「そうだ、今更だが。」
「中国とかアメリカとかもある?」
「何の心配してるんだ…。」
「だって私の知っている常識がおかしかったら恥かくじゃない!」
「恥ねぇ…。」

そんなこと言っている場合かとも思ったが、まぁ気持ちは分からなくはない。

「なので、これまでお世話になった分のお金は返そうと思います。はい!」
「あぁ?いやいいって。」
「何よ、全部何から何までお世話になりっぱなしなのは、社会人としてどうかと思うの!私を助けると思って…いやすでに助けてもらってはいるんだけど!」
「そう言われてもな…。」
「お願いします!」
「…あいつに話聞いてからでもいいだろ、そんなに急ぐことでもないし。第一、こっちだって他のこと何だかんだやってもらってるし。」
「…分かった。じゃあ帰ってきたらね!」

新島さんが使い込んでいるであろう財布をカバンから取り出して、お札がちらりと見えたことに少し焦る。俺はそんなことをしてほしくてここにいてもらっているわけじゃない。実際この食事を前にする、と世話になっているのは俺の方な気もする…。俺も新島さんも、今俺たちの身に何が起きているのか分からない部分も多いし、行動に移すのはあいつの意見を聞いてからでも遅くはない。

「ねぇ、お昼の前に出かけるんでしょ?お昼ご飯どうする、外で食べるの?」
「え、あぁそうだな、そうするか…。」
「だったら私中華がいい!」

この人はどうにも緊張感に欠ける。初対面の印象でもそうだったけど。
まさか中国があるか確認したのって、中華料理が食べたかったから…なんてこと、ないよな?
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