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他の科からの見解
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「24時間の心電図の検査の結果だけど、うーん…。」
今日も今日とて検査結果の報告会。パソコンの画面を見ながら腕を組んで顔を顰めている先生。小難しいデータは私には理解できませんが、何やらよろしくない状態であるのは理解できました。理解できてしまいました、ハイ。
「少しだけど、不規則な部分が見られるね。少しだけね。」
「はぁ。」
「…今って何歳だっけ?」
「28です。」
「うーん…子供のうちって、心臓ができあがりきってないから心電図が少し乱れることってあったりするんだけどさ…。さすがに、だよね。」
何がさすがになのかは聞かないでおきますが、この年齢で心臓ができあがってないっていう可能性がないことを言いたいのは分かりました。
「少し期間を開けて、もう一回24時間の測定してみようか。」
「分かりました。」
「それでね、今日この後神経内科の先生に話を聞きに行ってもらおうかな。」
「はぁ、神経内科…。」
「現状でこれって原因が上がってこないから、可能性として考えられるところに聞いてみて。それじゃ、名前呼ばれるまで待合室にどうぞ。」
「はい…。」
神経内科…。脳関係に問題がないかってところか。となると、MRIとか?検査される?
…いいじゃん…!ドラマで見るようなあのおっきな機械に入れられて脳の輪切り画像みたいなのを見れる!?最高。
じわじわと上がるテンションを感じながらも、大人しく待合室のソファで自分の名前が呼ばれるのを今か今かと待っていた。
「うーん…。多分大丈夫だなぁ。」
「…はぁ…。」
おそらく共有されているであろう、パソコン上に映る文字やデータに目をやりつつ、神経内科の先生は静かに告げた。大丈夫ってなんですの。検査しないの?…えー…。
検査しないまでも脳に異常はないと思うという診断に、本来は喜ぶべきなんだろうけど、私の気分は急降下。いやいいのよ?問題ないってよかったじゃない。でもこう、なんかさぁ…ねぇ。
「多分、脳波に異常とかがないかってことだと思うんだけど、今まで気絶したことないんでしょ?ナルコレプシーとかてんかんとか…そういった脳波の問題で気絶しちゃうって人は、昔から症状として持っている人ばかりだからね。」
「なるほど…。」
「今回のケースはそうじゃないみたいだし、検査は必要ないと思う。それよりさ…。」
「はぁ。」
「痩せてるね。」
「…そう、ですかね…?」
やっぱり検査はしないのか、残念。と表情に出さないながらも落胆していると、先生から投げかけられた話題に少々反応が遅れてしまった。
「ちゃんと食事と睡眠、摂ってる?」
「えっと…仕事がシフト制で不規則で…。マチマチって感じですね。でも睡眠は6時間は摂るようにはしてます。」
「それ結構他の人も言うけどさぁ…。一定時間寝てたらいいってわけじゃないからね。人間には元から備わった寝ないといけない時間ってのがあるんだから。現代社会だと働き方もいろいろだからさ、その通りってわけにはいかないのは分かるけど、体には非常に負荷がかかってるってことを意識した方がいい。」
「は、い…。」
「シフト制ってことは、夜勤とかもあるの?」
「ありますね。」
「その間って、何か飲み食いするの?」
「人によりますけど…特に日中みたいに食事が用意されているわけではないので。私は自分で補助食品みたいなのを持って行って食べますね。飲み物は…あまり?白湯、とか…。」
「…タンパク質足りてないね。」
「…たんぱくしつ。」
「うん。豆乳とか飲みな、あれたんぱく質たくさん含まれてるから。」
「はぁ。」
それから私の夜勤のお供に豆乳が参戦するようになった。
私は神経内科に行って何を指摘されているんだ?
それはそれとして、今日もコーヒー味の豆乳をすする。期間限定の焼き芋味が恋しい。
今日も今日とて検査結果の報告会。パソコンの画面を見ながら腕を組んで顔を顰めている先生。小難しいデータは私には理解できませんが、何やらよろしくない状態であるのは理解できました。理解できてしまいました、ハイ。
「少しだけど、不規則な部分が見られるね。少しだけね。」
「はぁ。」
「…今って何歳だっけ?」
「28です。」
「うーん…子供のうちって、心臓ができあがりきってないから心電図が少し乱れることってあったりするんだけどさ…。さすがに、だよね。」
何がさすがになのかは聞かないでおきますが、この年齢で心臓ができあがってないっていう可能性がないことを言いたいのは分かりました。
「少し期間を開けて、もう一回24時間の測定してみようか。」
「分かりました。」
「それでね、今日この後神経内科の先生に話を聞きに行ってもらおうかな。」
「はぁ、神経内科…。」
「現状でこれって原因が上がってこないから、可能性として考えられるところに聞いてみて。それじゃ、名前呼ばれるまで待合室にどうぞ。」
「はい…。」
神経内科…。脳関係に問題がないかってところか。となると、MRIとか?検査される?
…いいじゃん…!ドラマで見るようなあのおっきな機械に入れられて脳の輪切り画像みたいなのを見れる!?最高。
じわじわと上がるテンションを感じながらも、大人しく待合室のソファで自分の名前が呼ばれるのを今か今かと待っていた。
「うーん…。多分大丈夫だなぁ。」
「…はぁ…。」
おそらく共有されているであろう、パソコン上に映る文字やデータに目をやりつつ、神経内科の先生は静かに告げた。大丈夫ってなんですの。検査しないの?…えー…。
検査しないまでも脳に異常はないと思うという診断に、本来は喜ぶべきなんだろうけど、私の気分は急降下。いやいいのよ?問題ないってよかったじゃない。でもこう、なんかさぁ…ねぇ。
「多分、脳波に異常とかがないかってことだと思うんだけど、今まで気絶したことないんでしょ?ナルコレプシーとかてんかんとか…そういった脳波の問題で気絶しちゃうって人は、昔から症状として持っている人ばかりだからね。」
「なるほど…。」
「今回のケースはそうじゃないみたいだし、検査は必要ないと思う。それよりさ…。」
「はぁ。」
「痩せてるね。」
「…そう、ですかね…?」
やっぱり検査はしないのか、残念。と表情に出さないながらも落胆していると、先生から投げかけられた話題に少々反応が遅れてしまった。
「ちゃんと食事と睡眠、摂ってる?」
「えっと…仕事がシフト制で不規則で…。マチマチって感じですね。でも睡眠は6時間は摂るようにはしてます。」
「それ結構他の人も言うけどさぁ…。一定時間寝てたらいいってわけじゃないからね。人間には元から備わった寝ないといけない時間ってのがあるんだから。現代社会だと働き方もいろいろだからさ、その通りってわけにはいかないのは分かるけど、体には非常に負荷がかかってるってことを意識した方がいい。」
「は、い…。」
「シフト制ってことは、夜勤とかもあるの?」
「ありますね。」
「その間って、何か飲み食いするの?」
「人によりますけど…特に日中みたいに食事が用意されているわけではないので。私は自分で補助食品みたいなのを持って行って食べますね。飲み物は…あまり?白湯、とか…。」
「…タンパク質足りてないね。」
「…たんぱくしつ。」
「うん。豆乳とか飲みな、あれたんぱく質たくさん含まれてるから。」
「はぁ。」
それから私の夜勤のお供に豆乳が参戦するようになった。
私は神経内科に行って何を指摘されているんだ?
それはそれとして、今日もコーヒー味の豆乳をすする。期間限定の焼き芋味が恋しい。
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