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人類の進歩⑫
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「…これ、どうすんの?メアリちゃん。」
「…。」
最後のページまで書き込まれることのなかったノート。静かに閉じて、ここに書かれている内容をどう受け取るべきかと考える。少なくとも、単純に亡くなっただけ、というには周りの状況が混み入っていることは間違いなさそうだ。
それが、おばさんの死に関係しているかどうかは、まだ分からないとは思う。いや、そう思いたい、だろうか。とにかく、ここに書かれていることをより詳しく知らなければ判断はできないと思う。
…しかし、そのためには…。
「…状況を確認できる人物、いることにはいるが。」
「初めにメアリちゃんに説明しなかった時点で、何かあることは確実だろ。こっちが指名手配されていることを考慮したって、家に入れるくらいには受け入れてる。メアリちゃんの話ぶりやこの日記から察するに、相当仲が良かったんだろ?」
「結構、可愛がっていただいていた自覚はあります…。」
「そんなんだったら、何かしら言うことあんだろ。なんて言うんだろうなぁ…淡白な印象じゃないか?自分の奥さん亡くしてて、そんな中仲良くしてた女の子が訪ねて来たんだぞ?」
「俺に言われてもだな…。だがまぁ、奥方の思い入れのありそうな品々に関しても、反応が薄かったしな。夫婦関係は悪かったような内容は、書いていなかったように思うが…。」
「少しおばさまが暴走気味なこともあったけど、仲は良かったと思います。二人とも、お互いを思いやって、支えあっているような感じでした。」
「だとしたらねぇ…。」
ロランさんやギルさんの言いたいことはよく分かる。というか、ここに来てから強烈に感じている違和感というのはその部分なのだ。私の記憶にある二人の姿からは、あまりに想像できない状況。
なぜおばさまは亡くなってしまったのか。
なぜ私たち家族はそのことを知らされなかったのか。
なぜおじさまは、こうまで無関心なのか。
「…私、やっぱり知りたいです。おばさまの身に何があったのか。」
「…。」
「何もなかったらそれでいい。むしろそうであってほしい。…でも、このままじゃ勝手に悪い方に想像してしまうから、はっきりさせたい。」
「あのおっさんが教えてくれるかねぇ。」
「最初に説明しなかった以上、すんなり教えてくれるか疑問だが…。」
「でも、一番事情を知っているはずです。…聞き方は、考えたほうがいいかもしれないけど。」
おじさまの反応からして、この日記の内容からして、何もなかったとは考えづらくはある。どう聞いたら、おじさまは私に当時のことを話してくれるのか…。
「…いーこと考えた。」
思わず頭を抱えてしまいそうになる私の横で、ロランさんが呟いた。その表情はいたずらを思いついた少年のように輝いているように見えた。
「ふぅ…今日も収穫量としては十分だな…。」
「お、お帰りなさい、おじさま。」
「あぁ、メアリちゃん…。今日も片付けありがとう。」
「お疲れさん、ロロ博士。お疲れのところ悪いんだが、俺様達からだーいじな話があるんだ、ちょっといいか?」
「…大事な、話?」
「…そう警戒しないでいただきたい。これまでお世話になった身として、今後に関して改めて相談したいと思ったまでだ。」
「そのかたっ苦しさが警戒を誘うって分からんかねぇ、ギル君は。」
「…悪かったな。」
「私たち、おじさまのお役に立ちたいって言うのは本当です。そのことについて、これを…。」
「これは…!」
日が暮れた頃、おじさまはいつものようにたくさんの薬草を採取して帰宅。何度も見た光景だが、今日はこれまでにないくらい緊張で胸が痛い。
大丈夫、ギルさんもロランさんも、サポートしてくれる。大丈夫。
私たちの何がしかの雰囲気を感じ取ったのか、おじさまは少々訝しんでいるようだ。そんなおじさまに、静かに差し出した手には、見つけてしまったおばさまの日記。その日記を視界に入れた途端、おじさまは驚きに目を見開いている。
かかった、とロランさんが呟いた気がした。
日記を差し出す手が、震えていないか心配で詳細を確認する気にはなれなったが。
「…。」
最後のページまで書き込まれることのなかったノート。静かに閉じて、ここに書かれている内容をどう受け取るべきかと考える。少なくとも、単純に亡くなっただけ、というには周りの状況が混み入っていることは間違いなさそうだ。
それが、おばさんの死に関係しているかどうかは、まだ分からないとは思う。いや、そう思いたい、だろうか。とにかく、ここに書かれていることをより詳しく知らなければ判断はできないと思う。
…しかし、そのためには…。
「…状況を確認できる人物、いることにはいるが。」
「初めにメアリちゃんに説明しなかった時点で、何かあることは確実だろ。こっちが指名手配されていることを考慮したって、家に入れるくらいには受け入れてる。メアリちゃんの話ぶりやこの日記から察するに、相当仲が良かったんだろ?」
「結構、可愛がっていただいていた自覚はあります…。」
「そんなんだったら、何かしら言うことあんだろ。なんて言うんだろうなぁ…淡白な印象じゃないか?自分の奥さん亡くしてて、そんな中仲良くしてた女の子が訪ねて来たんだぞ?」
「俺に言われてもだな…。だがまぁ、奥方の思い入れのありそうな品々に関しても、反応が薄かったしな。夫婦関係は悪かったような内容は、書いていなかったように思うが…。」
「少しおばさまが暴走気味なこともあったけど、仲は良かったと思います。二人とも、お互いを思いやって、支えあっているような感じでした。」
「だとしたらねぇ…。」
ロランさんやギルさんの言いたいことはよく分かる。というか、ここに来てから強烈に感じている違和感というのはその部分なのだ。私の記憶にある二人の姿からは、あまりに想像できない状況。
なぜおばさまは亡くなってしまったのか。
なぜ私たち家族はそのことを知らされなかったのか。
なぜおじさまは、こうまで無関心なのか。
「…私、やっぱり知りたいです。おばさまの身に何があったのか。」
「…。」
「何もなかったらそれでいい。むしろそうであってほしい。…でも、このままじゃ勝手に悪い方に想像してしまうから、はっきりさせたい。」
「あのおっさんが教えてくれるかねぇ。」
「最初に説明しなかった以上、すんなり教えてくれるか疑問だが…。」
「でも、一番事情を知っているはずです。…聞き方は、考えたほうがいいかもしれないけど。」
おじさまの反応からして、この日記の内容からして、何もなかったとは考えづらくはある。どう聞いたら、おじさまは私に当時のことを話してくれるのか…。
「…いーこと考えた。」
思わず頭を抱えてしまいそうになる私の横で、ロランさんが呟いた。その表情はいたずらを思いついた少年のように輝いているように見えた。
「ふぅ…今日も収穫量としては十分だな…。」
「お、お帰りなさい、おじさま。」
「あぁ、メアリちゃん…。今日も片付けありがとう。」
「お疲れさん、ロロ博士。お疲れのところ悪いんだが、俺様達からだーいじな話があるんだ、ちょっといいか?」
「…大事な、話?」
「…そう警戒しないでいただきたい。これまでお世話になった身として、今後に関して改めて相談したいと思ったまでだ。」
「そのかたっ苦しさが警戒を誘うって分からんかねぇ、ギル君は。」
「…悪かったな。」
「私たち、おじさまのお役に立ちたいって言うのは本当です。そのことについて、これを…。」
「これは…!」
日が暮れた頃、おじさまはいつものようにたくさんの薬草を採取して帰宅。何度も見た光景だが、今日はこれまでにないくらい緊張で胸が痛い。
大丈夫、ギルさんもロランさんも、サポートしてくれる。大丈夫。
私たちの何がしかの雰囲気を感じ取ったのか、おじさまは少々訝しんでいるようだ。そんなおじさまに、静かに差し出した手には、見つけてしまったおばさまの日記。その日記を視界に入れた途端、おじさまは驚きに目を見開いている。
かかった、とロランさんが呟いた気がした。
日記を差し出す手が、震えていないか心配で詳細を確認する気にはなれなったが。
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