平和の狂気

ふくまめ

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人類の進歩④

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奇跡的な再会と突然の別れ。感情が大きく揺れ動く中で、私たち三人は辛うじて使えるであろうとロロおじさんに案内された一室で腰を落ち着かせていた。

「手入れがされてなくて荒れているとはいえ、旅の野宿やボロ宿を考えると天国みたいなもんだぜ。あのロロって博士は相当いい生活してたんだなぁ…。」
「戦時、国お抱え同然で研究していたらしいからな。待遇も相当よかっただろう。」
「だよな。…メアリちゃん、ここではどんな研究をされたのか、何か知らない?」
「うーん…私の両親とも交流がありましたし、何かの薬品だったとは思うんですが…。子供には難しいだろうからと、あまり詳しくは。」
「それもそうか。まぁでも、その時の縁があって俺様達はここにお邪魔できているわけだし、メアリちゃんのおかげだな。」
「私は何も…おじさんのご厚意ですよ。…おばさんにも、お会いしたかったんですが…残念です。」
「メアリちゃん…。」

おじさんに会えただけでも奇跡的。そうわかってはいても、仲睦まじい二人の姿が思い出されて、おばさんが一緒にいないことが信じられない。

「…しかし、一人になってもこの地を離れなかった。あの博士はまだここで研究を続けているんじゃないのか?」
「そうだなぁ…そういえば、お前軍にいたんだから何か知らねぇのか?」
「さてな。少なくともロロという名前に聞き覚えはないが。」
「一応聞いてはみたものの、お前の記憶力を信頼していいものかどうか…。」
「おい。」
「でも、メアリちゃんのご両親みたく話題になることは、なかったんだろうなぁ。少なくとも、ここで生活できているところを見るに。」

戦時国や軍に協力していた人間は指名手配されているような状況下の今。以前から住んでいるここに滞在し続けられているということは、国からマークされていないことの証明にもなる。研究内容が戦争に関わるような内容のものではなかった?いやでも、確かに国のお偉いさんとの話があるって、私もついてきたときに…。
いや、考えても仕方がない。おじさんに直接聞いて確かめた方が早く、そして確実だろう。

「…今日のところはゆっくりさせてもらって、明日詳しい事情をおじさんに聞きましょう。」
「そうだな。」
「俺様もさんせー。と、言うことで、メアリちゃん俺様と一緒に休みましょー!」
「三人で!ですけど。」
「問題なく使えそうなのがこの一部屋だけらしいからな。仕方ない。」
「それは俺様のセリフだバカ!何でお前が一緒なんだよ、メアリちゃんと二人きりがよかった…!」
「ごちそうにもなってしまいましたし、何かお礼ができればいいんですが…。」
「断られそうだが…。まぁ、研究している内容によっては手伝ってほしいとかはあるかもしれないな。」

ソファに突っ伏しながらむせび泣くロランさんを無視し、私ができるおじさんへのお礼を考える。私たちは追われる身。長居することはできないし、痕跡が残るようなものもよくない。そもそも、おじさんがこうして私たちを置いてくれていること自体リスクがある。そう考えると、本当に私たちは厄介ごとを抱えたまま上がり込んでしまっていること実感するしかなかった。
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