某勇者パーティに最も大事にするべき仲間について語ってみた件

ふくまめ

文字の大きさ
上 下
25 / 40

ふ、増えたー!

しおりを挟む
「…それで?なぜあなたが直接来ることになるんです。
 ご説明いただけますか?」
「説明も何も、あの時言った通りですよ。
 中途半端な人間に任せるわけにはいかない、自分で言い始めたからには自分で動く。これに尽きます。」
「…本当に?」

お城での会議の翌日。
本当にカイル王子はすずらんへとやって来ていた。
両親に事情を説明したら、ひっくり返りそうになっていた。
そりゃ何度もお城に呼び出されてるって思ってたら、今度は王子が来るなんて言ったら、ねぇ。

「俺たちも、不思議には思っていますよ。お城だったら、優秀な人なんていくらでもいそうじゃないですか。
 何でわざわざ王子様が?」
「この件に関しては、優秀なだけでは任せられないんですよ。
 何せ、城の人間のほとんどはあなた方に引っ込んでいてほしいと考えている人間ばかりですから。」
「…監査って言うのは、そういった感情が入らねぇようにするもんじゃないのかね。」
「本来であればそうですが、城の人間はそんな綺麗事を気にしたりしませんよ。」

お偉いさん方にそう感じるときは正直あるけど、お城側の人間がそう言っていいものなのかしら。

「端的に言えば、あなた方がどんなに頑張ろうとも、その結果を歪めて報告される可能性が高いということですね。
 ですが、私が来たからには安心です!
 あなた方の活躍を、余すところなく、報告しますので!」
「全く安心できないんですが。」

それ絶対あなたも情報歪めて報告しますよね?ただ歪める方向が違うだけですよね?
ともかく、正確にお伝えしてもらわないと、今は良くても後々に揉めることは必至。
正々堂々、私たちの活動がどれだけ役に立っているかを知っていただかないと!

「まずは、私たちの活動を大まかに知っていただこうかと思います。
 始めに寄せられた相談依頼書を集めて―――」

今日一日、王子には基本的に私についてもらって活動の流れを説明しながら活動することになった。
他の3人の動きは特に変りないけれど、それぞれお店でも働きながら活動しているから、
見えないところでの活動も説明していく。
…なかなかに疲れるわ。普段の何倍も働いた気分。
でも一日中王子と一緒にいたせいか、良くも悪くも緊張はしなくなって気持ち的には楽になったわ。
感覚がマヒしたとも言うわね。

「…一通り、こんなものでしょうか。今日は特に緊急の依頼はありませんでしたし。
 何か確認したいことはありますか?」
「ふむ…。本当に4人だけで活動しているのですね。」
「えぇ。人を雇おうにも、依頼を解決しても報酬を決めていないので、賃金を用意することが難しくて…。
 正式な雇用として募集することはできないんですよ。」
「なるほど。しかし実際問題、4人での活動には限界がありますよね?」
「そうですね…。正直私たちの話が広がれば広がるほど、難易度の高い依頼も寄せられるようになって。
 お断りさせていただく依頼も増えている状況です。
 もちろん、無責任に突き放すわけではなく、
 代案を提案させていただくなどできる限りのお手伝いはさせていただいています。」

そう。私たちはまさに師匠が言っていた状況にぶつかっていた。
どんなに依頼が寄せられても、私たちの手に余る依頼がやってくる。
こちらの力不足で困っている人を助けられないのはとても悔しいけど、無茶をすることもできない…。
私は最近、すずらんの執務室の一角でこの件について頭を悩ませていた。

「現実的な問題として、人手不足は否めないというわけですね。
 城の対応も褒められたものではありませんが、人員が足りなければ最終的にああなる可能性が高いです。
 丁寧な対応を心掛けるうえでも、十分な人手は不可欠です。」
「それは分かっているのですが…。」
「ここで思い切って、報酬に関しても請求するようにしたらいかがです?」
「困っている人はたくさんいても、お金を支払えるような人はそう多くありませんよ。」
「報酬の内容に関しても要相談、とすればいかかですか?
 正直、依頼内容に難易度の違いがあるならば、報酬額もそれに即したものとするべきですからね。」

まぁそうかもしれないけど…。
報酬を支払うことになってまで、私たちのところに依頼を持ち込んでくれる人がいるかしら?
依頼のそもそもの数が減ったら、元も子もないと思うのよね。

「現状依頼を断ることになっても、手ぶらで帰すわけではないので何とかなっていますが、
 このまま依頼を断る数が増え続ければ、遅かれ早かれ評判が落ち込んで依頼は寄せられなくなってくるでしょう。
 それこそ身動きが取れなくなってしまいます。」

…一理ある。毎回断られるようなところにわざわざ相談事を持ち込む人はいないわよね。
ましてや悩み事は他人に話しにくいって人も多い。
折角相談するなら、しっかり依頼を受けてくれるところに持ち込みたいと思うのは当然のこと。

「まぁ行く行くは国からも委託料、のような形で国が費用をお支払いすることになるとは思いますが…。
 現状そのようなことを考えるような段階にないわけですから。
 自力で何とかする方法を考えておくに越したことはありません。」
「そうですよねぇ…。」
「ともかく、そういった相談をしていくためにも人手は増やさなくてはなりませんね。
 と、いうわけで…。聞いてましたね、アル。」
「はい!兄様!」

バーン!と執務室の窓を開け放って知らない男の人が身を乗り出していた。
いや誰!!??

「紹介します。彼はアルバート。
 私のいとこにあたる人間で、今回の外部委託の件も関心を持っているとのことで、ついてきたんですよ。」
「アルバートです!兄様がお世話になると聞いて、いてもたってもいられなくて…。
 僕もこちらで勉強させていただきたいのです!」
「はい?」
「アルには、今回の監査に参加してもらおうかと思っているのですよ。」

勝手に決めないでくださいよ!でも私たちに拒否権はないんですよね、知ってます!
もう1人監査に参加することになった、しかも高貴な身の上の人だということを両親に説明したら、
今度こそ本当に2人ともひっくり返ってしまっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

異世界生活研修所~その後の世界で暮らす事になりました~

まきノ助
ファンタジー
 清水悠里は先輩に苛められ会社を辞めてしまう。異世界生活研修所の広告を見て10日間の研修に参加したが、女子率が高くテンションが上がっていた所、異世界に連れて行かれてしまう。現地実習する普通の研修生のつもりだったが事故で帰れなくなり、北欧神話の中の人に巻き込まれて強くなっていく。ただ無事に帰りたいだけなのだが。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

妹の身代わりに殺戮の王子に嫁がされた王女。離宮の庭で妖精とじゃがいもを育ててたら、殿下の溺愛が始まりました・完結

まほりろ
恋愛
 国王の愛人の娘であるヒロインは、母親の死後、王宮内で放置されていた。  食事は一日に一回、カビたパンや腐った果物、生のじゃがいもなどが届くだけだった。  しかしヒロインはそれでもなんとか暮らしていた。  ヒロインの母親は妖精の村の出身で、彼女には妖精がついていたのだ。  その妖精はヒロインに引き継がれ、彼女に加護の力を与えてくれていた。  ある日、数年ぶりに国王に呼び出されたヒロインは、異母妹の代わりに殺戮の王子と二つ名のある隣国の王太子に嫁ぐことになり……。 ※カクヨムにも投稿してます。カクヨム先行投稿。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」 ※2023年9月17日女性向けホットランキング1位まで上がりました。ありがとうございます。 ※2023年9月20日恋愛ジャンル1位まで上がりました。ありがとうございます。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

処理中です...