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子供だからさ?
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「大概の人間は、物を買う時はいい商品を扱う店に行きたがるもんだ。そうだろ?
金払うのに変なもんつかまされちゃ、たまったもんじゃねぇ。
薬なんてもっての外。命にかかわるからな。」
「そうだな。弱っている時に、間違った薬なんて飲むわけにいかないからね。」
「そう!つまり必然的に、いい薬屋に相談事に行くやつが多くなるってわけだ!」
考えたもんだろ、とふんぞり返るレイにイラっとするものの、成果が上がっているので何も言えない。
確かに薬屋は生活する上で必ずお世話になるし、そのほとんどが困りごとの解決のため。
間違った薬を処方するわけにはいかないから、お客の話はしっかり聞いて適した薬を出してくれる。
…私たちの活動に近いことを、すでに行っている環境にあると言えるわ。
「まったく。ちょっと考えれば思いつくことだろうに。
と、言うわけで、オレは入口にいるじいさんにこの街一番の薬屋はどこか聞く。
んでもって、そこに箱を置かせてもらったってわけだ。」
「…『魔女の一撃』ね。」
「え?」
「レイ、あんたが箱を置かせてもらっている薬屋って、魔女の一撃なんでしょ。」
「…知ってたのかよ。」
この街で『魔女の一撃』を知らない人間はいない。
この店はどの薬屋よりも腕がよく、薬の効き目が抜群なのだ。
そして、子どもたちの間では怪しい噂が語り継がれているのだ。
「…魔女の一撃は確かにこの街一番の薬屋よ。だけど近づきたがる人間なんていないわよ。
だってあそこは…、魔女が薬を作っているんだから!」
「「「はぁ?」」」
「ほ、本当よ!レイ!あんた箱置かせてもらったなら店主と会ったんでしょ?
絶対に魔女だったでしょ!」
「いや、ただ口の悪い婆さんだったぞ。」
「絶対嘘よ!だって子供のころから皆あの魔女が怪しい薬を夜な夜な作ってたって言ってたのよ!」
「…お前って変なところで夢見がちっていうか…。変な奴だな。」
「何ですって!」
「ま、まぁまぁ…!」
「おばあさんがやっている薬屋さんなんだね。」
「あぁ、入口のじいさんが言うには、この街一番の腕で一番古くからやっているらしい。
大人達からは病気に関して以外でも相談が寄せられるくらい信頼されている存在みたいじゃねぇか。
子供たちからは怖がられているみたいだけどな。」
バカにして…!そのニヤニヤした顔止めなさいよ!
昔風邪をひいてお母さんと薬をもらいに行った時、あれこれ苦い薬を飲まされた記憶は忘れられない。
あの独特な笑い声が耳の奥にこびりついて消えないわ…!
「お年寄りは昔からの経験があるから、周りの人に頼りにされる存在だよね。」
「う、うん…。多分、ユイさんの言う、夜薬を作ってたって言う話…。
夜じゃないと咲かない花を原料にする薬を作ってたところだったんじゃないかな…。」
「そ、そんな薬があるの…?でも、相当怪しいおばあさんだけど…。
昔からいるって言うから、何歳なのか聞いたら『今年で127歳になる』って言うし…。」
ここいらの子どもは皆あのおばあさんが怖いはずよ!私だけじゃないわ…。
それに、あそこの薬が怖いから風邪をひかないように気をつけようってするし…、別にいいじゃない!
「年齢は絶対嘘だろ、からかわれてんだよ。
ともかく、大人達から相談が寄せられるような人間のとこに、あの箱置いとけばいいじゃねぇかってことだ。
来る人間は、みんな何かしら悩んでるってのは確実なんだからな。
問題は、そのばあさんが箱を置くことに協力してくれるかったとこだったんだが…。」
「そ、そうよ。骨つき肉と違って、こっちのコネなんてないも同然なんだから。
断られたって不思議じゃない。というかまず断られるわよ、うん。…そうよね?」
「ところが!何とばあさんから置いていいって許可が下りましたとさ!」
一体どうなっているのよ…!
前もっておばあさんと知り合いだったわけでもないのに、どうしてすんなりと許可がとれちゃうのよ。
いや、何も知らないからあの不気味なお店にためらいもなく行けちゃうのよ、きっとそう。
「すごいね、レイ。そんなにすぐに協力してもらえるなんて。」
「まあな!ただ条件もあったわけなんだが。」
「それを早く言いなさいよ!」
やっぱり面倒なことになってるじゃない!しかもこっちに何の相談もなしに…!
「そんな変なことじゃないぜ?この計画の発案者に詳しい話を聞きたいってさ。
つまりユイ。お前と話を聞きたいってことだそうだぜ、よかったな。」
一番困るやつ!じゃああの店に行かないといけないの?嘘でしょ…。
子供の頃ならいざ知らず、やっと行くことがなくなってきたっていうのに、こんな形で…。
「ところでレイ、よく薬屋が希望箱を置くのにいい場所だって気がついたね。」
「そう、そうだよ、お手柄だよ…!」
「ちょっと考えりゃ分かるだろうが。
ま、お子様はああいうところが嫌いだろうから?思いつかなかったとしても無理もないけどな。」
だからその顔止めなさいよ!
金払うのに変なもんつかまされちゃ、たまったもんじゃねぇ。
薬なんてもっての外。命にかかわるからな。」
「そうだな。弱っている時に、間違った薬なんて飲むわけにいかないからね。」
「そう!つまり必然的に、いい薬屋に相談事に行くやつが多くなるってわけだ!」
考えたもんだろ、とふんぞり返るレイにイラっとするものの、成果が上がっているので何も言えない。
確かに薬屋は生活する上で必ずお世話になるし、そのほとんどが困りごとの解決のため。
間違った薬を処方するわけにはいかないから、お客の話はしっかり聞いて適した薬を出してくれる。
…私たちの活動に近いことを、すでに行っている環境にあると言えるわ。
「まったく。ちょっと考えれば思いつくことだろうに。
と、言うわけで、オレは入口にいるじいさんにこの街一番の薬屋はどこか聞く。
んでもって、そこに箱を置かせてもらったってわけだ。」
「…『魔女の一撃』ね。」
「え?」
「レイ、あんたが箱を置かせてもらっている薬屋って、魔女の一撃なんでしょ。」
「…知ってたのかよ。」
この街で『魔女の一撃』を知らない人間はいない。
この店はどの薬屋よりも腕がよく、薬の効き目が抜群なのだ。
そして、子どもたちの間では怪しい噂が語り継がれているのだ。
「…魔女の一撃は確かにこの街一番の薬屋よ。だけど近づきたがる人間なんていないわよ。
だってあそこは…、魔女が薬を作っているんだから!」
「「「はぁ?」」」
「ほ、本当よ!レイ!あんた箱置かせてもらったなら店主と会ったんでしょ?
絶対に魔女だったでしょ!」
「いや、ただ口の悪い婆さんだったぞ。」
「絶対嘘よ!だって子供のころから皆あの魔女が怪しい薬を夜な夜な作ってたって言ってたのよ!」
「…お前って変なところで夢見がちっていうか…。変な奴だな。」
「何ですって!」
「ま、まぁまぁ…!」
「おばあさんがやっている薬屋さんなんだね。」
「あぁ、入口のじいさんが言うには、この街一番の腕で一番古くからやっているらしい。
大人達からは病気に関して以外でも相談が寄せられるくらい信頼されている存在みたいじゃねぇか。
子供たちからは怖がられているみたいだけどな。」
バカにして…!そのニヤニヤした顔止めなさいよ!
昔風邪をひいてお母さんと薬をもらいに行った時、あれこれ苦い薬を飲まされた記憶は忘れられない。
あの独特な笑い声が耳の奥にこびりついて消えないわ…!
「お年寄りは昔からの経験があるから、周りの人に頼りにされる存在だよね。」
「う、うん…。多分、ユイさんの言う、夜薬を作ってたって言う話…。
夜じゃないと咲かない花を原料にする薬を作ってたところだったんじゃないかな…。」
「そ、そんな薬があるの…?でも、相当怪しいおばあさんだけど…。
昔からいるって言うから、何歳なのか聞いたら『今年で127歳になる』って言うし…。」
ここいらの子どもは皆あのおばあさんが怖いはずよ!私だけじゃないわ…。
それに、あそこの薬が怖いから風邪をひかないように気をつけようってするし…、別にいいじゃない!
「年齢は絶対嘘だろ、からかわれてんだよ。
ともかく、大人達から相談が寄せられるような人間のとこに、あの箱置いとけばいいじゃねぇかってことだ。
来る人間は、みんな何かしら悩んでるってのは確実なんだからな。
問題は、そのばあさんが箱を置くことに協力してくれるかったとこだったんだが…。」
「そ、そうよ。骨つき肉と違って、こっちのコネなんてないも同然なんだから。
断られたって不思議じゃない。というかまず断られるわよ、うん。…そうよね?」
「ところが!何とばあさんから置いていいって許可が下りましたとさ!」
一体どうなっているのよ…!
前もっておばあさんと知り合いだったわけでもないのに、どうしてすんなりと許可がとれちゃうのよ。
いや、何も知らないからあの不気味なお店にためらいもなく行けちゃうのよ、きっとそう。
「すごいね、レイ。そんなにすぐに協力してもらえるなんて。」
「まあな!ただ条件もあったわけなんだが。」
「それを早く言いなさいよ!」
やっぱり面倒なことになってるじゃない!しかもこっちに何の相談もなしに…!
「そんな変なことじゃないぜ?この計画の発案者に詳しい話を聞きたいってさ。
つまりユイ。お前と話を聞きたいってことだそうだぜ、よかったな。」
一番困るやつ!じゃああの店に行かないといけないの?嘘でしょ…。
子供の頃ならいざ知らず、やっと行くことがなくなってきたっていうのに、こんな形で…。
「ところでレイ、よく薬屋が希望箱を置くのにいい場所だって気がついたね。」
「そう、そうだよ、お手柄だよ…!」
「ちょっと考えりゃ分かるだろうが。
ま、お子様はああいうところが嫌いだろうから?思いつかなかったとしても無理もないけどな。」
だからその顔止めなさいよ!
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