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「ここまで真剣に話してきて、夢諦めろってのかよ!」
「そういうことじゃないわ。あなたたちの気持ち、少しは分かったつもりよ。
その上で!このままの生活の送り方では、まずもって無理よ。達成できたとしてもかなり遅い。
40代、50代になっても魔獣退治ができるとは私には思えないのだけれど、どうかしら?」
「た、確かに、おじいさんになってもできる職業では、ないよね…。」
「早いうちに魔獣退治に出たいなら、早急に準備資金を支度しないと。
単純にしっかり稼いで準備しなさいな。」
「どこかに雇われるってことかな?」
「そうね、しかも住み込みでできるような職だとなお良いでしょうね。
賄いがあるとか、生活必需品を割引してもらえるとか。
その分出費を浮かせることができて、お金をためやすいから。」
節約だけでは彼らのお財布は膨らんでいかない。
収入が安定しているような冒険者は相当な腕前か、何かしら特殊なコネがある人間だろう。
彼らはそのうちには入らない。典型的な田舎町から出てきた、何も知らない若者3人組。
片田舎から英雄が誕生するなんて、そんなおとぎ話のような、伝説のような出来事は起こらないのだ。
現実は厳しい。
「時にあなたたち。何か物事を始める際に必要になるものって、何だと思う?」
「物事を始めるとき?考えたことないな…。」
「別に難しく考えることないわ。
あなたたちが冒険を出るときに、最初に準備したいと思うものって何?」
「うーん…。仲間かなぁ。一緒に冒険に出てくれる、気心の知れた仲間。」
「なるほどね。」
ウィルがそう話すと、他に2人も「確かに」といった表情で頷いている。
実際、彼らはそういう気持ちで一緒に故郷を飛び出して、ここまで旅をして来たということなのだろう。
良くも悪くも予想していた答えだ。
「きっとこれは人によっていろいろな考えがあると思うわ。
あなたたちが言っていることも、理解できる。1人で冒険は無謀だものね。
でも、私がこの質問されたとしたら答えは明確。お金。私にとっての第一の仲間はお金だわ。」
「はー、お前は夢がねぇなー。」
「人手がほしいなら、必要に応じて雇えばいいわ。
お互いの求めるものとか、目的が違うなって思ったら解雇したら解決よ。」
「な、なかなかシビアなんだね…。」
「人情で渡っていけるほど、この世の中甘くないわ。合理的にいかないと。
そこにおいて、お金というのは分かりやすい対価よ。
ここまでの状況を踏まえて、あなたたちの個人的な感情だけの判断は、一旦踏みとどまってもらいたいわ。」
「…ユイさんの言うことも分かるよ。実際俺たちはその先立つお金がなくて困っているわけだし。
でも、やっぱり仲間だよ。
お金で雇った関係の仲間と、危険な旅を頑張っていけるのか、って思うから。」
…ふーん、ただの考えなしかと思ってたけど、自分なりの考えがあるのね。
自分の信じるものがあるってことは大切だわ。
ここは譲れないってところが、何か行動する上で軸になってくるのだから。
「…まぁいいわ。
実際冒険するのはあなたたちだから、命を預け合う上で納得できる条件に妥協はしない方がいいでしょうね。
ただ、今言ったことも少し頭の隅に置いておいてちょうだい。
さて、目の前の問題に向き合うわよ。
もしうちで装備を整えるんだとしたら、必要な費用がはっきりするから稼ぐ目標金額も固まってくる。
その目標金額に届いたら、装備を買って、冒険者として踏み出せるというわけね。」
「うーん、俺たちは何か仕事をした経験があるわけじゃないから…。何ができるかな。」
「冒険者を目指す度胸があるなら、大抵の仕事に飛び込んでいけると思うけど、そこの判断は任せるわ。」
ここは城下町。多くの人が行きかい仕事の種類も豊富だ。
良し悪しはもちろんあるが、しっかりと考える頭があるなら決して悪い環境ではないだろう。
「…お前のとこ、家族経営だったよな?」
「え、そうね。あまりお店も広くないし、誰か雇ってはいないわ。…あんたまさか。」
「オレたちを雇ってみる気はないか?」
「「え?」」
「はー、やっぱり…。」
レイがニヤッと笑いながらそう持ち出してくる。
話の流れからして大体予想できたけど、なかなかに最短距離で目標に行こうと考えているじゃない。
「あんたの考えは読めてるわ。うちで働いて装備を値引きして買おうって魂胆なんでしょ。
そんな簡単にいくかしら?私たちの生活に直結する問題なのよ?」
「値引きなんてこと考えるかよ、ずいぶん迷惑かけてきたからなぁ。
お世話になった身で、そんなそんな…。」
白々しい…。ただの恩返しでこんな提案してくるはずないでしょ。
ユイはまがりにも商人の娘。お金の匂いやそこに寄ってくる人間の雰囲気に敏感であった。
こいつは確実に何か見返りを狙っているタイプの人間…!
「まぁ聞けよ。ここに3人で暮らしてるってことは、お前はこの店の1人娘ってことだろ?
親父さんやお袋さんは、さぞ可愛がっているだろうなぁ。
そんな愛娘に、無茶な仕事は任せられないだろ?」
「…可愛がられているって自覚はあるけど、甘やかされてるとは思ってないわ。
そうじゃなきゃ、よく知らない男3人組と勉強会なんて勧められないでしょ。」
「それはオレたちが不埒な輩じゃないって信用してくれてるってことだろ?」
どちらかと言えば、そんなこと思いつくような頭もないって思われているからだと思うけど。
まぁわざわざ話の腰を折って言うほどでもないか。
「家族3人で切り盛りしているとはいえ、男手は親父さん1人。
仕事は店番だけじゃないだろ?扱っている商品は武器と防具。重たいものばかり。
仕入れて倉庫に入れる、倉庫から店頭に並べる。そこに関しちゃ力仕事は必須だ。」
「…そうね。」
「親父さんがずっと荷運びばっかりしてるわけにはいかないだろ?
そこにオレたちという人手が加われば解決だ。」
「ふーん。」
「そしてこの店に来る客!ここも問題になりがちだな。
武器を買いに来る客は、これから冒険に出ようってやつらばかりだろ。
冒険者目指す奴なんて、大概が普通の職に就けないような輩だぜ。」
あんたが言えたクチか、ってのは済んでのところで飲み込むことができた。
みんながみんなそんな人たちばかりじゃないけれど、しつこく値切ろうとしたりいちゃもんつけてくるような人間が一定数いることも確かだ。
そういったお客様には、お父さんが対応することにしている。
「可愛い娘にそんな危ない奴の接客はさせたくないってのが、親心ってやつよ。
そうなると、親父さんもお袋さんも店から離れられねぇ。
商売ってのは、ずっと店にいて成り立つもんでもねぇだろ?
商品を卸してもらうために、出張って話し合いに行くことだってあるはずだ。」
「…。」
「商品の仕入れは大事な部分だ。普通、店主自ら目利きして決めたいと思うもんだ。
お袋さんが仕入れを担当してんのか?」
「企業秘密ってことにさせてもらうわ。」
「まぁ少なくとも、現状で親父さんとお袋さんの担っている仕事の量が多いってことだ。
そこから単純な作業を他に任せる。多少なりとも身軽に仕事ができる。それだけでも悪くない話だと思うぜ?」
私が自分の性別や若さを悔やんだことは1度や2度ではない。
若いから、商売のイロハが分からないだろうと提案を下げられたこともある。
息子だったら、後継ぎとしてもっと積極的にお父さんについて行って経験が積めただろう。
力仕事だってどんどん任せてもらえたはず。
両親の気持ちはありがたいが、この店に貢献できていない気がしてもどかしいのだ。
きっと2人はそんなこと考えていない。だからこれは自分のエゴだ。
この店に貢献している、両親の役に立っているという実感がほしい。
無償の愛ではなく、この店に必要な存在でありたい。そんな私のわがまま。
「…悪い話かどうかは別として、うちで働きたいとお父さんに交渉するのはご自由にどうぞ?
どちらにせよ、最終決定権はお父さんにあるもの。」
「止めてほしいとかはないのかよ。」
「…こっちにも思うところがあるのは確かよ。いろいろとね。
だから、こっちからも提案したいことがあるわ。」
「提案?俺たちに?」
「えぇ。あなたたち、私のわがままに付き合ってくれないかしら?」
「「「えぇ…?」」」
「そういうことじゃないわ。あなたたちの気持ち、少しは分かったつもりよ。
その上で!このままの生活の送り方では、まずもって無理よ。達成できたとしてもかなり遅い。
40代、50代になっても魔獣退治ができるとは私には思えないのだけれど、どうかしら?」
「た、確かに、おじいさんになってもできる職業では、ないよね…。」
「早いうちに魔獣退治に出たいなら、早急に準備資金を支度しないと。
単純にしっかり稼いで準備しなさいな。」
「どこかに雇われるってことかな?」
「そうね、しかも住み込みでできるような職だとなお良いでしょうね。
賄いがあるとか、生活必需品を割引してもらえるとか。
その分出費を浮かせることができて、お金をためやすいから。」
節約だけでは彼らのお財布は膨らんでいかない。
収入が安定しているような冒険者は相当な腕前か、何かしら特殊なコネがある人間だろう。
彼らはそのうちには入らない。典型的な田舎町から出てきた、何も知らない若者3人組。
片田舎から英雄が誕生するなんて、そんなおとぎ話のような、伝説のような出来事は起こらないのだ。
現実は厳しい。
「時にあなたたち。何か物事を始める際に必要になるものって、何だと思う?」
「物事を始めるとき?考えたことないな…。」
「別に難しく考えることないわ。
あなたたちが冒険を出るときに、最初に準備したいと思うものって何?」
「うーん…。仲間かなぁ。一緒に冒険に出てくれる、気心の知れた仲間。」
「なるほどね。」
ウィルがそう話すと、他に2人も「確かに」といった表情で頷いている。
実際、彼らはそういう気持ちで一緒に故郷を飛び出して、ここまで旅をして来たということなのだろう。
良くも悪くも予想していた答えだ。
「きっとこれは人によっていろいろな考えがあると思うわ。
あなたたちが言っていることも、理解できる。1人で冒険は無謀だものね。
でも、私がこの質問されたとしたら答えは明確。お金。私にとっての第一の仲間はお金だわ。」
「はー、お前は夢がねぇなー。」
「人手がほしいなら、必要に応じて雇えばいいわ。
お互いの求めるものとか、目的が違うなって思ったら解雇したら解決よ。」
「な、なかなかシビアなんだね…。」
「人情で渡っていけるほど、この世の中甘くないわ。合理的にいかないと。
そこにおいて、お金というのは分かりやすい対価よ。
ここまでの状況を踏まえて、あなたたちの個人的な感情だけの判断は、一旦踏みとどまってもらいたいわ。」
「…ユイさんの言うことも分かるよ。実際俺たちはその先立つお金がなくて困っているわけだし。
でも、やっぱり仲間だよ。
お金で雇った関係の仲間と、危険な旅を頑張っていけるのか、って思うから。」
…ふーん、ただの考えなしかと思ってたけど、自分なりの考えがあるのね。
自分の信じるものがあるってことは大切だわ。
ここは譲れないってところが、何か行動する上で軸になってくるのだから。
「…まぁいいわ。
実際冒険するのはあなたたちだから、命を預け合う上で納得できる条件に妥協はしない方がいいでしょうね。
ただ、今言ったことも少し頭の隅に置いておいてちょうだい。
さて、目の前の問題に向き合うわよ。
もしうちで装備を整えるんだとしたら、必要な費用がはっきりするから稼ぐ目標金額も固まってくる。
その目標金額に届いたら、装備を買って、冒険者として踏み出せるというわけね。」
「うーん、俺たちは何か仕事をした経験があるわけじゃないから…。何ができるかな。」
「冒険者を目指す度胸があるなら、大抵の仕事に飛び込んでいけると思うけど、そこの判断は任せるわ。」
ここは城下町。多くの人が行きかい仕事の種類も豊富だ。
良し悪しはもちろんあるが、しっかりと考える頭があるなら決して悪い環境ではないだろう。
「…お前のとこ、家族経営だったよな?」
「え、そうね。あまりお店も広くないし、誰か雇ってはいないわ。…あんたまさか。」
「オレたちを雇ってみる気はないか?」
「「え?」」
「はー、やっぱり…。」
レイがニヤッと笑いながらそう持ち出してくる。
話の流れからして大体予想できたけど、なかなかに最短距離で目標に行こうと考えているじゃない。
「あんたの考えは読めてるわ。うちで働いて装備を値引きして買おうって魂胆なんでしょ。
そんな簡単にいくかしら?私たちの生活に直結する問題なのよ?」
「値引きなんてこと考えるかよ、ずいぶん迷惑かけてきたからなぁ。
お世話になった身で、そんなそんな…。」
白々しい…。ただの恩返しでこんな提案してくるはずないでしょ。
ユイはまがりにも商人の娘。お金の匂いやそこに寄ってくる人間の雰囲気に敏感であった。
こいつは確実に何か見返りを狙っているタイプの人間…!
「まぁ聞けよ。ここに3人で暮らしてるってことは、お前はこの店の1人娘ってことだろ?
親父さんやお袋さんは、さぞ可愛がっているだろうなぁ。
そんな愛娘に、無茶な仕事は任せられないだろ?」
「…可愛がられているって自覚はあるけど、甘やかされてるとは思ってないわ。
そうじゃなきゃ、よく知らない男3人組と勉強会なんて勧められないでしょ。」
「それはオレたちが不埒な輩じゃないって信用してくれてるってことだろ?」
どちらかと言えば、そんなこと思いつくような頭もないって思われているからだと思うけど。
まぁわざわざ話の腰を折って言うほどでもないか。
「家族3人で切り盛りしているとはいえ、男手は親父さん1人。
仕事は店番だけじゃないだろ?扱っている商品は武器と防具。重たいものばかり。
仕入れて倉庫に入れる、倉庫から店頭に並べる。そこに関しちゃ力仕事は必須だ。」
「…そうね。」
「親父さんがずっと荷運びばっかりしてるわけにはいかないだろ?
そこにオレたちという人手が加われば解決だ。」
「ふーん。」
「そしてこの店に来る客!ここも問題になりがちだな。
武器を買いに来る客は、これから冒険に出ようってやつらばかりだろ。
冒険者目指す奴なんて、大概が普通の職に就けないような輩だぜ。」
あんたが言えたクチか、ってのは済んでのところで飲み込むことができた。
みんながみんなそんな人たちばかりじゃないけれど、しつこく値切ろうとしたりいちゃもんつけてくるような人間が一定数いることも確かだ。
そういったお客様には、お父さんが対応することにしている。
「可愛い娘にそんな危ない奴の接客はさせたくないってのが、親心ってやつよ。
そうなると、親父さんもお袋さんも店から離れられねぇ。
商売ってのは、ずっと店にいて成り立つもんでもねぇだろ?
商品を卸してもらうために、出張って話し合いに行くことだってあるはずだ。」
「…。」
「商品の仕入れは大事な部分だ。普通、店主自ら目利きして決めたいと思うもんだ。
お袋さんが仕入れを担当してんのか?」
「企業秘密ってことにさせてもらうわ。」
「まぁ少なくとも、現状で親父さんとお袋さんの担っている仕事の量が多いってことだ。
そこから単純な作業を他に任せる。多少なりとも身軽に仕事ができる。それだけでも悪くない話だと思うぜ?」
私が自分の性別や若さを悔やんだことは1度や2度ではない。
若いから、商売のイロハが分からないだろうと提案を下げられたこともある。
息子だったら、後継ぎとしてもっと積極的にお父さんについて行って経験が積めただろう。
力仕事だってどんどん任せてもらえたはず。
両親の気持ちはありがたいが、この店に貢献できていない気がしてもどかしいのだ。
きっと2人はそんなこと考えていない。だからこれは自分のエゴだ。
この店に貢献している、両親の役に立っているという実感がほしい。
無償の愛ではなく、この店に必要な存在でありたい。そんな私のわがまま。
「…悪い話かどうかは別として、うちで働きたいとお父さんに交渉するのはご自由にどうぞ?
どちらにせよ、最終決定権はお父さんにあるもの。」
「止めてほしいとかはないのかよ。」
「…こっちにも思うところがあるのは確かよ。いろいろとね。
だから、こっちからも提案したいことがあるわ。」
「提案?俺たちに?」
「えぇ。あなたたち、私のわがままに付き合ってくれないかしら?」
「「「えぇ…?」」」
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