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将来の夢発表!

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「削れないところを考えればいいのかい?」
「お前の考えは分かるぜ。節約させたいって言うんだろ?
 だとしたら、普通は削れる部分を考えるもんじゃないのか?」
「節約してほしいのは確かよ。でも削れる部分を考える、だとぼんやりとしすぎてる。
 人間ってのは、基本的に生活の質を下げたくないものよ。
 だったら、先にこれ以上削れないところをはっきりさせてから攻略方法を考えた方が具体的に考えられるわ。」
「な、なるほど…。
 ぼ、僕たちだったら…、宿代は減らすことが難しいよね。」
「この街での拠点が無くなっちまうからな。特に高い宿を取ってるわけでもないし。」
「だとしたら…。」

男が3人集まって、家計のあり方について話し合っている図はなかなか斬新ね。
冒険者という不安定な職業である以上、自分たちの立ち位置を自覚することは不可欠。

「…なかなか難しいな。俺たち別に贅沢しているわけではないし…。
 ユイさん、何か助言もらえないかな?」
「例えば、そうね。あなたたち実家はどこなの?
 宿代が問題になったとすれば、一旦実家に戻って宿代を削って、お金をしっかり貯める方法だってあるわ。」
「…俺たちは…。」
「オレたちはレノン村の出身だ。家出同然に出てきたから、戻る選択肢はねぇ。」
「…。」
「…そうなの。じゃあ定番だけど、食費を削るとなったら自炊するとかね。」
「あ、あまり、料理得意じゃないなぁ…。」

レノン村。ここから南にある、農村ね。
昔はそこで採れた果物や野菜が店先に並ぶのを見かけることがあったけど、最近はとんと、って感じね。
子供の頃、風邪をひいたらそこで採れたリンゴをすりおろしてもらうのが好きだったわ。
まぁとにかく食費ね。食べ盛りの男が3人。自炊したとしても劇的に出費を抑えるだけの自炊は難しいかも。
…ここはさらに視点を変える必要があるわね。

「じゃあ、一旦目的を整理しましょう。あなたたち、これからどうなりたいの?」
「どうなりたいって…。とにかく買い物が満足にできるようにお金を持ってたいよね。」
「それは当面の目標でしょ?例えば、冒険者として名をあげる、とか。」
「オレはそこまで冒険者にこだわってるわけじゃねぇな。…魔獣退治は大事だと思うけどな。」
「ぼ、僕も…。自分に向いているとは、思えないし…。」
「ふーん。ウィル、あなたは?」
「…冒険者であることにこだわりはないよ。だけど魔獣退治は続けたい。」

どうやら彼らが重きを置いているのは魔獣退治の部分。
冒険者の中にも、正義感でやっているものと一山あてようと参加しているものと様々だ。
目的が違う者たちが同じように活動していても適切じゃないし、同じである必要でもない。

「…うちを例に挙げると、間接的ではあるけど魔獣退治に貢献していると言えるわ。
 冒険者たちに武器と防具を売ることで、彼らの魔獣退治を支援している、ということね。
 魔獣退治に関わる方法は、何も直接戦うことだけではないわ。」
「…考え方によっては、そうだな。」
「もし生活に困らないだけ稼いで、魔獣退治に貢献したい、という立ち方をするのであれば。
 この街にこだわる必要はないわ、もっと物価が低い町や村に行ってもそれは叶えることができるでしょう。」

ここは城下町。ここで生まれ育った私にはあまり実感はないが、田舎町と比べればいろいろな物価が高いはず。
お金を貯めたいのであれば、わざわざそんな状況に身を置く必要はない。
この街での活動にこだわりがないのであれば、そんな選択もできるだろう。

「…俺は魔獣退治ができるようになりたい。自分の手で。」
「…じゃあ、まずは自分の装備をしっかり整えられるようにすることが目下の目標かしら。
 魔獣退治はこの街でする必要があるの?」
「オレはその方がいいな。遠い町に向かう金もねぇしな。」
「…確かにね。自力で向かうのは危険もあるし。」

自分で魔獣退治ができるようになる。一応の目標は明確にできたわね。
この目標に向かって小さなステップを踏んでいくことで、確実に最終目標に近づくことができるわ。
しかし、この街にいながらにして身の回りを整える、か。

「正直、すぐにその目標を達成することはかなり難しいわ。
 自分たちで出費の内容を書き出してみて実感できたと思うけど。」
「…無理かな、俺たちの力じゃ。」
「私は戦いの心得があるわけじゃないから、魔獣退治ができるかどうかに関しては分からないわ。
 でも、そこに向かって道を整えていくお手伝いはできるかもしれない。
 それに、目標に向かって行動してみることは決して無駄ではないと信じている。」
「…。」
「そのうえで言うわ。一旦その道から離れてみることよ。」
「「「離れる?」」」
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