合唱祭でお漏らし

スカピファン

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合唱祭でお漏らし

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今年はついに大きい会場での開催となる。小学校では大きな会場で歌うということが無かった。大きな会場で合唱をするのは中学2年の今年が初めてだ。会場にはバスで向かうため、いつもより登校時間が早い。

佐藤椋介はいつもより早くアラームを設定したが、寝坊してしまった。小学校のころから仲の良い淳と一緒に登校する約束だった。あと15分で家を出なければいけない。椋介は準備を急いだ。
歯磨きをしながら寝癖を整え、そのあとに持ち物をそろえる。食パンに好きなブルーベリージャムを塗って頬張り、制服に着替える。残り5分。残った僅かな時間で髪型を整え、家を出る。
集合場所には淳とほぼ同時に着いた。椋介は集合場所まで走った時に乱れた髪型を整えながら淳と共に学校へ向かう。
───学校に着いたのは俺らが最後だった。昇降口前に2年生が集合し、先生からの話が始まる。
出席確認や注意事項などを終え、バスに乗り込むことになった。会場まではバスで約40分。バスの中で合唱の練習をしたり、まるで修学旅行のときのようにわちゃわちゃしたりしていた。
バスに乗ってから20分ほど経って、俺はあることに気が付く。…トイレに行くのを忘れていたのだ。
普段なら朝起きてから1回は必ず家でトイレに行く。今日の朝はバタバタしていたせいで尿意には気が付かなかったが、今日は一度もトイレに行っていなかった。とはいっても、まだ耐えれらるほどの尿意だったので焦ることはなかった。
バスが会場近くに到着し、クラスごとにまとまって会場に入る。俺はそこでトイレに行かせてもらおうとしたが、まだ後からでもトイレに行く時間があると思い、そこでは行かなかった。
驚くことに、合唱祭には15校近くの生徒がいた。俺らの学校の発表は昼休憩を挟んだ次の次。それまでは他校の合唱を鑑賞する。俺は結局タイミングが無く、トイレに行けないまま1校目の発表が始まってしまった。
途中退席も考えたが、俺の座っている席は中央に近く、みんながいる中席を立つのは恥ずかしい。とりあえずお昼休憩までは頑張って耐えることにした。尿意が強まり、俺は焦る。焦れば焦るほど時間の経過が遅く感じる。このまま漏らしてしまうのではないか。中学2年生にもなってお漏らしをしたら周りからどんな扱いをされるだろうか。
大量の冷や汗をかきながらなんとか昼休憩まで耐えることができた。一旦会場から全員移動し、昼ご飯を食べる。学校ごとに集合し、鶴ヶ丘中学校も全員集合した。
「トイレ行きたい人は言って来てー」
学年主任が生徒に声をかける。
「(やっと行ける…!)」
しかしトイレに行くのは俺だけのようだった。少し行きづらかったが、人が多くいたおかげであまり目立たないはずだ。しかしトイレがどこにあるのか分からなかった。人がごちゃごちゃしていて動きづらいし、そもそもトイレがどこにあるかの案内がされていない。俺があたりを見渡していると
「椋介!!」
淳が声をかけてきた。俺はその声に驚き思わず漏らしてしまいそうになった。
「昼飯一緒に食おうぜ。」
俺はそれどころではなかった。
「なあ、淳。トイレどこにあるか知らないか…?」
恥ずかしさを振り切って俺は淳に訊く。しかし淳も場所を知らなかった。どうしようかと迷っていると鶴ヶ丘中学校の生徒たちが移動しているのが見えた。
「やべ!椋介俺たち置いて行かれるぞ!!」
トイレならあとからでも大丈夫。外でこっそりしてもバレない。俺は自分にそう言い聞かせてトイレを後回しにしてしまった。
とりあえずご飯を食べ終え、俺はこっそり人がいないところを探し向かう。
「(今しかない…)」
バレたら絶対にからかわれる。からかわれることは普段からもあるが、外でこっそり放尿してからかわれるのは訳が違う。俺は一度周りを確認してからベルトに手をかける。ファスナーを下ろそうとしたところで、
「椋介!!」
また声をかけられた。俺はあわててベルトを戻し、くるりと後ろを向く。
「お前何してんの?」
「いや、ワイシャツ整えてた。」
ヒヤっとしたが、なんとか誤魔化せた。
「もう移動するってよ。また置いて行かれるぞ。」
会場に戻ったらすぐにトイレに行かせてもらおう。俺はそう思って、膀胱が破裂しそうなくらいの尿意を我慢しながらみんなのもとへ向かう。
───最悪だ。すぐにトイレに行かせてもらおうとしたのに、発表の準備に入ってしまった。次の次だから
1校分の余裕があると思っていたが、時間をかけないために早めに準備をしなければいけなかったのだ。
発表が終わったら席に戻る前にトイレに行こう。それが最後のチャンスだと思いながらとうとう鶴ヶ丘中学校の発表が始まった。合唱中は姿勢よく、そして手で股間を抑えられない。途中で抜ければ一生いじられる。姿勢をよくすると一気に尿意が増し、おしっこが尿道口まで出てきてしまう。
「(やばい…!漏れる漏れる漏れる!!!)」
俺はつい前屈みになる。パンツの中が温かくなる感覚を覚えた。一度で始めたおしっこは止まることなく、勢いを増して一気に出てくる。びちゃびちゃと音を立てながら俺の足元に水たまりができる。その異変に気付いた周りの友達が一瞬声を出した後ステージの端にいる先生を呼ぶ。伴奏や指揮は止まり、クラスのみんなも、そして鑑賞している他校の生徒も全員が俺を見ている。
俺は、恥ずかしいとか、悲しいとか、そういう感情は一切湧かなかった。ただただ頭が真っ白になって、先生に引っ張られるままに歩く。
俺は保健室の先生から着替えをもらい、トイレで着替える。制服のズボンは重たくなり、冷たい。ワイシャツまで濡れていて、おしっこの臭いで個室が満たされる。

着替え終わった後は俺はもう会場に戻らなかった。意外にも俺をいじってくるやつはいなかった。数人の友達が俺に気を遣った言葉をかけてきた。俺はその日は誰とも一切言葉を交わさず家に帰った。
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