48 / 89
45.大事なひとが倒れまして。
しおりを挟む
それからしばらくの間は、平穏が続いた。
エリアスの手配により、店の周辺を中心に中央通りの警備隊パトロールが強化された。ほかにも、個人的にマルスやニースも目を光らせてくれたためだろう。店を覗いていた怪しい男たちが姿を現すことはなかった。
エリアスによれば、それらしき男たちは何度かパトロール中に目撃されているらしい。けれども警備隊を見るとすぐに逃げていく。おかげで、フィアナはもちろんのこと、フィアナたちの代わりに買い物等を請け負ってくれているエリアスの家のひとも含めて、恐い目にあうことはなかった。
このまま何事もなく終わるかもしれない。そうフィアナが安心した頃。
事件は起きてしまった。
「いらっしゃいませ!」
賑わう店内に、元気なフィアナの声が今夜も響く。
時刻は少し遅かったが、明日が安息日のためか店内はほぼ満席。例の男たちの動きがもこのところ落ち着いていたこともあって、フィアナもホールを走り回っていた。
「どうぞ、キュリオさん! たまごの燻製です!」
「ありがとう、フィアナちゃん。今日も忙しそうね」
「はい、おかげさまで」
お皿を受け取りながら、キュリオが笑いかける。その横でビールをぐびぐびと飲んでいたニースも、ぷはっと息を吐きだしてから身を乗り出した。
「そろそろエリアスも来る頃だな。あいつも、今日はお前が店に出てるから喜びそうだな」
「そうね。まあエリアスちゃんの場合、フィアナちゃんがいなかったらいなかったで、二階まで会いに行けちゃうわけだけど。その点、親公認のお付き合いっていうのはいいものね」
「こりゃ、フィアナの花嫁姿を見られるのも秒読みだな。おいベクター! いまから心の準備をしておいたほうがいいぞ。ひとり娘の旅立ちは、涙なしには見られないだろ?」
「そ、そんなのまだ先ですよ! ニースさん、気が早いです」
両親に話が飛んだところで、フィアナは慌てて口を挟む。実際、エリアスと付き合い始めてからというものの、父が時たま寂しそうな目でフィアナを見るようになったのだ。やはり父親にとっては、一人娘に彼氏ができるというのは一大事件だったらしい。
と、そのように、いつもと変わらない平和な時間が流れているさなかだった。
からんとドアベルが鳴って、新たな来客を告げる。音につられて顔を上げたフィアナは、そこにいた男たちを見て、その場に固まってしまった。
「邪魔するぜ、お嬢ちゃん」
それは、先日店を覗いていた怪しい男たちだった。見るからに荒くれ者といった風貌の男たちに、ほかの客もしんと静まり返る。ぞろぞろと男たちが空いている席に向かおうとしたところで、異変に気付いたベクターが厨房から顔を出した。
「――すみません、お客さん。いま、空いているのは二人掛け用の小さなテーブルひとつなんです。お客さん方には狭すぎてしまうんじゃないかと」
「いいって、いいって。酒がのめりゃ、俺たちは気にしねえ。椅子だけは頼むぜ? 立ったまま飲んだんじゃ、長く酒が楽しめないからな」
にやにやと嫌な笑いを浮かべたまま、リーダー格の男が空いている椅子に座る。そのすきに、ほかの男たちも勝手にほかのテーブルの使っていない席を奪って、リーダーの周りにどしどしと腰を下ろした。
こうなってしまうと追い出すわけにもいかない。ベクターは仕方なく、フィアナを下がらせようと娘を見る。けれども、それを見越したようにリーダー格の男がフィアナを呼びつけた。
「お嬢ちゃん、注文いいかい」
「……フィアナ。いいから」
「お嬢ちゃん!」
ベクターが制止するのにかぶせるように、男が声を張り上げる。そして、ぎろりとフィアナを睨んだ。
「注文だ。大事なお客が、呼んでいるんだぜ?」
「……はい、ただいま」
ぎゅっとメニュー表を握りしめて、フィアナは覚悟を決めた。そして、心配そうな父の視線の振り切り、カウンターを出て男たちのテーブルへと向かう。
そうやって近くに立つと、男は面白いものを見るようにフィアナを眺めた。
「――お嬢ちゃん。根性座っているじゃねえか」
「ありがとうございます」
目を逸らさずに答えると、男がふっと笑みを漏らす。それから男は、ほかの客と同じようにビールといくつかの料理を頼む。メモをとったフィアナは軽く頭を下げて、すぐに厨房へと引っ込む。その間、男たちの不躾な目線は相変わらずフィアナに向けられていたが、どうにか気にしないように努めた。
そうやって時間が過ぎ、ほかの客たちも男たちの存在を忘れて再び楽しみ始めた頃。ふいに、ドスのきいた声が店内に響いた。
「おい。何見てんだ、てめえ」
ぴりりと空気が張りつめる。怒声を上げたのは、例の男たちのひとり。その矛先は、すぐ隣の席で食事を楽しんでいた老夫婦だった。
怯える夫人を守るように隠しながら、紳士がおろおろと首を振る。
「い、いや。私たちは何も……」
「見てただろうがよ。なんだ。なんか文句でもあんのかぁ?」
明らかな言いがかりだ。だが、声を上げた男は身を乗り出して老夫婦を威嚇しており、ほかの男たちはにやにやと面白そうに眺めるだけで、それを咎める気配はない。
「おい、あんたたち……」
「待て、ベクター」
自分の方が荒事の対処には慣れていると判断したのだろう。見かねてカウンターを出かけたベクターを、ニースが止める。店主に代わって立ち上がった彼は、大きな体をいからせて男たちのテーブルへと向かった。
「おい。お前ら、この店の中で荒事は……、っ!?」
最後まで言い終わる前に、男が動いた。男は素早く立ち上がると、振り向きざまにニースへと殴り掛かった。不意を突かれたニースの頬に、男の拳がさく裂する。その勢いで背後の別のカップルの席にニースが倒れこむと、店内に悲鳴が上がった。
「荒事って、こういうことか?」
殴った手をひらひらと振って、男が挑発する。その姿に、ニースは起き上がりながらかっと怒りを顔に浮かべた。
「てんめぇ……っ」
「ニース!! 乗せられちゃダメよ!!」
キュリオの声が鋭く響く。それを聞いたニースが一瞬動きを止めたのを、男は見逃さなかった。男は椅子を持ち上げると、ぶんとキュリオに向けて放り投げた。
「だったら、てめえが相手するか!?」
「きゃあっ!?」
キュリオの悲鳴が引き金となった。ほかの客も一斉に立ち上がり、悲鳴を上げながらわらわらと店外に逃げ出す。
混乱のさなか、辛くも椅子はぶつからなかったものの、体を庇ってしゃがみこんでしまったキュリオに、フィアナは駆け寄った。
「キュリオさん、大丈夫ですか!?」
「フィアナ、下がりなさい!」
「ダメよ、フィアナちゃん!!」
両親とキュリオが、同時に叫ぶ。それとほぼ同じくして、ニースが最初に騒ぎを起こした男の胸倉に掴みかかり、乱闘騒ぎとなった。
――悲鳴と怒号がグレダの酒場に響いていたその時。エリアスを乗せた馬車が店の前に到着した。ちょうど次々に客が逃げ出す場面に遭遇した彼は、顔色を変えて馬車を飛び出し、ほかの人々とは逆に店へと駆けこんだ。
瞬間、カウンターの脇でうずくまるキュリオとフィアナ、そして男たちにより持ち上げられたニースが、まさにフィアナたちのいる辺りをめがけて投げられるのを目撃した。
「――フィアナさん!!!!」
考えるより先に、エリアスは床を蹴ってフィアナたちのもとへと飛び込んだ――。
「……エリアス、さん?」
ぎゅっと目を瞑っていたフィアナは、恐る恐る目を開けた。たったいま、エリアスの声がした気がしたのだ。
つい今しがたまで店内を満たしていた乱闘の音も、なぜか止んでいる。そのことを不思議に思いつつ顔を上げた彼女は、目の前に倒れている人物に目を見開き、悲鳴を上げた。
「エリアスさん!!!!」
男たちに投げられたニースとフィアナたちの間に飛び込んだのだろう。ニースと折り重なるようにして、エリアスが倒れている。問題なのは、そのエリアスの額が切れて、赤い血がぽたぽたと床に垂れていた。
「な、なんで……。エリアスさん、エリアスさん!?!?」
「待って、フィアナちゃん! 動かしちゃダメ!!」
パニックに陥るフィアナを、キュリオが後ろから羽交い絞めにして止める。だが、眠るように気絶して横たわるエリアスを前に、フィアナの瞳からは次々に涙が浮かんで落ちた。
「お、おい……」
「行くぞ!」
血を流すエリアスを見て、男たちも顔色を変える。そして、先ほどまで見せていた血の気の多さなど嘘のように、あわただしく店の外へと逃げていった。けれども、店主である両親やキュリオ、ましてや青ざめてエリアスにすがるフィアナのだれひとりとして、彼らを追いかけることは出来なかった。
倒れるエリアスのもとに動ける者が集まるなか、ニースも腰を押さえて起き上がった。
「い、いてててて……。うおっ!? エリアス!? どうしたんだ、いったい!?」
「あんたにぶつかって、そのままカウンターに頭をぶつけちゃったのよ! ……大丈夫。呼吸はしているわ。ベクター、すぐにお医者さんを呼んできて。それからカーラ。二階にベッドの用意をお願い。ニース、私たちでエリアスちゃんを運ぶわよ!」
キュリオがてきぱきとその場を仕切る中、フィアナはただ、はらはらと涙を流しながら呆然とエリアスの手を握ることしかできなかった。
エリアスの手配により、店の周辺を中心に中央通りの警備隊パトロールが強化された。ほかにも、個人的にマルスやニースも目を光らせてくれたためだろう。店を覗いていた怪しい男たちが姿を現すことはなかった。
エリアスによれば、それらしき男たちは何度かパトロール中に目撃されているらしい。けれども警備隊を見るとすぐに逃げていく。おかげで、フィアナはもちろんのこと、フィアナたちの代わりに買い物等を請け負ってくれているエリアスの家のひとも含めて、恐い目にあうことはなかった。
このまま何事もなく終わるかもしれない。そうフィアナが安心した頃。
事件は起きてしまった。
「いらっしゃいませ!」
賑わう店内に、元気なフィアナの声が今夜も響く。
時刻は少し遅かったが、明日が安息日のためか店内はほぼ満席。例の男たちの動きがもこのところ落ち着いていたこともあって、フィアナもホールを走り回っていた。
「どうぞ、キュリオさん! たまごの燻製です!」
「ありがとう、フィアナちゃん。今日も忙しそうね」
「はい、おかげさまで」
お皿を受け取りながら、キュリオが笑いかける。その横でビールをぐびぐびと飲んでいたニースも、ぷはっと息を吐きだしてから身を乗り出した。
「そろそろエリアスも来る頃だな。あいつも、今日はお前が店に出てるから喜びそうだな」
「そうね。まあエリアスちゃんの場合、フィアナちゃんがいなかったらいなかったで、二階まで会いに行けちゃうわけだけど。その点、親公認のお付き合いっていうのはいいものね」
「こりゃ、フィアナの花嫁姿を見られるのも秒読みだな。おいベクター! いまから心の準備をしておいたほうがいいぞ。ひとり娘の旅立ちは、涙なしには見られないだろ?」
「そ、そんなのまだ先ですよ! ニースさん、気が早いです」
両親に話が飛んだところで、フィアナは慌てて口を挟む。実際、エリアスと付き合い始めてからというものの、父が時たま寂しそうな目でフィアナを見るようになったのだ。やはり父親にとっては、一人娘に彼氏ができるというのは一大事件だったらしい。
と、そのように、いつもと変わらない平和な時間が流れているさなかだった。
からんとドアベルが鳴って、新たな来客を告げる。音につられて顔を上げたフィアナは、そこにいた男たちを見て、その場に固まってしまった。
「邪魔するぜ、お嬢ちゃん」
それは、先日店を覗いていた怪しい男たちだった。見るからに荒くれ者といった風貌の男たちに、ほかの客もしんと静まり返る。ぞろぞろと男たちが空いている席に向かおうとしたところで、異変に気付いたベクターが厨房から顔を出した。
「――すみません、お客さん。いま、空いているのは二人掛け用の小さなテーブルひとつなんです。お客さん方には狭すぎてしまうんじゃないかと」
「いいって、いいって。酒がのめりゃ、俺たちは気にしねえ。椅子だけは頼むぜ? 立ったまま飲んだんじゃ、長く酒が楽しめないからな」
にやにやと嫌な笑いを浮かべたまま、リーダー格の男が空いている椅子に座る。そのすきに、ほかの男たちも勝手にほかのテーブルの使っていない席を奪って、リーダーの周りにどしどしと腰を下ろした。
こうなってしまうと追い出すわけにもいかない。ベクターは仕方なく、フィアナを下がらせようと娘を見る。けれども、それを見越したようにリーダー格の男がフィアナを呼びつけた。
「お嬢ちゃん、注文いいかい」
「……フィアナ。いいから」
「お嬢ちゃん!」
ベクターが制止するのにかぶせるように、男が声を張り上げる。そして、ぎろりとフィアナを睨んだ。
「注文だ。大事なお客が、呼んでいるんだぜ?」
「……はい、ただいま」
ぎゅっとメニュー表を握りしめて、フィアナは覚悟を決めた。そして、心配そうな父の視線の振り切り、カウンターを出て男たちのテーブルへと向かう。
そうやって近くに立つと、男は面白いものを見るようにフィアナを眺めた。
「――お嬢ちゃん。根性座っているじゃねえか」
「ありがとうございます」
目を逸らさずに答えると、男がふっと笑みを漏らす。それから男は、ほかの客と同じようにビールといくつかの料理を頼む。メモをとったフィアナは軽く頭を下げて、すぐに厨房へと引っ込む。その間、男たちの不躾な目線は相変わらずフィアナに向けられていたが、どうにか気にしないように努めた。
そうやって時間が過ぎ、ほかの客たちも男たちの存在を忘れて再び楽しみ始めた頃。ふいに、ドスのきいた声が店内に響いた。
「おい。何見てんだ、てめえ」
ぴりりと空気が張りつめる。怒声を上げたのは、例の男たちのひとり。その矛先は、すぐ隣の席で食事を楽しんでいた老夫婦だった。
怯える夫人を守るように隠しながら、紳士がおろおろと首を振る。
「い、いや。私たちは何も……」
「見てただろうがよ。なんだ。なんか文句でもあんのかぁ?」
明らかな言いがかりだ。だが、声を上げた男は身を乗り出して老夫婦を威嚇しており、ほかの男たちはにやにやと面白そうに眺めるだけで、それを咎める気配はない。
「おい、あんたたち……」
「待て、ベクター」
自分の方が荒事の対処には慣れていると判断したのだろう。見かねてカウンターを出かけたベクターを、ニースが止める。店主に代わって立ち上がった彼は、大きな体をいからせて男たちのテーブルへと向かった。
「おい。お前ら、この店の中で荒事は……、っ!?」
最後まで言い終わる前に、男が動いた。男は素早く立ち上がると、振り向きざまにニースへと殴り掛かった。不意を突かれたニースの頬に、男の拳がさく裂する。その勢いで背後の別のカップルの席にニースが倒れこむと、店内に悲鳴が上がった。
「荒事って、こういうことか?」
殴った手をひらひらと振って、男が挑発する。その姿に、ニースは起き上がりながらかっと怒りを顔に浮かべた。
「てんめぇ……っ」
「ニース!! 乗せられちゃダメよ!!」
キュリオの声が鋭く響く。それを聞いたニースが一瞬動きを止めたのを、男は見逃さなかった。男は椅子を持ち上げると、ぶんとキュリオに向けて放り投げた。
「だったら、てめえが相手するか!?」
「きゃあっ!?」
キュリオの悲鳴が引き金となった。ほかの客も一斉に立ち上がり、悲鳴を上げながらわらわらと店外に逃げ出す。
混乱のさなか、辛くも椅子はぶつからなかったものの、体を庇ってしゃがみこんでしまったキュリオに、フィアナは駆け寄った。
「キュリオさん、大丈夫ですか!?」
「フィアナ、下がりなさい!」
「ダメよ、フィアナちゃん!!」
両親とキュリオが、同時に叫ぶ。それとほぼ同じくして、ニースが最初に騒ぎを起こした男の胸倉に掴みかかり、乱闘騒ぎとなった。
――悲鳴と怒号がグレダの酒場に響いていたその時。エリアスを乗せた馬車が店の前に到着した。ちょうど次々に客が逃げ出す場面に遭遇した彼は、顔色を変えて馬車を飛び出し、ほかの人々とは逆に店へと駆けこんだ。
瞬間、カウンターの脇でうずくまるキュリオとフィアナ、そして男たちにより持ち上げられたニースが、まさにフィアナたちのいる辺りをめがけて投げられるのを目撃した。
「――フィアナさん!!!!」
考えるより先に、エリアスは床を蹴ってフィアナたちのもとへと飛び込んだ――。
「……エリアス、さん?」
ぎゅっと目を瞑っていたフィアナは、恐る恐る目を開けた。たったいま、エリアスの声がした気がしたのだ。
つい今しがたまで店内を満たしていた乱闘の音も、なぜか止んでいる。そのことを不思議に思いつつ顔を上げた彼女は、目の前に倒れている人物に目を見開き、悲鳴を上げた。
「エリアスさん!!!!」
男たちに投げられたニースとフィアナたちの間に飛び込んだのだろう。ニースと折り重なるようにして、エリアスが倒れている。問題なのは、そのエリアスの額が切れて、赤い血がぽたぽたと床に垂れていた。
「な、なんで……。エリアスさん、エリアスさん!?!?」
「待って、フィアナちゃん! 動かしちゃダメ!!」
パニックに陥るフィアナを、キュリオが後ろから羽交い絞めにして止める。だが、眠るように気絶して横たわるエリアスを前に、フィアナの瞳からは次々に涙が浮かんで落ちた。
「お、おい……」
「行くぞ!」
血を流すエリアスを見て、男たちも顔色を変える。そして、先ほどまで見せていた血の気の多さなど嘘のように、あわただしく店の外へと逃げていった。けれども、店主である両親やキュリオ、ましてや青ざめてエリアスにすがるフィアナのだれひとりとして、彼らを追いかけることは出来なかった。
倒れるエリアスのもとに動ける者が集まるなか、ニースも腰を押さえて起き上がった。
「い、いてててて……。うおっ!? エリアス!? どうしたんだ、いったい!?」
「あんたにぶつかって、そのままカウンターに頭をぶつけちゃったのよ! ……大丈夫。呼吸はしているわ。ベクター、すぐにお医者さんを呼んできて。それからカーラ。二階にベッドの用意をお願い。ニース、私たちでエリアスちゃんを運ぶわよ!」
キュリオがてきぱきとその場を仕切る中、フィアナはただ、はらはらと涙を流しながら呆然とエリアスの手を握ることしかできなかった。
31
お気に入りに追加
3,374
あなたにおすすめの小説
【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される
えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。
お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。
少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。
22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。

「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

本の虫令嬢ですが「君が番だ! 間違いない」と、竜騎士様が迫ってきます
氷雨そら
恋愛
本の虫として社交界に出ることもなく、婚約者もいないミリア。
「君が番だ! 間違いない」
(番とは……!)
今日も読書にいそしむミリアの前に現れたのは、王都にたった一人の竜騎士様。
本好き令嬢が、強引な竜騎士様に振り回される竜人の番ラブコメ。
小説家になろう様にも投稿しています。
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。

魔力を持たずに生まれてきた私が帝国一の魔法使いと婚約することになりました
ふうか
恋愛
レティシアは魔力を持つことが当たり前の世界でただ一人、魔力を持たずに生まれてきた公爵令嬢である。
そのために、家族からは冷遇されて育った彼女は10歳のデビュタントで一人の少年と出会った。その少年の名はイサイアス。皇弟の息子で、四大公爵の一つアルハイザー公爵家の嫡男である。そしてイサイアスは周囲に影響を与えてしまうほど多くの魔力を持つ少年だった。
イサイアスとの出会いが少しづつレティシアの運命を変え始める。
これは魔力がないせいで冷遇されて来た少女が幸せを掴むための物語である。
※1章完結※
追記 2020.09.30
2章結婚編を加筆修正しながら更新していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる