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戦争計画

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  エルヴィンと宰相セシリアは、戦争計画を練り上げた。

 軍事編成と補給について討議していると、宰相セシリアはふと溜息をついた。

 ヴァリス王国の現時点における動員兵力が少ない事に嘆息したのだ。

「前国王が、エルヴィン様の進言を受け入れていれば、国防体制は盤石なものとなっておりましたでしょうに……」

 青髪の魔族の美女が愚痴る。

 エルヴィンの叔父であったアルバート前国王は、決して無能ではなかった。

 だが、エルヴィンという天才を病的に恐れ、エルヴィンに一切の政治に関わる事を禁じた。

 エルヴィンは叔父王アルバートの心情を見抜き、幼少時から側近たちにさえも自身のチートスキルや、天才的頭脳を秘匿した。

「今、愚痴を言っても始まらないぞ。過去には何もない。あるのは未来だけだ」

 エルヴィンは自分に言い聞かせる様に言った。

 青髪の宰相は、頬を赤くして頭を下げた。

「失言でした。どうかお許し下さい」
「気にするな。本当は俺も愚痴を言いたいのだ」

 エルヴィンが、自嘲する。

 正直に言うと、仕事が多すぎてうんざりする。

 有能な官僚がもっと多く欲しい。

 石器時代とは違い、戦争を始めるにも、書類仕事をしないと始まらない。

 補給や戦略を無視して戦争を始める訳にもいかないのだ。

「この戦争が、終わったら、大量の文官が欲しいな」
「同感です。既に陛下の人材発掘によって、文官が増えておりますが、まだ足りません……」

 宰相セシリアが、軽く肩をすくめる。

「まあ、仕方ない。二人で仕事を片付けるとするか」

  エルヴィンが、羽根ペンにインクを付けながら、宰相セシリアに微笑をむける。

「はい」

 青髪の宰相は、人形のような無表情のまま頷いた。
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