【王族転生】～王様になった俺は、SSS級チートで世界征服をする～

ゲルマニア帝国

  五日後。

　執務室で、軍議が開催された。

　室内には、エルヴィン、親衛隊長官ルイズ、宮廷警護隊総帥ソフィア、近衛騎士団団長グレーテル、王国騎士団団長トリグラフ、宰相セシリアがいる。

　エルヴィンは挨拶もそこそこにすぐに会議を開始した。

「本日の議題は、ゲルマニア帝国についてだ」

　全員の顔に緊張が走る。

　ゲルマニア帝国は、ヴァリス王国の東に位置する超大国である。

　ゲルマニア帝国は、ヴァリス王国の数百年以上にわたる敵対国家であり、史上幾度も干戈を交えてきた。

  現在のゲルマニア帝国の皇帝は、ヴィルヘルムという。

　年齢は２８才。

　三年前に父親である前皇帝が崩御した後に、皇帝に即位した。

　その直後、皇帝ヴィルヘルムは、自己の権力の確立の為に粛清を開始した。

　七人の弟妹、１８人の親族を謀殺、処刑。

　３７人の貴族とその一族を殺戮した。

　当然ながら、反発が起こり、ゲルマニア帝国は内乱状態となった。

　だが、皇帝ヴィルヘルムは、残虐だが無能ではなかった。

　自ら戦場を馳せて、内乱を鎮圧し、反乱軍を撃ち倒してきた。

　１０日ほど前、最後の反乱分子である実弟フリードリヒの軍勢を打ち破り、ゲルマニア帝国は内乱を終息させた。

　ゲルマニア帝国の皇帝ヴィルヘルムは、実弟フリードリヒを処刑し、その一族と、後ろ盾となっていた貴族全てを処刑した。

　その後、すぐにゲルマニア帝国の隣国であるアルヴヘイム妖精国に侵略を開始した。

  アルヴヘイム妖精国は、ヴァリス王国の東に位置するエルフの国である。

「これがどのような事態かは、すぐに理解できるであろう」

　エルヴィンが、一堂を見渡す。

「容易ならざる事態です。アルヴヘイム妖精国が、ゲルマニア帝国に征服されれば、緩衝国がなくなります」

　近衛騎士団団長グレーテルが、言う。

　エルヴィンは、臣下の聡明さに満足して頷く。

　この異世界は２１世紀の地球の地図と似ている。

　ゲルマニア帝国はドイツ。

　アルヴヘイム妖精国は、リヒテンシュタインとドイツの西部の一部。

　ヴァリス王国はスイスに相当する。

　つまり、ゲルマニア帝国が、アルヴヘイム妖精国を征服すれば、ヴァリス王国は緩衝国を失うのだ。

　ゲルマニア帝国は、アルヴヘイム妖精国の征服後、すぐにヴァリス王国に侵略を開始するだろう。

　本質的にこの世界は弱肉強食の戦国時代である。

　どの国も自国の利益を最優先に考え、あわよくば他国を侵略して、征服しようと目論んでいる。

「アルヴヘイム妖精国の使者が昨日、訪れた。そして、我がヴァリス王国に正式に援軍を依頼してきた」

　エルヴィンが、玉座の上から言う。

　臣下たちが、どよめいた。