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第2章   神々の黄昏

剣術

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エヴァンゼリンとの手合わせが終えた後、ナギはセドナとあてがわれた部屋にもどった。

「ナギ様、すぐにお風呂に入って下さい」

セドナが風呂場に行って湯を沸かした。

「了解」

そう返事するとナギはソファに腰を下ろして、額の汗をタオルで拭った。

「強かったな……」

エヴァンゼリンとの剣戟を思い出す。

もし、エヴァンゼリンが本気を出したら、俺なんて、あっと言う間に斬殺されていただろう。

つまり手加減して俺と相対出来るほどに強いということだ。

伊達に〈勇者〉の称号を冠している訳ではなかった。

エヴァンゼリンは超人だ。

《冥王(ケレスニアン)の使者(マギス)》を使っても、エヴァンゼリ
ンには絶対に勝てないだろう。

だが、勇者エヴァンゼリンという少女の欠点も見えた。いや、欠点というよりも、この世界の剣術のレベルだ。

この異世界フォルセンティアは、剣術のレベルが低い。

エヴァンゼリンと手合わせして実感した。

あの灰金色の髪の少女の剣技は、確かに剣技を修めた者の動きだが、地球の戦闘術に比べると格段に落ちる。

間と間合いのはかり方、足の運び、剣の握り、呼吸、重心の移動。全てが、拙劣だ。

(もし、この世界で津軽真刀流を他人に教えることが出来れば、楽しいだろうな)

剣術や戦闘術の利点は、その人個人の身体能力を極限まで合理的に動かし、戦闘力を強化できる点にある。

もし一卵性双生児で、身長、体重、筋力、年齢が同じでも、戦闘術を習っている人間とそうでない人間では、戦闘力に格段の違いが出る。

津軽真刀流を学びたいと思う人間や亜人は多いような気がする。

うん。これは面白いことに気付いた。心のメモ帳に書き留めておこう。

ふいに、メニュー画面が開いた。

『了解しました。
【相葉ナギは将来、津軽真刀流を異世界フォルセンティア人に広めることを計画している。】心のメモ帳にしっかりと記憶しました』


「いや、心のメモ帳って別に君のことじゃないよ?」

『え?』

メニュー画面が、ショックを受けた。

『……………………』

「ごめんなさい。貴方のことです。メニュー画面さん。俺の心のメモ帳は、貴方様でございます。書き留めておいて下さい」

メニュー画面の沈黙が怖くて、俺は媚びた。

『もちろん記憶しておいて上げます。……さよなら』

あっ。怒った。メニュー画面がふて腐れて消えた。参ったな。あいつ根に持つタイプだから……。


俺がそんなことを考えていると、セドナが風呂場から出てきた。

「ナギ様。お風呂が沸きました。入りましょう!」




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