リビングデッド

常夏の炬燵

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異世界編

第六話

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リリィが記憶を取り戻した同時刻に研究所では、ボロが残った記憶を吸収しこの世に蘇っていた。

「まさか…こんな事が…!」

この事はボロも想定外で驚ていた。

あんな有象無象でこの力…これは、ますます三つの記憶が欲しくなったぞ。

湧き上がる力に感動を覚えるボロ。
この力があれば、ナナシにも勝てるかもという考えが浮かぶ。

「待ってろよ。壮絶な記憶…!必ず取り返してやる!」

しかし、あいつの場所がわからんな…まずは、純粋な記憶を取り戻すか…わざわざそれだけを取り返しに来たという事は、ことからそいつらは知り合いである可能性もある。純粋な記憶の持ち主を襲えば、あいつも、阻止しに来るはず…

「よし!ひとまず寝よう!決行は朝だ!」

そして、日が昇った。

ボロはリリィの住む村に出向いた。
堂々と村に入って来たボロを村人は少し怪奇の目を向けていた。

さてと、どこにいるかな?

辺りを見渡すが、それらしい人は見当たらない。

よーし、一発脅して…

「そこの者」

「あ?」

村仕事に勤しんでいる村人を一人捉えようとしたところに、背後から老人に声をかけられた。

「誰だ?」

振り向くと、老人の他に、二人の槍を持った兵士が着いていた。

「この方はこの村の長老様だ」

「長老が俺に何の用だ?」

「お主からは魂の穢れが感じられる。直ちにこの村から立ち去れ」

「は?いきなり失礼なやつだな。それが客人に言う言葉か?」

「お主を招き入れた記憶は無い、さあ、立ち去るのじゃ」

「頭の硬い爺さんだ。まあ、いいや。俺人を探してんだけど。最近記憶を取り戻した人知らない?そいつに用があるんだけど」

「答える義理はない」

「そうか、じゃあ死ね」

「長老!」

二人の兵士が庇う形で前に出る。

「邪魔だ!」

右腕を薙ぎ払うと、暴風が巻き起こり、三人は吹っ飛ばされた。

騒ぎを聞き付け村人たちが集まって来ていた。

「どうしたんだろう?」

「さあ?なんか揉めてるみたいよ?」

リリィ達も自宅の窓から外の様子を見ていた。

「おお、この力…やはり素晴らしい。軽く振るっただけでこの威力…これならあいつも怖くない…!」

「き、貴様何者だ!」

「教えろ。確か少女だったはずだ。見た感じこの集団の中にもいない。どこにいる?」

もう一度質問をするが、長老は口を割らなかった。

「まあいいや、自分で探すから」

「待て!」

長老がボロの前に立ちはだかる。

「鬱陶しいんだよ!」

「長老!」

ボロが長老に殴りかかった、その時、ボロに何かがぶつかり、吹っ飛ばされた。

起き上がり確認すると、そこにはナナシが立っていた。

「お前…どうして生きている…」

「会いたかったよ。壮絶な記憶…!」

ボロはナナシに飛びかかった。
ナナシは剣を構えて迎え撃つ準備をした。

パワーアップを果たしたボロとナナシの戦いが今始まろうとしていた。
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