リビングデッド

常夏の炬燵

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魔族編

第四十話

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「何か用か?」

神界でエドと合流したテンカ達は玉座に座る神の前に現れた。

「それは貴方が一番わかっていると思います」

「フンッやはりバレていたか…まあ、良いじゃろう。それで?要件はなんじゃ?儂は計画を止める気はないぞ?」

「何故そこまで、人間の絶滅に固着しているのですか?何か恨みでもあるのですか?」

「いいだろう。教えてやる。まず一つ訂正させてもらう。今はもう人間の殲滅などどうでも良い」

「どういう事ですか…?」

「確かに、人間絶滅計画を企てた…じゃが、魔王を生み出した時、その力に感動したのじゃ。そして、同時に思ったのじゃ。もっと強く完璧な魔族を作り上げたいと」

「その完璧な魔族ってのがカオスってのか?」

「そうじゃ、より多くの魔族の力と怨念を混ぜ合わせる事によって、より究極の魔族にする。その為には、魔族を殺す必要があった」

「ボクたちは利用されたのだね…」

「そういうことじゃ。じゃから、あの魔王を殺してくれた事は感謝しておる。流石の儂も奴を殺すことは出来んかった」

「それで?最初人間を狙っていたのは?」

「簡単な話じゃ。あやつら、勝手に神を作り出し崇拝し、感謝する。本当の神である儂を認識しようとせず、架空の神を崇め称えた。それが許せなかったのじゃよ」

「…ただの承認欲求かよ」

テンカが呟いた。

「なんじゃ?言いたいことがあるなら聞くぞ?」

「そんなくだらない理由で!罪の無い人間を巻き込んだというのか!?」

「くだらないとは聞き捨てならんな。儂にとっては大事なことなのじゃよ」

「でも、目的脱線してんじゃねーか。自分でもなんか思うとこあったんじゃねーか?」

「魔物の分際で偉そうに。脱線などしておらん。カオスは貴様らやナナシを含めた人間を全て抹殺する。そう作ったのじゃ」

「さっきはどうでもいいって言ってたのだ」

「神なんだったら自分の言葉に責任もてよ」

「次から次へと減らず口を…」

「今からでも、辞める気はないのですね?」

「当然じゃ」

「ならば、仕方ありません…お前はここで終わらせる!」

「まあ、待て」

テンカが戦闘態勢を取ったところで神が制止する。

「なんだ?」

「儂がナナシを殺した理由…知りたくないか?」

「なんだと?」

「ナナシを殺したのは儂じゃ」

「やはり、お前だったか」

「知っておったか…それで?どうじゃ?聞くか?」

「わかった。聞かせてくれ」

「テンカ、いいのだ?こんな事で時間使っちゃって」

「オレも今すぐやっちまった方がいいと思うぜ?」

「俺もわかっている…だが、どうしても気になるんだ。こいつが、どんな思いでナナシを殺したのか」

「そういう事なら、話してやろう」

そんな時、神界にナナシが現れた。

「な、ナナシ!」

「何故貴様が…!?」

「…すまない。魔族を取り逃した…」

「そうか…わかった。とにかく無事でよかった。それよりも、お前どうして…」
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