リビングデッド

常夏の炬燵

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魔族編

第二十九話

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カイマは、ナナシとエドの回復の時間を稼ぐ為、一人魔王に立ち向かった。

「ハアーーーーッ!」

「来るか…一瞬で捻り潰してくれる!」

魔王の繰り出す拳を、ジャンプで躱し、頭上を飛び越える。

デビルハンドで背中を引っ掻く。

「ガッ…!」

更に引っ掻き、持ち上げて地面に叩きつけた。

その頃テンカは、エドの治療を終えていた。

「すげーな…足まで再生出来んのか」

「カイマ加勢を頼む。後はナナシを」

「OK!任せとけ!」

優勢に戦うカイマの元へ、エドが加勢に入った。

「チッ…!やつも回復したか…」

二人に夜連続攻撃、魔王に反撃のチャンスがなかった。

「そらよ!」

エドが魔王の両足を撃った。

「カイマ!やっちまえ!」

「ハアーーーッ!」

カイマはデビルハンドを重ね、ドリルのように回転させ、突っ込んだ。

「小癪な!」

魔王は攻撃を受け止める。

「負け…るかーーーーッ!!」

お互いがぶつかる中、魔王にミサイルがぶつかった。

「うおっ!」

「今だーーーーッ!!」

「ガハッ…!?」

魔王の腹は、カイマによって貫かれた。

「まさか…この俺様が…敗れるとは…強くなったな…カイマよ…流石、俺様の息子だ」

「ボクは息子じゃないのだ」

勝ちを確信したカイマがとどめを刺しに向かう。

「俺様の…負けだ」

魔王は仰向けになって、目を瞑った。

「とでも言うと思ったか?」

「え?」

魔王の体は瞬時に再生された。

「危ねーッ!」

カイマに殴り掛かる魔王。
カイマは咄嗟に防御耐性を摂るが、間に合わない。

万事休すかと思われた、その時。

魔王は天力弾に弾かれた。

「何!?」

飛んできた方向を向くと、テンカがいた。
テンカは挑発するように、指を曲げる。

攻撃に向かおうとしたその時、背後から、ナナシに剣で切られる。

「貴様…!」

真っ二つになった体は元に戻り、ナナシを標的に変更する。

「くっ…!」

さっきの魔族達の攻撃で木は完全に無くなった…ポケットに入っている木の枝は、残りは四本…無駄使いはできない…

「ナナシ!」

エドが魔王の両目を潰す。
その直後にカイマに拘束される。

「ええい!小賢しい!!」

魔王の魔力が爆発した。

それに巻き込まれた三人は吹っ飛ばされた。

「貴様らの実力はわかった。もう終わりだ」

そう言うと、魔王は姿を消した。

「まずは貴様だ」

テンカの目の前に現れ、残った左腕を折った。

「が…あああッ…!」

「やめろー!!」

ナナシが突っ込んでくるが、魔王は軽く回避し、魔力を放出し、ナナシの腹に大穴を開ける。

エドの射撃とカイマのデビルハンドが同時に襲うが、魔王は回避したあと、デビルハンド掴み、カイマを振り回し、動き回るエドに叩きつけた。

「エド!エド!」

「大丈夫だ…」

「ごめんなのだ」

「気にすんな…」

「少し休んでいるのだ…」

カイマは立ち上がり、魔王に立ち向かうが、尽く受け流され、反撃を受ける。

そこにナナシも加わる。
魔王は若干狼狽えながらも、二人を相手した。

「しつこい!」

魔王はナナシの頭を吹っ飛ばした。

「ナナシ…!」

「他人の心配してる場合か?」

見上げると、そこには魔王がいた。

手刀をくらい、吹っ飛ばされた。

「貴様は最初に殺してやるよ」

つ…強い…

「くたばれ!」

「やめろ!」

「ん?」

「え…なんで!?」

「魔王様から離れろ!このクソ野郎!!」

ディアンがカイマ達の前に現れた。
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