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第十三章 ヘタレ教育制度改革
第十八話 カフェテリア
しおりを挟む「あ、お兄ちゃん。あそこのベンチで少し休んでいこうよ」
「そうだな。ヤマトとムサシも疲れたろ」
「「ピッピ!」」
調理部を出たあとは、美術部など色々な部活動を回ったのだが、羽毛が舞うと良くなさそうな部活ばかりだったので、ずっとミコトとエマのポケットの中でじっとしていたのだ。
ちなみにクレアはまだ調理部にいる。
晩飯の準備までには戻るとのことだったが、たまには家事から離れてゆっくり家族以外の人間と交流して欲しいところだ。
「はいヤマト!」
「むさしもどーぞ!」
調理部ラスク課課長というわけのわからない肩書のミリィに焼いて貰ったヤマトとムサシ型パンをミコトとエマが差し出すと、今までの鬱屈を晴らすかのように、ヤマトとムサシが高速でついばみだす。
「「ガツガツガツガツ」」
「おいしい?」
「「ピッピッ!」」
「ぜんぶたべていいからね」
「「ピピッ!」」
ベンチに座ったミコトとエマが差し出す自分の体と同じ大きさのパンを、ヤマトとムサシは凄い勢いで食べまくる。
パンとはいえ、自分と瓜二つの形をしたものをよく食べられるな……。しかも容赦なく頭からいってるんだけど。
みるみるうちにヤマトとムサシの形をしたパンが無くなっていく。自分の体と同じサイズのパンがいったいどこに入っているのかわからんが、もう不思議生物ということでスルーしよう。魔物だしな。
「ヤマトとムサシはお腹が空いてたんだねー。一気に食べちゃったよ」
エリナがあっという間にパンを全部食べたヤマトとムサシを見てそう言うが、もっと気になるポイントがあるんじゃないのか?
相変わらずおおらかすぎるな。
「「ゲプッ」」
「すごーい! ぜんぶたべちゃった!」
「おなかいっぱいになった?」
「「ピッピ!」」
「お兄ちゃん、私たちもお昼にしようよ!」
「そうだな。サクラがバイトしてるカフェにでも行ってみるか」
「「「うん!」」」
「飲食店だし、ヤマトとムサシはミコトとエマのポケットから顔も出したりしたら駄目だぞ」
「「ピーピー」」
俺たちは部活棟を出てすぐのベンチを立ち上がりカフェテリアに移動する。
一般にも開放しているため学園の敷地内で一番市場に近い側にあるので、反対側にあるここからでは少し歩くことになる。
「いらっしゃいませっ! ってご主人様っ!」
カフェテリアに入店すると、両手にトレーを持って、何故か給仕しているサクラが挨拶をしてくる。
カフェテリアって客がトレーを持って料理などの配膳を対面で受けて清算する方式なんだけど、給仕したらもうそれはレストランだろ。
「サクラその恰好……」
「今メニューとお水をお持ちしますので、こちらの席に座って少しお待ちくださいねっ!」
サクラに案内された四人掛けのテーブルに着席すると、給仕に戻ったサクラを観察してみる。
メイド服をベースとしたものにエプロンをつけたような華やかな制服だ。
スカート丈は短い。
活発なサクラがクルクル舞うようにカフェテリアもといレストラン内を動き回っているが、そのたびにスカートが舞い、中が見えそうになる。
一般の客が多いなと思っていたが、よく見るとおっさんが多い。ひょっとしてサクラが目当てなのか?
他にも給仕している女生徒はいるのだが、おしとやかな動きをしているのでスカートが舞うようなことはないので、そこは少し安心だ。
「あいつ……あの恰好を何とかさせないと」
どうにかしないと! と思っていると、サクラがメニューと水を持って来る。
「お待たせしましたっ!」
「ありがとうサクラちゃん。その制服可愛いね!」
「さくねーかわいい!」
「うん! すごくかわいい!」
「ありがとうございますっエリナお姉さんサクラちゃんエマちゃんっ!」
サクラは持ってきたメニューをエリナに渡し、水の入ったグラスを俺たちの前に置く。
前かがみになるたびにハラハラしてしまう。
「あのさーサクラ」
「なんですかご主人様っ!」
「スカートの中が見えそうだから丈を長くしたほうが良いぞ」
「大丈夫ですよご主人様っ! 履いているのは見えても良いパンツですからっ! アンダースコートって言うんですよ?」
そういうとサクラはピラッとスカートを持ち上げ、アンダースコートを俺に見せてくる。
「見せるな見せるな! 見えても良いパンツなんて存在しないから!」
「えー」
「うっさい。そのスカート丈は禁止だ禁止!」
「じゃあスパッツを履きますねっ」
「アンダースコートより喜ぶ男が増えそうだから却下!」
「そうなんですかっ?」
「ボディラインが出るからな!」
「ミコトちゃんとエマちゃんは何を食べたい?」
「どうしようかなー」
「んーとね、んーとね」
エリナとミコトとエマは俺とサクラのやり取りに興味が無いようで、先ほどからずっとメニューとにらめっこしている。
「とにかく膝丈に直すように! ここの責任者って誰だかわかるかサクラ?」
「バイトなのでよくわかりませんね。とりあえずシェフを呼びましょうかっ?」
「まだ食っても無いのに食事の感想を言うタイミングじゃねー」
「お兄ちゃん、私たちはもう決めたよ!」
「む、俺も早く決めちゃうか」
「どれもおすすめですよっ!」
とりあえず落ち着いた俺は、さくっとメニューを決めてサクラに告げる。
値段も給仕のあるレストランにしては格安だし、なにより華やかだからな。
開店してまだ一ヶ月ほどしか経っていないが、サクラの件が無くても今後はどんどん客が増えそうな感じがする。
利益率が高いなら本格的に経営しても良いな。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
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