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第十三章 ヘタレ教育制度改革
第四話 スカート丈問題
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今日の仕事が終わり、夕食の時間になる。
メニューは小籠包や焼き餃子、揚げ餃子、水餃子、シュウマイなど点心のおかずがメインで、あとは油淋鶏やチャーハンなど中華系を揃えてみた。
いつもながらガキんちょどもがテーブルマナーを守りつつも騒がしく楽しそうに食事をする中、隣に座るミコトとエマが、小籠包をレンゲに乗せながら俺に話しかけてくる。
「パパ! あしたはエマちゃんといっしょにがくえんにいくんだよ!」
「おようふくをきせてくれるんだって!」
「「ピッピ!」」
「ヤマトとムサシもついて行くつもりなのかよ……」
ミコトとエマは、現在は学園に通える年齢ではないのだが、魔法の授業と芸術系の授業には参加している。
来年以降は飛び級制度を設定するつもりなので、各学年別に学力基準を設ける予定だ。そこをクリアすれば年齢関係なく学力に応じた授業を受けられ、十五歳からの就職に備えて、より早く専門課程に進めるようになるようになるのだ。
ただし明日は魔法の講義も芸術系の講義も無い日だ。
エマは洋服を着させてくれると言っていたが。
「兄さま、少し前に炊き込みご飯を食べたのに、今そんなに食べて大丈夫なんですか?」
「ほとんどあいつらが食べてたから俺はそんなに食べてないんだよ」
学園の寮に入り込んでいた貴族の従者を全て追い出した後に調理部へ行ったのだが、一足先に調理部に行った三人目たちがほとんど食いつくしていたのだ。
「たしかに……追加で何品か作りましたしね」
「すまんなクレア。めんどくさい連中の相手をさせて」
「いえ、楽しかったですよ兄さま」
「騒がしいだけだぞ」
もうあいつらは調理部を出禁にしようかなと思いながら、今日のメインディッシュである小籠包をレンゲに乗せ、千切りにしたショウガを酢醤油に浸したらそれを小籠包に乗せたら口へと運ぶ。
一口噛んであふれ出る肉汁をハフハフしながら味わう。
熱いけど滅茶苦茶美味い。
「エマちゃん、レンゲにのせてショウガをのせたら、おくちにいれるまえにかわをやぶるんだよ! あついからね!」
「わかったみこねー!」
ミコトとエマの食べ方の方が正式だった気がしてきた……。皮を破らずに小籠包を口に入れまくった俺は、口の中がとんでもないことになっている。
なんでこの世界にはなかった食べ物の食べ方を俺以上に熟知してるんだ?
「お兄ちゃん、よくこんなに熱いものを一口で食べられるね」
「口の中がべろんべろんだけどな。でもハフハフ言いながら食うのも美味いぞ。口の中がヤバいことになるからおすすめはしないけど」
「お兄ちゃん普段はそういうの気を付けるのにね」
「そういやそうだな……。小籠包だけはなんかこうして食べるの好きなんだよな」
エリナもミコトたちと同じように、レンゲの上で小籠包の皮を破り中から溢れてくるスープを冷ましながら味わっている。
「兄ちゃん! 流石わかってるな! やっぱ漢は一口で食ってなんぼだよな!」
ぽてぽてと近寄ってきて、俺の近くに置かれた小籠包の入った蒸篭をふたつ取った一号がアホなことを言い出す。
「一号も口の中ヤバいだろ」
「あとでクリス姉ちゃんに治してもらうからな」
「アホなことに魔力を使わせるなよ……」
「いえ、大丈夫ですわ。旦那様もよろしければ治療させていただきますね」
少し離れた場所から、クリスが俺にそう言ってきた。
「そうか、なら申し訳ないけど食後に頼むかな。流石に口の中がべろんべろんで気持ち悪い。痛いし」
「ええ、お任せくださいませ」
「そういや制服の話は聞いたか?」
「ええ、低コストで、貴族が着ても違和感のないデザインの服ですよね? すでに何着か試作していますので、あとでまとめて旦那様にデザイン画を提出致しますわ」
「そうか、年齢の幅もある中、統一したデザインとか大変そうだが頼むな」
「はい。すでにシルヴィアに試作した制服を着せていますので見て頂きましょうか。シルヴィア」
クリスの隣で、ケチャップをべっとりつけた揚げ餃子をバリバリ音を立てて食べていたシルにクリスが声をかける。
マナー悪いなこいつ。貴族の教育受けてたんじゃないのか?
「はいお姉様」
「旦那様に今着ている服をお見せしなさい」
「えっ、恥ずかしいんですけれど」
「とても似合っていますから恥ずかしがることはありませんよシルヴィア。旦那様も喜んでくれるでしょうし」
「そうですか! では!」
クリスに言いくるめられて立ち上がるシル。相変わらずチョロいのな。
……って。
「スカート短っ!」
「えへへ、ちょっと恥ずかしいんですけど、お兄様の世界ではこれくらいは普通と聞きましたので」
立ち上がったシルが着ている服は、白いブラウスに袖の無いブラウン色のニットのベスト。そして膝上十センチほどのスカートだ。
俺のいた世界では割とよく見かけるスカート丈だが、足首を出す事すらはしたないという認識の貴族が着る服としては異例過ぎた。
リゾートホテルに招待されたときの水着も時代的には露出が多すぎたが、あれはプライベートビーチだったし身内しかいなかったしな。
「シルお姉ちゃん可愛い!」
「シルねーかわいい!」
「かわいー!」
「ありがとうエリナちゃん、ミコトちゃん、エマちゃん!」
エリナとミコト、エマの何も考えてないトリオが可愛いを連呼するが、流石にこれはなー。
「いやいや問題だろこれ」
「でも可愛いですよお兄様!」
そういってクルっとその場で回るシル。スカートがふんわりと舞ってて確かに可愛いんだが無防備過ぎだ。
「見えそうだから回るなっての」
「でも下にはすぱっつを履いてますよお兄様!」
「スパッツでも駄目!」
「えー」
「そもそも制服として全員に着せるんだから、嫌がる女子生徒が出そうなデザインは不許可だ」
「つまり旦那様、女子生徒全員が希望すれば良いわけですね」
シルの制服姿を満足そうに眺めていたクリスが極端なことを言い出す。
そういやこいつ異世界本マニアだった。
俺の時代の女子高生の着ている服を基にデザインしたんだろうけど、バリバリ貴族のクリスがこんな破廉恥と言われそうな制服をデザインするとはな。
「学園内ならともかく、これを着て登下校するんだぞ。色々危ないだろ」
「通学路はすでに厳重な警備体制を整えていますが」
「そういう問題か?」
「今シルヴィアが着ている服以外にも色々ありますので、その中から選びましょう」
「まあそうだな。スカート丈がある程度長くないと俺は許可しないが」
「お兄ちゃん相変わらずヘタレだねー」
「ヘタレ関係ないから」
流石にこのスカート丈はまずいので、クリスにはデザインの修正をさせることにする。
アホなシルは喜んで着てたし、エリナとミコト、エマは何も考えてないしクレアはシルの制服姿を見て押し黙っちゃってたけどな。
貴族どころか平民でも嫌がるだろこのスカート丈は。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
よろしければそちらでも応援いただけますと励みになります。
また、小説家になろう版は、序盤から新規に挿絵を大量に追加したうえで、一話当たりの文字数調整、加筆修正、縦読み対応の改稿版となります。
ファンアート、一部重複もありますが、総数で100枚を余裕で超える挿絵を掲載し、九章以降ではほぼ毎話挿絵を掲載しております。
是非挿絵だけでもご覧くださいませ。
特に十一章の水着回と十三章の制服回は必見です!絵師様の渾身のヒロインたちの水着絵と制服絵を是非ご覧ください!
その際に、小説家になろう版やカクヨム版ヘタレ転移者の方でもブクマ、評価の方を頂けましたら幸いです。
メニューは小籠包や焼き餃子、揚げ餃子、水餃子、シュウマイなど点心のおかずがメインで、あとは油淋鶏やチャーハンなど中華系を揃えてみた。
いつもながらガキんちょどもがテーブルマナーを守りつつも騒がしく楽しそうに食事をする中、隣に座るミコトとエマが、小籠包をレンゲに乗せながら俺に話しかけてくる。
「パパ! あしたはエマちゃんといっしょにがくえんにいくんだよ!」
「おようふくをきせてくれるんだって!」
「「ピッピ!」」
「ヤマトとムサシもついて行くつもりなのかよ……」
ミコトとエマは、現在は学園に通える年齢ではないのだが、魔法の授業と芸術系の授業には参加している。
来年以降は飛び級制度を設定するつもりなので、各学年別に学力基準を設ける予定だ。そこをクリアすれば年齢関係なく学力に応じた授業を受けられ、十五歳からの就職に備えて、より早く専門課程に進めるようになるようになるのだ。
ただし明日は魔法の講義も芸術系の講義も無い日だ。
エマは洋服を着させてくれると言っていたが。
「兄さま、少し前に炊き込みご飯を食べたのに、今そんなに食べて大丈夫なんですか?」
「ほとんどあいつらが食べてたから俺はそんなに食べてないんだよ」
学園の寮に入り込んでいた貴族の従者を全て追い出した後に調理部へ行ったのだが、一足先に調理部に行った三人目たちがほとんど食いつくしていたのだ。
「たしかに……追加で何品か作りましたしね」
「すまんなクレア。めんどくさい連中の相手をさせて」
「いえ、楽しかったですよ兄さま」
「騒がしいだけだぞ」
もうあいつらは調理部を出禁にしようかなと思いながら、今日のメインディッシュである小籠包をレンゲに乗せ、千切りにしたショウガを酢醤油に浸したらそれを小籠包に乗せたら口へと運ぶ。
一口噛んであふれ出る肉汁をハフハフしながら味わう。
熱いけど滅茶苦茶美味い。
「エマちゃん、レンゲにのせてショウガをのせたら、おくちにいれるまえにかわをやぶるんだよ! あついからね!」
「わかったみこねー!」
ミコトとエマの食べ方の方が正式だった気がしてきた……。皮を破らずに小籠包を口に入れまくった俺は、口の中がとんでもないことになっている。
なんでこの世界にはなかった食べ物の食べ方を俺以上に熟知してるんだ?
「お兄ちゃん、よくこんなに熱いものを一口で食べられるね」
「口の中がべろんべろんだけどな。でもハフハフ言いながら食うのも美味いぞ。口の中がヤバいことになるからおすすめはしないけど」
「お兄ちゃん普段はそういうの気を付けるのにね」
「そういやそうだな……。小籠包だけはなんかこうして食べるの好きなんだよな」
エリナもミコトたちと同じように、レンゲの上で小籠包の皮を破り中から溢れてくるスープを冷ましながら味わっている。
「兄ちゃん! 流石わかってるな! やっぱ漢は一口で食ってなんぼだよな!」
ぽてぽてと近寄ってきて、俺の近くに置かれた小籠包の入った蒸篭をふたつ取った一号がアホなことを言い出す。
「一号も口の中ヤバいだろ」
「あとでクリス姉ちゃんに治してもらうからな」
「アホなことに魔力を使わせるなよ……」
「いえ、大丈夫ですわ。旦那様もよろしければ治療させていただきますね」
少し離れた場所から、クリスが俺にそう言ってきた。
「そうか、なら申し訳ないけど食後に頼むかな。流石に口の中がべろんべろんで気持ち悪い。痛いし」
「ええ、お任せくださいませ」
「そういや制服の話は聞いたか?」
「ええ、低コストで、貴族が着ても違和感のないデザインの服ですよね? すでに何着か試作していますので、あとでまとめて旦那様にデザイン画を提出致しますわ」
「そうか、年齢の幅もある中、統一したデザインとか大変そうだが頼むな」
「はい。すでにシルヴィアに試作した制服を着せていますので見て頂きましょうか。シルヴィア」
クリスの隣で、ケチャップをべっとりつけた揚げ餃子をバリバリ音を立てて食べていたシルにクリスが声をかける。
マナー悪いなこいつ。貴族の教育受けてたんじゃないのか?
「はいお姉様」
「旦那様に今着ている服をお見せしなさい」
「えっ、恥ずかしいんですけれど」
「とても似合っていますから恥ずかしがることはありませんよシルヴィア。旦那様も喜んでくれるでしょうし」
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……って。
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立ち上がったシルが着ている服は、白いブラウスに袖の無いブラウン色のニットのベスト。そして膝上十センチほどのスカートだ。
俺のいた世界では割とよく見かけるスカート丈だが、足首を出す事すらはしたないという認識の貴族が着る服としては異例過ぎた。
リゾートホテルに招待されたときの水着も時代的には露出が多すぎたが、あれはプライベートビーチだったし身内しかいなかったしな。
「シルお姉ちゃん可愛い!」
「シルねーかわいい!」
「かわいー!」
「ありがとうエリナちゃん、ミコトちゃん、エマちゃん!」
エリナとミコト、エマの何も考えてないトリオが可愛いを連呼するが、流石にこれはなー。
「いやいや問題だろこれ」
「でも可愛いですよお兄様!」
そういってクルっとその場で回るシル。スカートがふんわりと舞ってて確かに可愛いんだが無防備過ぎだ。
「見えそうだから回るなっての」
「でも下にはすぱっつを履いてますよお兄様!」
「スパッツでも駄目!」
「えー」
「そもそも制服として全員に着せるんだから、嫌がる女子生徒が出そうなデザインは不許可だ」
「つまり旦那様、女子生徒全員が希望すれば良いわけですね」
シルの制服姿を満足そうに眺めていたクリスが極端なことを言い出す。
そういやこいつ異世界本マニアだった。
俺の時代の女子高生の着ている服を基にデザインしたんだろうけど、バリバリ貴族のクリスがこんな破廉恥と言われそうな制服をデザインするとはな。
「学園内ならともかく、これを着て登下校するんだぞ。色々危ないだろ」
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「そういう問題か?」
「今シルヴィアが着ている服以外にも色々ありますので、その中から選びましょう」
「まあそうだな。スカート丈がある程度長くないと俺は許可しないが」
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流石にこのスカート丈はまずいので、クリスにはデザインの修正をさせることにする。
アホなシルは喜んで着てたし、エリナとミコト、エマは何も考えてないしクレアはシルの制服姿を見て押し黙っちゃってたけどな。
貴族どころか平民でも嫌がるだろこのスカート丈は。
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本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
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