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第十二章 ヘタレ情操教育
第一話 魔導キャンピングカー
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夏休みも終わって一ヶ月。
ガキんちょどもの通う学園も始まり、年度が替わる前から芸術系の授業を増やし、魔法科の授業では魔物狩りの実戦も始めるようになった。
来年度から一気に生徒数が増えるので、まだ少人数の内に講義内容を見極める必要があるからという婆さんとクリスの提案に従うことにしたからだ。
楽器もエルフの協力を得て安価な量産タイプの楽器を作って学園内に配布し、余剰分は市場に流した。
今までは庶民が楽器を所有して奏でるなんてことが無かったので、庶民にも手が届く値段で、簡単な楽譜もつけて販売したおかげで、少しずつ売れ行きが伸びているようだ。
ミコトとエマは魔法科の授業がある時はエリナとクレアに連れられて授業に参加するようになった。
一号も、魔法科の授業があるときはたまに有給を使ったりして参加するらしいので、魔法科の授業のときには外部の人間が参加するというのは割と普通だしな。
そのおかげで最近は色々な魔法を使いこなせるようになったので、納車されたばかりの魔導キャンピングカーの試運転も兼ね、魔法科の授業の無い今日、ミコトとエマを連れて狩りに向かうことになったのだ。
「ぱぱ! じゅんびできた!」
「パパ! 早く行こう!」
朝食が終わり、一号が出勤、ガキんちょどもが学校に行くと、ミコトとエマが早く狩りに行こうと急かしてくる。
あと、あのリゾートバカンス以降、毎朝の朝食にチーズオムレツが出てくるようになったのが解せぬ。クレアがわざわざ作ってくれてるんだけど、美味いからまあ良いかと放置してるんだけど。
「わかったわかった。エリナとクレアは準備できたか?」
「私は大丈夫!」
「片付けも準備も終わってますよ兄さま」
「じゃあ行くか」
「「「はーい!」」」
というわけで家を出てガレージに向かい、昨日納車されたばかりの魔導キャンピングカーに乗り込む。
「パパ! かっこいいね!」
「かっこいい!」
「新車だー!」
三姉妹が魔導キャンピングカーに大興奮だ。
バンタイプでルーフがポップアップしてベッドにもなる、前の世界でよく見たようなデザインだ。
魔導ハイAよりもかわいい感じの外観だし女子受けするのかもな。
外観は三姉妹が喜ぶほどだし、内装も素晴らしい出来だ。
ぱっと見てもまともだし、魔導砲や超音速魔導ミサイルが搭載されているような危険な車には見えない。市販を考慮したタイプだろうか。
内部には大人四人分の椅子とテーブルが置かれ、ミニキッチンやトイレ、シャワーまで完備している豪華仕様だ。
ポップアップするルーフには大人二人が余裕をもって横になれる寝室スペースがあるし、キャビン内部の椅子やテーブル、棚を組み合わせれば同じく余裕のあるベッドが現れるという至れり尽くせりな設計だ。
大人四人が余裕をもって居住できるスペースなので、大人三人、子どもふたりでも十分快適に過ごせそうだ。
これは売れるんじゃないか? 滅茶苦茶な値段がしそうだけど。
「じゃあ席に着くように」
「「「はーい!」」」
運転席とキャビンが分かれているのだが、エリナとクレア、ミコトとエマはキャビンに乗り込む。
うん。運転席には俺一人だな。一応内部にドアはついてるからキャビンへのアクセスはいちいち外に出なくても可能なんだが、運転中に移動はできないしな。
『兄さま、全員シートベルトをしましたよ』
ドアの向こうのキャビンからクレアの声が聞こえる。
「わかった。じゃあ車を出すぞ」
『お願いしますね兄さま』
クレアの返事を聞いてから、ゆっくりと車を発進させる。
今日の狩りは西の平原でのダッシュエミュー狩りだ。
本来はホーンラビットあたりから始めたかったが、魔法科の課外授業ではラージラットやホーンラビットをメインで狩っている為、獲物の数が減っているのと、元々ダッシュエミューを狩れる人生の冒険者が皆無な上に、ファルケンブルクの数少ないハンターや猟師がたまに狩る程度なので数が増えてきているのだ。
ダッシュエミューは人を襲わない魔物ではあるが、移動中の馬車にぶつかってきたりという事故はたびたび発生している。
交易目的の荷馬車が増えてきている上に、ダッシュエミューの数も増えてきたのもあって、衝突事故の報告が頻繁に揚がってくるようになったので、そろそろ本格的に間引く必要があったのだ。
魔法科の狩りを行う課外授業もそろそろ魔法力でのクラス分けをして、適正な狩場での課外授業を行うようにするらしい。
学園の魔法科で行う魔物狩りによって領地周辺の魔物被害が減るというのは一石二鳥で俺も賛成なのだが、安全はしっかり確保して欲しいところだ。
南西門を抜け西の平原に出る。舗装とまではいかないが、平坦に均し、石畳を敷いたこの道は今日も多くの荷馬車が通行している。
『お兄ちゃん、少し見ない間にすごく馬車が増えてるんだね!』
「こんだけ荷馬車が多いと、たしかに衝突事故は増えるわなー」
『ダッシュエミューってすごいスピードでまっすぐ走るけど、あまり小回りは効かないみたいだしね』
「魔物は魔力が見えるから初級の攻撃魔法程度なら避けられるけどな」
『そうだねー。結局風縛で捕まえてばかりだったね』
「まあ今日はミコトとエマの訓練だし、風縛は使わないようにするけどな」
『そうだね!』
この辺りは人通りも多いし、領地より委託されたハンターや猟師が活動しているので、もっと奥地を目指して魔導キャンピングカーを走らせる。
「もう少し先に行くと、水場があるらしいからそこまで行くぞ。たまにダッシュエミューが水を飲んでるらしいし」
『わかった!』
クレアがいるから防御に関しては問題ない。万が一怪我をしても対処可能だしな。
それでもやはりまだ五歳と三歳の娘が魔物狩りをするというのは不安過ぎる。
そもそもグロ耐性とかあったっけ?
かなり不安になりつつも、俺は魔導キャンピングカーを西の平原の水場に向かって走らせるのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
よろしければそちらでも応援いただけますと励みになります。
また、小説家になろう版は、序盤から新規に挿絵を大量に追加したうえで、一話当たりの文字数調整、加筆修正、縦読み対応の改稿版となります。
ファンアート、一部重複もありますが、総数で100枚を余裕で超える挿絵を掲載し、九章以降ではほぼ毎話挿絵を掲載しております。
是非挿絵だけでもご覧くださいませ。
特に十一章の水着回は必見です!絵師様の渾身のヒロインたちの水着絵を是非ご覧ください!
その際に、小説家になろう版やカクヨム版ヘタレ転移者の方でもブクマ、評価の方を頂けましたら幸いです。
ガキんちょどもの通う学園も始まり、年度が替わる前から芸術系の授業を増やし、魔法科の授業では魔物狩りの実戦も始めるようになった。
来年度から一気に生徒数が増えるので、まだ少人数の内に講義内容を見極める必要があるからという婆さんとクリスの提案に従うことにしたからだ。
楽器もエルフの協力を得て安価な量産タイプの楽器を作って学園内に配布し、余剰分は市場に流した。
今までは庶民が楽器を所有して奏でるなんてことが無かったので、庶民にも手が届く値段で、簡単な楽譜もつけて販売したおかげで、少しずつ売れ行きが伸びているようだ。
ミコトとエマは魔法科の授業がある時はエリナとクレアに連れられて授業に参加するようになった。
一号も、魔法科の授業があるときはたまに有給を使ったりして参加するらしいので、魔法科の授業のときには外部の人間が参加するというのは割と普通だしな。
そのおかげで最近は色々な魔法を使いこなせるようになったので、納車されたばかりの魔導キャンピングカーの試運転も兼ね、魔法科の授業の無い今日、ミコトとエマを連れて狩りに向かうことになったのだ。
「ぱぱ! じゅんびできた!」
「パパ! 早く行こう!」
朝食が終わり、一号が出勤、ガキんちょどもが学校に行くと、ミコトとエマが早く狩りに行こうと急かしてくる。
あと、あのリゾートバカンス以降、毎朝の朝食にチーズオムレツが出てくるようになったのが解せぬ。クレアがわざわざ作ってくれてるんだけど、美味いからまあ良いかと放置してるんだけど。
「わかったわかった。エリナとクレアは準備できたか?」
「私は大丈夫!」
「片付けも準備も終わってますよ兄さま」
「じゃあ行くか」
「「「はーい!」」」
というわけで家を出てガレージに向かい、昨日納車されたばかりの魔導キャンピングカーに乗り込む。
「パパ! かっこいいね!」
「かっこいい!」
「新車だー!」
三姉妹が魔導キャンピングカーに大興奮だ。
バンタイプでルーフがポップアップしてベッドにもなる、前の世界でよく見たようなデザインだ。
魔導ハイAよりもかわいい感じの外観だし女子受けするのかもな。
外観は三姉妹が喜ぶほどだし、内装も素晴らしい出来だ。
ぱっと見てもまともだし、魔導砲や超音速魔導ミサイルが搭載されているような危険な車には見えない。市販を考慮したタイプだろうか。
内部には大人四人分の椅子とテーブルが置かれ、ミニキッチンやトイレ、シャワーまで完備している豪華仕様だ。
ポップアップするルーフには大人二人が余裕をもって横になれる寝室スペースがあるし、キャビン内部の椅子やテーブル、棚を組み合わせれば同じく余裕のあるベッドが現れるという至れり尽くせりな設計だ。
大人四人が余裕をもって居住できるスペースなので、大人三人、子どもふたりでも十分快適に過ごせそうだ。
これは売れるんじゃないか? 滅茶苦茶な値段がしそうだけど。
「じゃあ席に着くように」
「「「はーい!」」」
運転席とキャビンが分かれているのだが、エリナとクレア、ミコトとエマはキャビンに乗り込む。
うん。運転席には俺一人だな。一応内部にドアはついてるからキャビンへのアクセスはいちいち外に出なくても可能なんだが、運転中に移動はできないしな。
『兄さま、全員シートベルトをしましたよ』
ドアの向こうのキャビンからクレアの声が聞こえる。
「わかった。じゃあ車を出すぞ」
『お願いしますね兄さま』
クレアの返事を聞いてから、ゆっくりと車を発進させる。
今日の狩りは西の平原でのダッシュエミュー狩りだ。
本来はホーンラビットあたりから始めたかったが、魔法科の課外授業ではラージラットやホーンラビットをメインで狩っている為、獲物の数が減っているのと、元々ダッシュエミューを狩れる人生の冒険者が皆無な上に、ファルケンブルクの数少ないハンターや猟師がたまに狩る程度なので数が増えてきているのだ。
ダッシュエミューは人を襲わない魔物ではあるが、移動中の馬車にぶつかってきたりという事故はたびたび発生している。
交易目的の荷馬車が増えてきている上に、ダッシュエミューの数も増えてきたのもあって、衝突事故の報告が頻繁に揚がってくるようになったので、そろそろ本格的に間引く必要があったのだ。
魔法科の狩りを行う課外授業もそろそろ魔法力でのクラス分けをして、適正な狩場での課外授業を行うようにするらしい。
学園の魔法科で行う魔物狩りによって領地周辺の魔物被害が減るというのは一石二鳥で俺も賛成なのだが、安全はしっかり確保して欲しいところだ。
南西門を抜け西の平原に出る。舗装とまではいかないが、平坦に均し、石畳を敷いたこの道は今日も多くの荷馬車が通行している。
『お兄ちゃん、少し見ない間にすごく馬車が増えてるんだね!』
「こんだけ荷馬車が多いと、たしかに衝突事故は増えるわなー」
『ダッシュエミューってすごいスピードでまっすぐ走るけど、あまり小回りは効かないみたいだしね』
「魔物は魔力が見えるから初級の攻撃魔法程度なら避けられるけどな」
『そうだねー。結局風縛で捕まえてばかりだったね』
「まあ今日はミコトとエマの訓練だし、風縛は使わないようにするけどな」
『そうだね!』
この辺りは人通りも多いし、領地より委託されたハンターや猟師が活動しているので、もっと奥地を目指して魔導キャンピングカーを走らせる。
「もう少し先に行くと、水場があるらしいからそこまで行くぞ。たまにダッシュエミューが水を飲んでるらしいし」
『わかった!』
クレアがいるから防御に関しては問題ない。万が一怪我をしても対処可能だしな。
それでもやはりまだ五歳と三歳の娘が魔物狩りをするというのは不安過ぎる。
そもそもグロ耐性とかあったっけ?
かなり不安になりつつも、俺は魔導キャンピングカーを西の平原の水場に向かって走らせるのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
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ファンアート、一部重複もありますが、総数で100枚を余裕で超える挿絵を掲載し、九章以降ではほぼ毎話挿絵を掲載しております。
是非挿絵だけでもご覧くださいませ。
特に十一章の水着回は必見です!絵師様の渾身のヒロインたちの水着絵を是非ご覧ください!
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