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第九章 変わりゆくヘタレの世界
第三話 財布のひも
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魔導観覧車から降りた後は、ミコトとエマの乗りたいものにひたすら連れていかれる俺たち。
どこかで見たようなデザインのマスコットキャラクターにアトラクション。前の世界では一度も行ったことは無かったが、相当似てるんじゃないか?
「お兄ちゃん! びっくり雷山ってアトラクション楽しかったね!」
「そのネーミングにびっくりしたわ」
「兄さま、水しぶきマウンテンも面白かったです!」
「ギリギリを攻めすぎだと思うんだよな」
完全に俺に対する嫌がらせレベルだ。
なんだよ雷山って。
「もうお兄ちゃん!」
「魔法を使って安全性が高いせいかエマでも乗れるアトラクションだらけだったのは幸いだけどな」
「水しぶきも結界のおかげでかからなかったですからね」
「夏なんかは多少水がかかったほうが良いかもしれないけどな」
「パパ! おなかすいた!」
「えまも!」
「じゃあレストランに行くか」
「楽しみ!」
「クレアの方が味は上だろうけどな」
「兄さまありがとうございます。てへへ」
「ま、雰囲気もあるしせっかくだから園内のレストランで飯にしよう」
「「「はーい!」」」
ちょうど目の前にあったレストランに入る。
王都にあった貴族用のレストランには劣るが、日本の高級ファミレスのような清潔感のある店内は平日にも関わらず盛況だった。
店員に案内されて席に着くと、仲良く並んで座ったミコトとエマは早速メニューとにらめっこだ。
「エマちゃんどれがいーい?」
「えっとね、えっとね」
仲良くメニューを選ぶ姉妹にほっこりしつつ、俺たちもメニューを選ぶ。
「うーんうーん。ハンバーグのセットで銅貨十枚ですか。ドリンク付きとはいっても……」
財布にシビアなクレアがぶつぶつ言ってて少し怖い。
俺にしてみればこれだけの施設で千円のセットメニューは良心的だと思うんだがな。
ただ朝だけじゃなく昼にも始めた弁当販売の値段から比較すると三倍近いのはクレアにとってもショックなのだろう。
「お兄ちゃん私ビーフシチューのセットにする!」
何も考えてないアホな長女が能天気に銅貨十五枚のセットを選択する。
うちじゃあまり使わない牛肉料理だから少しお高めだ。
牧畜も大規模に行うようになって美味い牛肉が出回るようになったが、牛肉はまだまだ高級品なのだ。
もちろん亜人国家連合から輸入した黒毛和牛だったりする。
もはや何でもありだな亜人国家連合。
「パパ! ミコトとエマちゃんはこれ!」
「お子様デラックスプレートだな。わかった」
二人の選んだお子様セットは、丸く盛られたチキンライスにミニハンバーグ、マッシュポテト、肉団子、ベーコンエッグ、サラダ、ゼリーが乗った豪華版だ。
これにコーンスープとオレンジジュースかリンゴジュースがついて銅貨十五枚。
お土産に可愛いお皿とスプーン、フォークをそのまま持って帰れるサービス付きだ。
洗ってくれるのかなこれ。
いくら子ども用でひとつひとつのおかずが少ないとはいえずいぶん安い。
このレストランの資本は民間だからかなり頑張ってると思う。
「うーんうーん」
「クレア、こういう所で値段は気にするな」
「そうなんですが……」
「もうクレアもビーフシチューにしろ。俺もエリナもそれにするから」
「ビーフシチューですか……銅貨十五枚……」
「もーめんどくさい。店員さん!」
店員を呼び、お子様デラックスプレートふたつとビーフシチューセットを三セット注文する。
「五人分のお昼ご飯で銅貨七十五枚……」
もうクレアは放置しておこう。無駄遣い! と大騒ぎしないだけマシだ。
「楽しみだねミコトちゃんエマちゃん!」
「「うん!」」
値段を気にしないアホな母娘をクレアは見習ってほしい。魔導調理器具の特許料で今うちで一番稼いでるのはクレアなんだから。
「あーお兄ちゃん、こっちのから揚げとハンバーグセットも美味しそうー」
「追加で鶏のから揚げでも頼むか?」
「鶏のから揚げ……銅貨十枚……」
「……やっぱやめとくか」
「そうだね……」
注文後もノリノリでメニューを見てたエリナはそっとメニューを閉じてテーブルに置く。
クレアはいまだにメニューをじっと見ているが、市場調査の為だろう。多分。
そうこうしていると、まずはお子様デラックスプレートが運ばれてくる。
滅茶苦茶可愛いが洗いにくそうな特殊形状の陶器製の皿と、握り部分木製で太くなっていてファンシーな金属製のフォークとスプーンがついてくる。
ああ、これで毎食この皿に食事を乗せろと言い出す二人が容易に想像できるな。
お子様デラックスプレートを目の前にした二人は目をキラキラさせている。
「先に食べていいぞミコト、エマ」
「「いただきまーす!」」
ぱくぱくと食べ始める姉妹。何故か食べる順番まで同じだ。
「おいしーねエマちゃん!」
「うん! みこねー!」
イチャイチャしながら食べ続ける姉妹を見ているとビーフシチューセットが運ばれてくる。
それぞれの前に料理が置かれると、早速俺たちも食事を始める。
「おっ、美味いな」
「そうだね!」
「確かに美味しいです。これはデミグラスソースからしっかり作ってますね。牛肉も柔らかくて美味しいです。赤ワインで煮てるのかな?」
早速クレアが味の解析を始める。料金分以上の収穫を得ようと頭を切り替えたのか、またぶつぶつ言いながら食べ始めた。怖い。
「今度からビーフシチューをうちのメニューにできるね!」
「クレアが解析してるからな。これより美味いレシピができるぞ」
「楽しみ!」
「あっエマちゃん、ほっぺにごはんつぶがついてるよ」
「ほんと? ここ?」
「ミコトが取ってあげるね! ひょいぱく」
「ありがとーみこねー」
「牛肉を煮込むときに赤ワインだけじゃなくハーブも使ってますね……なるほど」
クレアはマジックボックスから取り出した手帳に素早くメモをしている。
堂々とレシピを盗むような行為はやめてほしい。
娘たちもずっとイチャイチャしてるし。
結局家で飯食うときみたいに騒がしいんだなこいつら。
「楽しいねお兄ちゃん!」
「そうだな。相変わらず騒がしい」
「えへへ」
ニコニコと妹と娘たちを見つめるエリナは本当に幸せそうだ。
銅貨七十五枚、約七千五百円以上の価値はあったぞクレア。
どこかで見たようなデザインのマスコットキャラクターにアトラクション。前の世界では一度も行ったことは無かったが、相当似てるんじゃないか?
「お兄ちゃん! びっくり雷山ってアトラクション楽しかったね!」
「そのネーミングにびっくりしたわ」
「兄さま、水しぶきマウンテンも面白かったです!」
「ギリギリを攻めすぎだと思うんだよな」
完全に俺に対する嫌がらせレベルだ。
なんだよ雷山って。
「もうお兄ちゃん!」
「魔法を使って安全性が高いせいかエマでも乗れるアトラクションだらけだったのは幸いだけどな」
「水しぶきも結界のおかげでかからなかったですからね」
「夏なんかは多少水がかかったほうが良いかもしれないけどな」
「パパ! おなかすいた!」
「えまも!」
「じゃあレストランに行くか」
「楽しみ!」
「クレアの方が味は上だろうけどな」
「兄さまありがとうございます。てへへ」
「ま、雰囲気もあるしせっかくだから園内のレストランで飯にしよう」
「「「はーい!」」」
ちょうど目の前にあったレストランに入る。
王都にあった貴族用のレストランには劣るが、日本の高級ファミレスのような清潔感のある店内は平日にも関わらず盛況だった。
店員に案内されて席に着くと、仲良く並んで座ったミコトとエマは早速メニューとにらめっこだ。
「エマちゃんどれがいーい?」
「えっとね、えっとね」
仲良くメニューを選ぶ姉妹にほっこりしつつ、俺たちもメニューを選ぶ。
「うーんうーん。ハンバーグのセットで銅貨十枚ですか。ドリンク付きとはいっても……」
財布にシビアなクレアがぶつぶつ言ってて少し怖い。
俺にしてみればこれだけの施設で千円のセットメニューは良心的だと思うんだがな。
ただ朝だけじゃなく昼にも始めた弁当販売の値段から比較すると三倍近いのはクレアにとってもショックなのだろう。
「お兄ちゃん私ビーフシチューのセットにする!」
何も考えてないアホな長女が能天気に銅貨十五枚のセットを選択する。
うちじゃあまり使わない牛肉料理だから少しお高めだ。
牧畜も大規模に行うようになって美味い牛肉が出回るようになったが、牛肉はまだまだ高級品なのだ。
もちろん亜人国家連合から輸入した黒毛和牛だったりする。
もはや何でもありだな亜人国家連合。
「パパ! ミコトとエマちゃんはこれ!」
「お子様デラックスプレートだな。わかった」
二人の選んだお子様セットは、丸く盛られたチキンライスにミニハンバーグ、マッシュポテト、肉団子、ベーコンエッグ、サラダ、ゼリーが乗った豪華版だ。
これにコーンスープとオレンジジュースかリンゴジュースがついて銅貨十五枚。
お土産に可愛いお皿とスプーン、フォークをそのまま持って帰れるサービス付きだ。
洗ってくれるのかなこれ。
いくら子ども用でひとつひとつのおかずが少ないとはいえずいぶん安い。
このレストランの資本は民間だからかなり頑張ってると思う。
「うーんうーん」
「クレア、こういう所で値段は気にするな」
「そうなんですが……」
「もうクレアもビーフシチューにしろ。俺もエリナもそれにするから」
「ビーフシチューですか……銅貨十五枚……」
「もーめんどくさい。店員さん!」
店員を呼び、お子様デラックスプレートふたつとビーフシチューセットを三セット注文する。
「五人分のお昼ご飯で銅貨七十五枚……」
もうクレアは放置しておこう。無駄遣い! と大騒ぎしないだけマシだ。
「楽しみだねミコトちゃんエマちゃん!」
「「うん!」」
値段を気にしないアホな母娘をクレアは見習ってほしい。魔導調理器具の特許料で今うちで一番稼いでるのはクレアなんだから。
「あーお兄ちゃん、こっちのから揚げとハンバーグセットも美味しそうー」
「追加で鶏のから揚げでも頼むか?」
「鶏のから揚げ……銅貨十枚……」
「……やっぱやめとくか」
「そうだね……」
注文後もノリノリでメニューを見てたエリナはそっとメニューを閉じてテーブルに置く。
クレアはいまだにメニューをじっと見ているが、市場調査の為だろう。多分。
そうこうしていると、まずはお子様デラックスプレートが運ばれてくる。
滅茶苦茶可愛いが洗いにくそうな特殊形状の陶器製の皿と、握り部分木製で太くなっていてファンシーな金属製のフォークとスプーンがついてくる。
ああ、これで毎食この皿に食事を乗せろと言い出す二人が容易に想像できるな。
お子様デラックスプレートを目の前にした二人は目をキラキラさせている。
「先に食べていいぞミコト、エマ」
「「いただきまーす!」」
ぱくぱくと食べ始める姉妹。何故か食べる順番まで同じだ。
「おいしーねエマちゃん!」
「うん! みこねー!」
イチャイチャしながら食べ続ける姉妹を見ているとビーフシチューセットが運ばれてくる。
それぞれの前に料理が置かれると、早速俺たちも食事を始める。
「おっ、美味いな」
「そうだね!」
「確かに美味しいです。これはデミグラスソースからしっかり作ってますね。牛肉も柔らかくて美味しいです。赤ワインで煮てるのかな?」
早速クレアが味の解析を始める。料金分以上の収穫を得ようと頭を切り替えたのか、またぶつぶつ言いながら食べ始めた。怖い。
「今度からビーフシチューをうちのメニューにできるね!」
「クレアが解析してるからな。これより美味いレシピができるぞ」
「楽しみ!」
「あっエマちゃん、ほっぺにごはんつぶがついてるよ」
「ほんと? ここ?」
「ミコトが取ってあげるね! ひょいぱく」
「ありがとーみこねー」
「牛肉を煮込むときに赤ワインだけじゃなくハーブも使ってますね……なるほど」
クレアはマジックボックスから取り出した手帳に素早くメモをしている。
堂々とレシピを盗むような行為はやめてほしい。
娘たちもずっとイチャイチャしてるし。
結局家で飯食うときみたいに騒がしいんだなこいつら。
「楽しいねお兄ちゃん!」
「そうだな。相変わらず騒がしい」
「えへへ」
ニコニコと妹と娘たちを見つめるエリナは本当に幸せそうだ。
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