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第四章 ヘタレ領主
第四話 事後処理
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領主父子の処遇が決定すると、早速クリスが側近に命じて領主父子のマジックボックスの中身を全て出させる。
所有権を放棄させて側近がマジックボックスの指輪を奪い、所有者を書き換えるのであろう、どこかへ持っていく。
更に護衛に命じ、一旦衣服を脱がせて武器などを隠し持ってないかを確認して、改めて最低限の衣服を着せる。
着替えが終わり、そのまま護衛が塔に連れて行き幽閉が完了すると、俺は領主の椅子に座らされた。
領主の椅子に腰かけた俺を挟むように駄姉妹が左右に並び立ち、駄姉が次々と指示を出していく。
父子のマジックボックスから出て来たやたらと高価そうな品は、必要なものは残してすべて換金の指示を出す。
やることはたくさんあるし、柔軟に考えられる有能な文官を集めてさっさと改革を断行しないと。
素人だから結局文官に任せることになるし、信用できる連中が揃えばいいんだが。
「エリナとクレアが心配してるだろうから俺もう帰りたいんですけど」
「すでに連絡は行ってますわよ旦那様。というか先程まではとても凛々しかったのに急にヘタレるのですね」
「冷静になったんだよ。あと一応聞くけどなんて伝言したの?」
「無事この町の領主として君臨したとお伝えしましたが?」
「やだよ俺領主なんて。疲れたしさっさと孤児院に帰って寝たいんだけど」
「普段は代理の者を立てて政務に当たらせますし、ある程度方向性を決めれば旦那様は孤児院に帰れますわよ?」
「あれ? いいの?」
領主の仕事を押し付けられるのかと思ってた俺には意外なセリフが帰ってきた。
だらっと座ってたが、つい身を乗り出してしまう。
「勿論ですお兄様! お兄様がこの城で生活したくない事はわかっていますし」
「駄妹、お前実は良い妹だったんだな」
「ありがとう存じますお兄様!」
「旦那様の意にそぐわない行動を妻であるわたくしが行うはずがないではありませんか」
「なんかいいように利用された感もあるけど、駄姉、お前も良い奴だったんだな」
「旦那様、是非先程のようにわたくしのことはクリスとお呼びくださいませ」
「お兄様! わたくしのこともシルと愛称で呼んで下さい!」
両脇から身を乗り出して座ってる俺に駄姉妹が抱き着いてくる。
両側からの圧力が凄い。
駄姉はともかく駄妹のシルはちょっとある漢字をあてるとあまり良いイメージがない気がするんだよな。
なんとなく。
「調子に乗るなよ駄姉妹、とにかく早く終わらせて孤児院に帰るぞ」
「そうですね旦那様。今日はミコトちゃんと絵本を読む約束をしておりますし」
「わたくしも今日は自分の使ってるシャンプーを持っていく約束をしていますから」
「お前ら本当にあっという間にガキんちょどもと仲良くなったよな。いつの間にかクリス姉ちゃん、シル姉ちゃんって呼ばれてるし」
「みなさん素直で可愛いですからね、正直あの出会いが無かったらここまで本気になって改革しようとは思いませんでしたし」
「わたくしもです。お兄様にあの子たちを見てやってくれと言われなければ領主の無為無策に気付く事が出来ませんでした」
「そう言ってくれてありがたいけど、スマンな。肉親を幽閉するような事態になって」
「いえ、先程も申しましたように、あのような愚かな領主を放置することの方が害悪です。肉親の情でそれを見逃したとあっては我が家の恥の上塗りでしかありませんから」
「それにわたくしたちは貧困家庭の実態をお兄様に言われて実際に見てきました。日々の食事にすら困窮する家庭をです」
「もちろんその貧困家庭の中には単なる怠惰で仕事をしていないせいで困窮してるっていう家庭もあるかもしれんがな、ただそれで子供が犠牲になるのだけは防ぎたい。なんとか生活を良くしようと頑張ってる家庭には援助もしたいがな」
「予算編成をやり直して適切にこの町に住む民の為に使えば大丈夫ですよ旦那様」
「実際の実務は文官にやって貰うことになるんだが、どうなんだ? これといった人材はいるのか?」
「ええ、何人か目星はついていますし、先代領主と反りが合わなくて冷遇された文官は数多くおりますよ」
「うーむ、貧困層への理解はある程度必要だけどそれだけじゃ駄目だし、バランス感覚に優れた人間とかなら良いんだが」
「もちろんある程度の思想調査も行った上で登用いたしますけれど、領主の顔色を窺うような気質では無いのは確かですね」
「領主ってやりたくないんだけど。たしかに『やれ』って言っちゃったけどさ」
「この領地が変わるという事を内外に知らせるためには必要な事と存じます。正当性はわたくしが担保できますし」
「あまり表に出たくない。といって責任を放り投げたりはしたくないから重要決定が必要な時には参加するけど、それ以外は任せたい。素人が政治に口出ししても碌な事にならんだろうし」
「内政、外交はわたくしが、軍部はシルヴィアに任せればよろしいでしょう。シルヴィアには経験豊富な将を補佐につけますし」
「お兄様、わたくしたち姉妹がお兄様をお支えいたします!」
「頼りにしてるよ、クリス、シル」
まあなんとかなるのかな?
駄姉妹は元々領主家の人間だし。
それにしても俺が領主ねー。
所有権を放棄させて側近がマジックボックスの指輪を奪い、所有者を書き換えるのであろう、どこかへ持っていく。
更に護衛に命じ、一旦衣服を脱がせて武器などを隠し持ってないかを確認して、改めて最低限の衣服を着せる。
着替えが終わり、そのまま護衛が塔に連れて行き幽閉が完了すると、俺は領主の椅子に座らされた。
領主の椅子に腰かけた俺を挟むように駄姉妹が左右に並び立ち、駄姉が次々と指示を出していく。
父子のマジックボックスから出て来たやたらと高価そうな品は、必要なものは残してすべて換金の指示を出す。
やることはたくさんあるし、柔軟に考えられる有能な文官を集めてさっさと改革を断行しないと。
素人だから結局文官に任せることになるし、信用できる連中が揃えばいいんだが。
「エリナとクレアが心配してるだろうから俺もう帰りたいんですけど」
「すでに連絡は行ってますわよ旦那様。というか先程まではとても凛々しかったのに急にヘタレるのですね」
「冷静になったんだよ。あと一応聞くけどなんて伝言したの?」
「無事この町の領主として君臨したとお伝えしましたが?」
「やだよ俺領主なんて。疲れたしさっさと孤児院に帰って寝たいんだけど」
「普段は代理の者を立てて政務に当たらせますし、ある程度方向性を決めれば旦那様は孤児院に帰れますわよ?」
「あれ? いいの?」
領主の仕事を押し付けられるのかと思ってた俺には意外なセリフが帰ってきた。
だらっと座ってたが、つい身を乗り出してしまう。
「勿論ですお兄様! お兄様がこの城で生活したくない事はわかっていますし」
「駄妹、お前実は良い妹だったんだな」
「ありがとう存じますお兄様!」
「旦那様の意にそぐわない行動を妻であるわたくしが行うはずがないではありませんか」
「なんかいいように利用された感もあるけど、駄姉、お前も良い奴だったんだな」
「旦那様、是非先程のようにわたくしのことはクリスとお呼びくださいませ」
「お兄様! わたくしのこともシルと愛称で呼んで下さい!」
両脇から身を乗り出して座ってる俺に駄姉妹が抱き着いてくる。
両側からの圧力が凄い。
駄姉はともかく駄妹のシルはちょっとある漢字をあてるとあまり良いイメージがない気がするんだよな。
なんとなく。
「調子に乗るなよ駄姉妹、とにかく早く終わらせて孤児院に帰るぞ」
「そうですね旦那様。今日はミコトちゃんと絵本を読む約束をしておりますし」
「わたくしも今日は自分の使ってるシャンプーを持っていく約束をしていますから」
「お前ら本当にあっという間にガキんちょどもと仲良くなったよな。いつの間にかクリス姉ちゃん、シル姉ちゃんって呼ばれてるし」
「みなさん素直で可愛いですからね、正直あの出会いが無かったらここまで本気になって改革しようとは思いませんでしたし」
「わたくしもです。お兄様にあの子たちを見てやってくれと言われなければ領主の無為無策に気付く事が出来ませんでした」
「そう言ってくれてありがたいけど、スマンな。肉親を幽閉するような事態になって」
「いえ、先程も申しましたように、あのような愚かな領主を放置することの方が害悪です。肉親の情でそれを見逃したとあっては我が家の恥の上塗りでしかありませんから」
「それにわたくしたちは貧困家庭の実態をお兄様に言われて実際に見てきました。日々の食事にすら困窮する家庭をです」
「もちろんその貧困家庭の中には単なる怠惰で仕事をしていないせいで困窮してるっていう家庭もあるかもしれんがな、ただそれで子供が犠牲になるのだけは防ぎたい。なんとか生活を良くしようと頑張ってる家庭には援助もしたいがな」
「予算編成をやり直して適切にこの町に住む民の為に使えば大丈夫ですよ旦那様」
「実際の実務は文官にやって貰うことになるんだが、どうなんだ? これといった人材はいるのか?」
「ええ、何人か目星はついていますし、先代領主と反りが合わなくて冷遇された文官は数多くおりますよ」
「うーむ、貧困層への理解はある程度必要だけどそれだけじゃ駄目だし、バランス感覚に優れた人間とかなら良いんだが」
「もちろんある程度の思想調査も行った上で登用いたしますけれど、領主の顔色を窺うような気質では無いのは確かですね」
「領主ってやりたくないんだけど。たしかに『やれ』って言っちゃったけどさ」
「この領地が変わるという事を内外に知らせるためには必要な事と存じます。正当性はわたくしが担保できますし」
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「お兄様、わたくしたち姉妹がお兄様をお支えいたします!」
「頼りにしてるよ、クリス、シル」
まあなんとかなるのかな?
駄姉妹は元々領主家の人間だし。
それにしても俺が領主ねー。
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