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第三章 ヘタレ勇者
第十五話 一期一振
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換金の為に冒険者ギルドに到着すると、いつも通りに他のギルド員は皆無だ。
極わずかにいるまともな冒険者は日が暮れるまでせっせと採取したり狩りをしたりするらしいからな。
ちなみに俺達は今現在採取は行っていないが、託児所の敷地の一部で薬草栽培を行っている。
孤児院よりも広い庭だったので、土地を買った時から畑を作って婆さんが管理しているのだ。
サルノコシカケみたいな高額の物は栽培できないが、季節に合わせて栽培の容易な薬草でも定期的な収入になるだろうと婆さんも言ってるしまあ大丈夫だろう。
「「こんにちは!」」
「ういっす」
「トーマさん、エリナさん、シルヴィアさん、今日もご苦労様です」
「駄妹のマジックボックスにダッシュエミューが入ってるから、取り出す場所を指示してやってくれ」
「かしこまりました。そのまま査定いたしますので少々お待ちください」
駄妹が奥に案内されている間にエリナと掲示板のチェックだ。
ランクが上がっても美味しい依頼が無いんだよな。午前中だけで終わる依頼しか受けないからだけど。
エリナが「えへへ!」と俺の前に移動してきたから軽く後ろから抱きしめてやる。
「って魔王の奴生きてたのか......」
<徴税局からの依頼 貧民街〇区〇番△△に住む「魔王」の捕縛依頼 報酬 銀貨二枚>
掲示板に貼られている魔王の捕縛依頼を見て眩暈がする。
「お兄ちゃん、また税金滞納なのかな」
「いい加減にしろよ魔王......徴税局も無能揃いなのかよ」
「また捕まえる?」
「関わりたくないから無視だ無視」
「でも私が絡まれたらお兄ちゃん助けてくれるんでしょ?」
「次こそちゃんととどめを刺すと思うぞ」
「えへへ!」
こちらを振り向き、「ぎゅー」と言いながら抱き着いてくる嫁の頭をなでながら依頼を見る。
碌な依頼がないな。
資金が足りなくなったら高額依頼の護衛任務とかやるしかないのかね。
色々考えてると、事務員から査定終了の声が掛かったので、カウンターに向かう。
「ダッシュエミュー四匹で、税金分を差し引いて銀貨七十一枚と銅貨八百枚ですね」
「わかった。問題無い」
俺とエリナが登録証を出して、処理が終了する。
駄妹は立場が色々あれだし、冒険者登録をしていないから登録証を出す事は無い。
分け前は要らないから全て託児所の運営に回してくれとの事なので甘えている。
「それと地竜のオークションは本日王都で行われております。結果は本日中に出ますのですぐにトーマさんの口座に入金処理がされます。早ければ本日午後、遅くとも明日にはお引き出しが可能ですよ。明細は一週間以内に届くと思いますので、届きましたらお渡しします」
「わかった。高値がつけば良いけどな」
「地竜目的の入札者が結構来場されているようですよ」
「なら期待しておくよ。また来る」
「お待ちしてますね」
受け取り手続きをすべて完了したので冒険者ギルドを出る。
「じゃあ次は武器屋だな。駄妹の侍女からの報告じゃ今日完成してるって話だったが」
「しかし拵えまで全部一人で行っていたとは......」
「気難しい親父だからな、納得が行くものじゃないと気が済まないから結局自分で全部やっちゃうんだろ」
「刀身ならともかく、拵えなどは委託するのが嫌なら弟子を取って自分の作風を教え込めば良いのではありませんか?」
「アレに師事できる人間がいればな」
「なるほどと言わざるを得ないですね」
「アランとかそういうの好きそうだよね!」
「一号の手先の器用さとかは認めるがな、流石に親父の下で働くんじゃ可哀そうだ」
「むー! やってみなきゃわからないのに!」
「まあ一号がもし将来そういう職に就きたいって言うのならいくらでも協力してやるさ。一号本人がやりたいって思える職が一番だからな」
「うん!」
てくてくと歩いていき、武器屋に到着する。
ずっと閉めたままだった店が開いているので、完成したのだろう。
早速扉を開け、中に入る。
「親父、受け取りに来たぞ」
「おう、納得のいくものが出来たぞ」
そう言うと、後ろの棚から箱を二つ取り出し、それぞれ俺と駄妹の前に置く。
親父はアゴでくいっと箱を開けろと促してくる。
俺と駄妹は借りていた日本刀を親父に返す。
俺は箱を開け、シンプルに黒一色で塗られた鞘に納められた日本刀を取り出し、抜刀する。
駄妹は自分の箱は開けず、俺の日本刀を注視している。
「前と同じ刃長か」
「刃長二尺七寸、慣れてるだろうと思ってな」
「刃文は逆丁子か? いや片落互の目か。まるで備前長船景光だな。沸がよくついて刃中に稲妻も入ってるし、雷魔法をメインに使う俺には丁度良いな」
「お前さん素人とか言ってるが実は相当な刀好きだろ......」
「銘は?」
「一期一振 真打」
「まーたそういう影響受けてるのな。粟田口吉光とは作風が違うようだが」
「これというモデルは無い。俺の持つすべての技術を使って打った刀だし刃文も特に意識してないしな。ミスリルを使うなんて事は二度とないだろうからその銘にした」
「それで一期一振か」
「お兄ちゃん、いちごひとふりってどういう意味の名前なの?」
「親父がミスリルを使って刀を打つのは、生涯でこれだけって意味だな。今回の場合」
「今回の場合?」
「日本でも同じ銘の刀があるんだよ。まあ似たような意味合いではあるんだが、諸説あるしな」
「凄く綺麗だよね、いちごひとふりしんうち」
「嬢ちゃんも良い目を持ってるな。いずれ嬢ちゃんも必要になるだろうからその時は言え。影打がある」
「お兄ちゃんかげうちってなあに?」
「俺に聞かずに親父に聞けよ、素人だぞ俺は......。日本刀ってのは一回の作刀依頼で何振りか打つ場合があるんだよ。その内で一番出来の良いのを真打、それ以外を影打と言って、真打は依頼者に納めて、影打は作刀者に寄るけど奉納したり手元に置いておいたりするんだ。もちろん影打だから出来が悪いって事は無いぞ。出来が悪いのは処分されるからな」
「そうだ。磨上してみたらかなり出来が良くなった物が脇差サイズであるんだ。いずれ嬢ちゃんも筋力がついてそのダガーが物足りなくなったらいつでも来い。金貨十五枚だが十枚にまけてやる」
「ありがとうございます! おじさん! じゃあそのかげうち取っておいてくださいね!」
「ああ」
「良かったなエリナ」
「うん!」
「あとお前さんの魔法石は茎に仕込んである。目釘穴の二寸下にな」
「ミスリルは?」
「皮鉄、棟鉄、心鉄がそれぞれ強度や靭性を変えたミスリル製だ、刃鉄はミスリルじゃどうしても納得がいかなかったから玉鋼を使った。だが魔力との親和性は問題無い」
「すまんな、無理を言って」
「何、竜殺しのお前さんに請われて打ったんだ、気にするな」
「最高の一振りだよ親父、ありがとうな」
「ふん、次は玉鋼だけの刀を買いに来い」
ぽーっと駄妹が俺の日本刀に見とれている。
「駄妹、お前のも見てみろ」
納刀しながら駄妹に声を掛ける。
「は、はいお兄様」
駄妹は慌てて自身の日本刀を取り出して抜刀する。
「これは......なんて美しい......」
「シルお姉ちゃんのにほんとうも凄く綺麗!」
「刃長は二尺五寸二分だ」
「刃文は中直刃か、匂い口が青く澄んで良く冴えてるし、刃中も沸てる。まるで井上真改だな」
「お前さん今度一緒に酒を飲まないか」
「未成年だよ、俺は」
「大変、美しいです。まさかこんなに美しい武器がこの世に存在するなんて......」
「銘は一期一振 影打。同じように魔法石は目釘穴の二寸下に仕込んである」
「水魔法と相性の良さそうな美しい刀身ですね。非常に気に入りました! ありがとう存じます!」
「何、こっちこそいい仕事をさせてもらった。そしてこれだ」
親父が後ろの棚からもう一つの箱を出す。
蓋の部分がガラスでできて中が見えるようになっていて、その箱の中には一振りの輝く刀身が納められている。
「あの刀身か」
「そうだ、銘は竜切丸と切った」
「また病気を発症してるな親父」
「浪漫と言え。それに実際に竜を斬った刀だしな」
「短くなってるな」
「磨上したからな。刃長二尺三寸一分。なまくらでは無いが、元の斬れ味には及ばん」
「守り刀だし、その辺は気にしないよ。綺麗に研いでくれてありがたい。こいつは俺の命の恩人だからな」
「箱もサービスしてやるから一緒に持って行け。簡単な鍵も中に入ってるからな」
「まだ発注してなかったから助かるよ」
「よし、じゃあ俺は今日はもう店を閉めて寝るから出て行ってくれ。しばらくまともに寝てなかったからな」
「ああ、ありがとうな親父」
「おじさんありがとうございましたー!」
「親父殿、素晴らしい刀をありがとう存じます。この刀に負けぬよう精進いたします」
「ああ、せいぜい頑張ってくれ。そして次は玉鋼の刀を買いに来いよ」
「はい!」
駄妹はずっとにやにやしながら左腰に佩いた日本刀を眺めている。
何度も抜刀しそうになるが、そのたびに止めている。
「お前孤児院や託児所内で抜刀するなよマジで。フリじゃないからな。子供がいるんだからな。ガキんちょの手の届く場所に置いたりするなよ」
「だ、大丈夫ですお兄様。自室で鍵を掛けてからゆっくり眺めますので」
「不安過ぎる。気持ちはわかるがな」
晩飯の買い物中にもうずうずしてたが、まあ我慢出来てるみたいだな。
◇
買い物も終わり帰宅する。
相変わらず賑やかなおやつタイムも終わり、ガキんちょどもは絵本を読み聞かせするお勉強タイムに突入した。
俺の厳選した非グロ、微グロ絵本なので安心だ。
孤児院の年中組が中心となって絵本の読み聞かせをするのをにこにこと見つめてる駄姉に話しかける。
「駄姉ちょっと良いか?」
「なんでしょうかトーマ様」
「マジックボックスの中古を探しているんだが、お前に伝手はあるか? 予算はあまり無いから指輪以外の形状で不人気な品を安く買えたりするとありがたいんだが」
「シルヴィアのマジックボックスを取り上げればいいのではないですか?」
「本人も差し上げますと言ってくれてるんだが流石にな。日本刀とか魔法石とかで大金出してもらった後だし」
「細かい事を気にされるのですねトーマ様は。金額でヘタレるとか流石に<転移者>といったところでしょうか」
「女にタカる男って最低だと思うが」
「シルヴィアは趣味が素振りという位にまったくお金を使わないつまらない人生を送って来た、脳みそ筋肉の化粧っ気もない人間ですからね。むしろ全財産を取り上げてここの運営資金にした方が世の為になるというものです」
「お前って家族に凄く辛辣だよな」
「ただ家族の中ではまだ思考に柔軟性はあると思っておりますよ。まっすぐな性格は好ましくも思っていますしね」
「ポンコツだけど悪い人間ではないのはわかってるつもりだけどな。お前も含めて」
「まあ、光栄ですトーマ様。ファルケンブルク領が欲しくなったらいつでも仰ってくださいませ」
「父親と兄貴を殺そうというお前の性格を肯定したわけじゃないからな。それよりマジックボックスの伝手の話だよ」
「そうですね、シルヴィアの今持っている一トンクラスの中容量のマジックボックスは流通量も多く、不人気形状の品もそれなりにあるとは思いますが、一応伝手がありますので当たってみますね。お時間は少しかかるかと思いますけれど」
「頼む。と言ってもあまり金額は出せないから、時間がかかっても良いんで調べておいてくれ」
「かしこまりました。あっ、そういえば......」
「おっ、なんだ? 処分に困ってる知り合いでも思い出したのか?」
「いえ、父が持ってる大容量のマジックボックスなら殺せば手に入りますよ。ただし殺害して入手した場合は所有者登録の解除方法が限られる上に高額な費用が必要ですし、中の物は手に入らず消滅しますけれど。一番良いのは脅してマジックボックスの中身をすべて出させた後で所有権放棄させて奪い取るのが一番ですね」
「だからそういう不穏な提案はやめろ」
「一番手っ取り早い方法なのですけれどね」
「まずは提案書を提出してからだ」
「そちらももう少しで完成いたしますので、出来ましたら見て頂きますね」
「流石に優秀だな駄姉は」
「クレア様も素晴らしいですよ。あの年齢であそこまで数字を理解しているとは。院長先生も素晴らしい能力をお持ちですから、ご指導方法が良かったのですね」
「クレアは低コストで美味い料理を作れるおかげで弁当販売でも大活躍だからな」
「実際その料理の腕とお弁当販売のお陰で、だいぶ運営費が圧縮できているのも確かです。残念ですけれど、提案書での予算請求額はかなり抑えられておりますので、あのクズ領主でも首を縦に振るかもしれません」
「なんで残念なんだよ、予算請求が穏便に通るのなら良い事じゃないか」
「孤児院と託児所の予算が通ったとしても、それ以外の弊害に対応できる頭を持っていませんからね。暗殺ギルドと盗賊ギルドの廃止の件も書類に纏めますので、そちらも同時に提出します」
「あれは潰さないとな」
「ええ、ですのでその際は存分にわたくしども姉妹をお使い下さいませ。妹は馬鹿ですけれど、手綱さえ握っておけば何かのお役には立ちますでしょうし」
「だからそういう不穏な提案はやめろ。反乱の計画をしてるみたいだ」
「いいえトーマ様、これは反乱ではございません。革命でございます」
「うるせー。ただいざとなれば、駄妹を助けた功績で予算分配を嘆願するってのもありかもな。ゆすってるみたいで嫌だけど」
「そうですね、まずはわたくしたち姉妹で登城し話し合ってきます。それでも要求が通らなかった場合はトーマ様のお力をお借りしてよろしいでしょうか?」
「わかった」
まずはそろそろ完成するというその提案書の確認だな。
駄姉ですら予算が通ると判断するのならなんとかなるだろう。なんとかガキんちょどもの未来に光明が見えて来た。
訳の分からんギルドの存続は別としても、託児所に予算が投入されれば俺の目の前でガキんちょが不幸な目にあう事もなくなるだろうしな。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
これにて三章は終了です。ご愛読いただきありがとうございました!
四章からは、孤児院改革に加えてとうとう領地経営にかかわっていくことになります。
領主家の姉妹を加えて、ますます発展していくヘタレワールド。
是非引き続き「ヘタレ転移者」をよろしくお願いいたします!
本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
よろしければそちらでも応援いただけますと励みになります。
また、小説家になろう版は、序盤から新規に挿絵を大量に追加したうえで、一話当たりの文字数調整、加筆修正、縦読み対応の改稿版となります。
ファンアート、一部重複もありますが、総数で100枚を超える挿絵を掲載し、九章以降ではほぼ毎話挿絵を掲載しております。
是非挿絵だけでもご覧くださいませ。
極わずかにいるまともな冒険者は日が暮れるまでせっせと採取したり狩りをしたりするらしいからな。
ちなみに俺達は今現在採取は行っていないが、託児所の敷地の一部で薬草栽培を行っている。
孤児院よりも広い庭だったので、土地を買った時から畑を作って婆さんが管理しているのだ。
サルノコシカケみたいな高額の物は栽培できないが、季節に合わせて栽培の容易な薬草でも定期的な収入になるだろうと婆さんも言ってるしまあ大丈夫だろう。
「「こんにちは!」」
「ういっす」
「トーマさん、エリナさん、シルヴィアさん、今日もご苦労様です」
「駄妹のマジックボックスにダッシュエミューが入ってるから、取り出す場所を指示してやってくれ」
「かしこまりました。そのまま査定いたしますので少々お待ちください」
駄妹が奥に案内されている間にエリナと掲示板のチェックだ。
ランクが上がっても美味しい依頼が無いんだよな。午前中だけで終わる依頼しか受けないからだけど。
エリナが「えへへ!」と俺の前に移動してきたから軽く後ろから抱きしめてやる。
「って魔王の奴生きてたのか......」
<徴税局からの依頼 貧民街〇区〇番△△に住む「魔王」の捕縛依頼 報酬 銀貨二枚>
掲示板に貼られている魔王の捕縛依頼を見て眩暈がする。
「お兄ちゃん、また税金滞納なのかな」
「いい加減にしろよ魔王......徴税局も無能揃いなのかよ」
「また捕まえる?」
「関わりたくないから無視だ無視」
「でも私が絡まれたらお兄ちゃん助けてくれるんでしょ?」
「次こそちゃんととどめを刺すと思うぞ」
「えへへ!」
こちらを振り向き、「ぎゅー」と言いながら抱き着いてくる嫁の頭をなでながら依頼を見る。
碌な依頼がないな。
資金が足りなくなったら高額依頼の護衛任務とかやるしかないのかね。
色々考えてると、事務員から査定終了の声が掛かったので、カウンターに向かう。
「ダッシュエミュー四匹で、税金分を差し引いて銀貨七十一枚と銅貨八百枚ですね」
「わかった。問題無い」
俺とエリナが登録証を出して、処理が終了する。
駄妹は立場が色々あれだし、冒険者登録をしていないから登録証を出す事は無い。
分け前は要らないから全て託児所の運営に回してくれとの事なので甘えている。
「それと地竜のオークションは本日王都で行われております。結果は本日中に出ますのですぐにトーマさんの口座に入金処理がされます。早ければ本日午後、遅くとも明日にはお引き出しが可能ですよ。明細は一週間以内に届くと思いますので、届きましたらお渡しします」
「わかった。高値がつけば良いけどな」
「地竜目的の入札者が結構来場されているようですよ」
「なら期待しておくよ。また来る」
「お待ちしてますね」
受け取り手続きをすべて完了したので冒険者ギルドを出る。
「じゃあ次は武器屋だな。駄妹の侍女からの報告じゃ今日完成してるって話だったが」
「しかし拵えまで全部一人で行っていたとは......」
「気難しい親父だからな、納得が行くものじゃないと気が済まないから結局自分で全部やっちゃうんだろ」
「刀身ならともかく、拵えなどは委託するのが嫌なら弟子を取って自分の作風を教え込めば良いのではありませんか?」
「アレに師事できる人間がいればな」
「なるほどと言わざるを得ないですね」
「アランとかそういうの好きそうだよね!」
「一号の手先の器用さとかは認めるがな、流石に親父の下で働くんじゃ可哀そうだ」
「むー! やってみなきゃわからないのに!」
「まあ一号がもし将来そういう職に就きたいって言うのならいくらでも協力してやるさ。一号本人がやりたいって思える職が一番だからな」
「うん!」
てくてくと歩いていき、武器屋に到着する。
ずっと閉めたままだった店が開いているので、完成したのだろう。
早速扉を開け、中に入る。
「親父、受け取りに来たぞ」
「おう、納得のいくものが出来たぞ」
そう言うと、後ろの棚から箱を二つ取り出し、それぞれ俺と駄妹の前に置く。
親父はアゴでくいっと箱を開けろと促してくる。
俺と駄妹は借りていた日本刀を親父に返す。
俺は箱を開け、シンプルに黒一色で塗られた鞘に納められた日本刀を取り出し、抜刀する。
駄妹は自分の箱は開けず、俺の日本刀を注視している。
「前と同じ刃長か」
「刃長二尺七寸、慣れてるだろうと思ってな」
「刃文は逆丁子か? いや片落互の目か。まるで備前長船景光だな。沸がよくついて刃中に稲妻も入ってるし、雷魔法をメインに使う俺には丁度良いな」
「お前さん素人とか言ってるが実は相当な刀好きだろ......」
「銘は?」
「一期一振 真打」
「まーたそういう影響受けてるのな。粟田口吉光とは作風が違うようだが」
「これというモデルは無い。俺の持つすべての技術を使って打った刀だし刃文も特に意識してないしな。ミスリルを使うなんて事は二度とないだろうからその銘にした」
「それで一期一振か」
「お兄ちゃん、いちごひとふりってどういう意味の名前なの?」
「親父がミスリルを使って刀を打つのは、生涯でこれだけって意味だな。今回の場合」
「今回の場合?」
「日本でも同じ銘の刀があるんだよ。まあ似たような意味合いではあるんだが、諸説あるしな」
「凄く綺麗だよね、いちごひとふりしんうち」
「嬢ちゃんも良い目を持ってるな。いずれ嬢ちゃんも必要になるだろうからその時は言え。影打がある」
「お兄ちゃんかげうちってなあに?」
「俺に聞かずに親父に聞けよ、素人だぞ俺は......。日本刀ってのは一回の作刀依頼で何振りか打つ場合があるんだよ。その内で一番出来の良いのを真打、それ以外を影打と言って、真打は依頼者に納めて、影打は作刀者に寄るけど奉納したり手元に置いておいたりするんだ。もちろん影打だから出来が悪いって事は無いぞ。出来が悪いのは処分されるからな」
「そうだ。磨上してみたらかなり出来が良くなった物が脇差サイズであるんだ。いずれ嬢ちゃんも筋力がついてそのダガーが物足りなくなったらいつでも来い。金貨十五枚だが十枚にまけてやる」
「ありがとうございます! おじさん! じゃあそのかげうち取っておいてくださいね!」
「ああ」
「良かったなエリナ」
「うん!」
「あとお前さんの魔法石は茎に仕込んである。目釘穴の二寸下にな」
「ミスリルは?」
「皮鉄、棟鉄、心鉄がそれぞれ強度や靭性を変えたミスリル製だ、刃鉄はミスリルじゃどうしても納得がいかなかったから玉鋼を使った。だが魔力との親和性は問題無い」
「すまんな、無理を言って」
「何、竜殺しのお前さんに請われて打ったんだ、気にするな」
「最高の一振りだよ親父、ありがとうな」
「ふん、次は玉鋼だけの刀を買いに来い」
ぽーっと駄妹が俺の日本刀に見とれている。
「駄妹、お前のも見てみろ」
納刀しながら駄妹に声を掛ける。
「は、はいお兄様」
駄妹は慌てて自身の日本刀を取り出して抜刀する。
「これは......なんて美しい......」
「シルお姉ちゃんのにほんとうも凄く綺麗!」
「刃長は二尺五寸二分だ」
「刃文は中直刃か、匂い口が青く澄んで良く冴えてるし、刃中も沸てる。まるで井上真改だな」
「お前さん今度一緒に酒を飲まないか」
「未成年だよ、俺は」
「大変、美しいです。まさかこんなに美しい武器がこの世に存在するなんて......」
「銘は一期一振 影打。同じように魔法石は目釘穴の二寸下に仕込んである」
「水魔法と相性の良さそうな美しい刀身ですね。非常に気に入りました! ありがとう存じます!」
「何、こっちこそいい仕事をさせてもらった。そしてこれだ」
親父が後ろの棚からもう一つの箱を出す。
蓋の部分がガラスでできて中が見えるようになっていて、その箱の中には一振りの輝く刀身が納められている。
「あの刀身か」
「そうだ、銘は竜切丸と切った」
「また病気を発症してるな親父」
「浪漫と言え。それに実際に竜を斬った刀だしな」
「短くなってるな」
「磨上したからな。刃長二尺三寸一分。なまくらでは無いが、元の斬れ味には及ばん」
「守り刀だし、その辺は気にしないよ。綺麗に研いでくれてありがたい。こいつは俺の命の恩人だからな」
「箱もサービスしてやるから一緒に持って行け。簡単な鍵も中に入ってるからな」
「まだ発注してなかったから助かるよ」
「よし、じゃあ俺は今日はもう店を閉めて寝るから出て行ってくれ。しばらくまともに寝てなかったからな」
「ああ、ありがとうな親父」
「おじさんありがとうございましたー!」
「親父殿、素晴らしい刀をありがとう存じます。この刀に負けぬよう精進いたします」
「ああ、せいぜい頑張ってくれ。そして次は玉鋼の刀を買いに来いよ」
「はい!」
駄妹はずっとにやにやしながら左腰に佩いた日本刀を眺めている。
何度も抜刀しそうになるが、そのたびに止めている。
「お前孤児院や託児所内で抜刀するなよマジで。フリじゃないからな。子供がいるんだからな。ガキんちょの手の届く場所に置いたりするなよ」
「だ、大丈夫ですお兄様。自室で鍵を掛けてからゆっくり眺めますので」
「不安過ぎる。気持ちはわかるがな」
晩飯の買い物中にもうずうずしてたが、まあ我慢出来てるみたいだな。
◇
買い物も終わり帰宅する。
相変わらず賑やかなおやつタイムも終わり、ガキんちょどもは絵本を読み聞かせするお勉強タイムに突入した。
俺の厳選した非グロ、微グロ絵本なので安心だ。
孤児院の年中組が中心となって絵本の読み聞かせをするのをにこにこと見つめてる駄姉に話しかける。
「駄姉ちょっと良いか?」
「なんでしょうかトーマ様」
「マジックボックスの中古を探しているんだが、お前に伝手はあるか? 予算はあまり無いから指輪以外の形状で不人気な品を安く買えたりするとありがたいんだが」
「シルヴィアのマジックボックスを取り上げればいいのではないですか?」
「本人も差し上げますと言ってくれてるんだが流石にな。日本刀とか魔法石とかで大金出してもらった後だし」
「細かい事を気にされるのですねトーマ様は。金額でヘタレるとか流石に<転移者>といったところでしょうか」
「女にタカる男って最低だと思うが」
「シルヴィアは趣味が素振りという位にまったくお金を使わないつまらない人生を送って来た、脳みそ筋肉の化粧っ気もない人間ですからね。むしろ全財産を取り上げてここの運営資金にした方が世の為になるというものです」
「お前って家族に凄く辛辣だよな」
「ただ家族の中ではまだ思考に柔軟性はあると思っておりますよ。まっすぐな性格は好ましくも思っていますしね」
「ポンコツだけど悪い人間ではないのはわかってるつもりだけどな。お前も含めて」
「まあ、光栄ですトーマ様。ファルケンブルク領が欲しくなったらいつでも仰ってくださいませ」
「父親と兄貴を殺そうというお前の性格を肯定したわけじゃないからな。それよりマジックボックスの伝手の話だよ」
「そうですね、シルヴィアの今持っている一トンクラスの中容量のマジックボックスは流通量も多く、不人気形状の品もそれなりにあるとは思いますが、一応伝手がありますので当たってみますね。お時間は少しかかるかと思いますけれど」
「頼む。と言ってもあまり金額は出せないから、時間がかかっても良いんで調べておいてくれ」
「かしこまりました。あっ、そういえば......」
「おっ、なんだ? 処分に困ってる知り合いでも思い出したのか?」
「いえ、父が持ってる大容量のマジックボックスなら殺せば手に入りますよ。ただし殺害して入手した場合は所有者登録の解除方法が限られる上に高額な費用が必要ですし、中の物は手に入らず消滅しますけれど。一番良いのは脅してマジックボックスの中身をすべて出させた後で所有権放棄させて奪い取るのが一番ですね」
「だからそういう不穏な提案はやめろ」
「一番手っ取り早い方法なのですけれどね」
「まずは提案書を提出してからだ」
「そちらももう少しで完成いたしますので、出来ましたら見て頂きますね」
「流石に優秀だな駄姉は」
「クレア様も素晴らしいですよ。あの年齢であそこまで数字を理解しているとは。院長先生も素晴らしい能力をお持ちですから、ご指導方法が良かったのですね」
「クレアは低コストで美味い料理を作れるおかげで弁当販売でも大活躍だからな」
「実際その料理の腕とお弁当販売のお陰で、だいぶ運営費が圧縮できているのも確かです。残念ですけれど、提案書での予算請求額はかなり抑えられておりますので、あのクズ領主でも首を縦に振るかもしれません」
「なんで残念なんだよ、予算請求が穏便に通るのなら良い事じゃないか」
「孤児院と託児所の予算が通ったとしても、それ以外の弊害に対応できる頭を持っていませんからね。暗殺ギルドと盗賊ギルドの廃止の件も書類に纏めますので、そちらも同時に提出します」
「あれは潰さないとな」
「ええ、ですのでその際は存分にわたくしども姉妹をお使い下さいませ。妹は馬鹿ですけれど、手綱さえ握っておけば何かのお役には立ちますでしょうし」
「だからそういう不穏な提案はやめろ。反乱の計画をしてるみたいだ」
「いいえトーマ様、これは反乱ではございません。革命でございます」
「うるせー。ただいざとなれば、駄妹を助けた功績で予算分配を嘆願するってのもありかもな。ゆすってるみたいで嫌だけど」
「そうですね、まずはわたくしたち姉妹で登城し話し合ってきます。それでも要求が通らなかった場合はトーマ様のお力をお借りしてよろしいでしょうか?」
「わかった」
まずはそろそろ完成するというその提案書の確認だな。
駄姉ですら予算が通ると判断するのならなんとかなるだろう。なんとかガキんちょどもの未来に光明が見えて来た。
訳の分からんギルドの存続は別としても、託児所に予算が投入されれば俺の目の前でガキんちょが不幸な目にあう事もなくなるだろうしな。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
これにて三章は終了です。ご愛読いただきありがとうございました!
四章からは、孤児院改革に加えてとうとう領地経営にかかわっていくことになります。
領主家の姉妹を加えて、ますます発展していくヘタレワールド。
是非引き続き「ヘタレ転移者」をよろしくお願いいたします!
本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
よろしければそちらでも応援いただけますと励みになります。
また、小説家になろう版は、序盤から新規に挿絵を大量に追加したうえで、一話当たりの文字数調整、加筆修正、縦読み対応の改稿版となります。
ファンアート、一部重複もありますが、総数で100枚を超える挿絵を掲載し、九章以降ではほぼ毎話挿絵を掲載しております。
是非挿絵だけでもご覧くださいませ。
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アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
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【二章開始】『事務員はいらない』と実家からも騎士団からも追放された書記は『命名』で生み出した最強家族とのんびり暮らしたい
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