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「キーラ様はこちらへ」
座っていた人たちが自由に動きだすと、ヴィアーロさんは私を舞台から降ろし、脇にある小部屋へと連れて行った。
「このままバルコニーでお集まりの皆さまにご挨拶をしていただきます」
「バルコニー?」
「はい、こちらにお立ちください」
って指し示されたのは、白い魔法陣。
女の人も付いてきていて、そこに立つと同時にまとめた裾を持たせられる。
「ご不便をおかけします。上は少し狭いので……」
女の人もヴィアーロさんも申し訳なさそう。
私にしてみれば裾を引きずって歩くより、持っている方が楽なんだけどね。
二人入ればいっぱいいっぱいの円の中に私とヴィアーロさんが立つと、ヴィアーロさんが指を鳴らした。
魔法陣が白く光って光が消えると、流石に魔法陣よりは広いバルコニーの上にいた。
バルコニーは大聖堂の細くなった屋根の部分の途中にあって、なんて言うか出入りしないハト時計のハトみたいな感じだ。
目の前に広がる街には、人があふれて歓声を上げている。
下でみた時も凄いと思ったけれど、上からみるとさらに人の多さに驚かされた。
だって、びっしりなんだよ!
ヴィアーロさんがおもむろに片手を上げた。
ぴたりと静まる歓声。これも凄いなぁ。
「お集まりの皆さま、本日後継者候補として承認されましたキーラ様でございます。よろしくお願いいたします」
多分魔法。ヴィアーロさんの声がどこまでも響いて行く。
「さぁ、手を振ってください」
ヴィアーロさんがそう言うので、おそるおそる裾を持っていない方の手を上げて振ってみる。
わぁって悲鳴みたいな歓声が上がって、ちょっとビビる。
「いろんな方向に手を振ってくださいね」
言われた通り右を見て手を振り、左を見て手を振る。
あの奥の方なんて絶対見えてないと思うけど、向いた方の歓声が大きくなるから、なんだか楽しくなってきて必死に手を振った。
「今回は人が多いですね」
「そうなんですか?」
「えぇ、私もこの仕事を長くやっていますが、最近はあまり興味を持つ者がいないようで……こんなに多いのは久しぶりです」
ヴィアーロさんは嬉しそうに人々を見回した。そして、
「そろそろいいでしょう。」
と指を鳴らした。
パンって上空で何かがはじけて、空からオレンジ色の花吹雪が降ってくる。
私もだけど、皆の目が空に向く。
「綺麗……」
「これが終わりの合図です。じゃあ、下に戻りましょうか」
ヴィアーロさんがもう一度指を鳴らすと、足元の魔法陣が光って一瞬で小部屋に戻った。
部屋ではアーサーたちが待っていた。
「これでお披露目は終わりです。お疲れさまでした」
「ありがとうございました」
ヴィアーロさんの言葉にアーサーがほっとしたように頭を下げた。
「アーサー殿、頭を下げることはありません。これは私の仕事ですから。それにこのように大盛況で、久々にこの役目を楽しいと思えました」
「そう言っていただけると、ありがたいです」
「次は、ラーシュ様のところ行かれるのでしょう?」
「はい。ようやく許可がおりましたので」
「そうですか、では早くお連れした方がいい」
ヴィアーロさんはそうアーサーの肩を叩いた。そして私を見て、
「一日も早くラーシュ様が目覚められることを」
と、女の人たちを連れて出て行ってしまった。
「アーサー、ヴィアーロさんも王家の人なの?」
「いいえ、違いますよ。大聖堂の管理人の一人です。さぁ、ラーシュ様に会いに行きましょうか」
アーサーはそう言って手を叩いた。
――――作者より一言―――――
ここまで読んでくださりありがとうございます。
予約設定間違えて遅くなり、すみません……
何故か来年になってた……
明日の更新はお休みします。
次回更新は11月9日になります。
次回もよろしくお願いします。
座っていた人たちが自由に動きだすと、ヴィアーロさんは私を舞台から降ろし、脇にある小部屋へと連れて行った。
「このままバルコニーでお集まりの皆さまにご挨拶をしていただきます」
「バルコニー?」
「はい、こちらにお立ちください」
って指し示されたのは、白い魔法陣。
女の人も付いてきていて、そこに立つと同時にまとめた裾を持たせられる。
「ご不便をおかけします。上は少し狭いので……」
女の人もヴィアーロさんも申し訳なさそう。
私にしてみれば裾を引きずって歩くより、持っている方が楽なんだけどね。
二人入ればいっぱいいっぱいの円の中に私とヴィアーロさんが立つと、ヴィアーロさんが指を鳴らした。
魔法陣が白く光って光が消えると、流石に魔法陣よりは広いバルコニーの上にいた。
バルコニーは大聖堂の細くなった屋根の部分の途中にあって、なんて言うか出入りしないハト時計のハトみたいな感じだ。
目の前に広がる街には、人があふれて歓声を上げている。
下でみた時も凄いと思ったけれど、上からみるとさらに人の多さに驚かされた。
だって、びっしりなんだよ!
ヴィアーロさんがおもむろに片手を上げた。
ぴたりと静まる歓声。これも凄いなぁ。
「お集まりの皆さま、本日後継者候補として承認されましたキーラ様でございます。よろしくお願いいたします」
多分魔法。ヴィアーロさんの声がどこまでも響いて行く。
「さぁ、手を振ってください」
ヴィアーロさんがそう言うので、おそるおそる裾を持っていない方の手を上げて振ってみる。
わぁって悲鳴みたいな歓声が上がって、ちょっとビビる。
「いろんな方向に手を振ってくださいね」
言われた通り右を見て手を振り、左を見て手を振る。
あの奥の方なんて絶対見えてないと思うけど、向いた方の歓声が大きくなるから、なんだか楽しくなってきて必死に手を振った。
「今回は人が多いですね」
「そうなんですか?」
「えぇ、私もこの仕事を長くやっていますが、最近はあまり興味を持つ者がいないようで……こんなに多いのは久しぶりです」
ヴィアーロさんは嬉しそうに人々を見回した。そして、
「そろそろいいでしょう。」
と指を鳴らした。
パンって上空で何かがはじけて、空からオレンジ色の花吹雪が降ってくる。
私もだけど、皆の目が空に向く。
「綺麗……」
「これが終わりの合図です。じゃあ、下に戻りましょうか」
ヴィアーロさんがもう一度指を鳴らすと、足元の魔法陣が光って一瞬で小部屋に戻った。
部屋ではアーサーたちが待っていた。
「これでお披露目は終わりです。お疲れさまでした」
「ありがとうございました」
ヴィアーロさんの言葉にアーサーがほっとしたように頭を下げた。
「アーサー殿、頭を下げることはありません。これは私の仕事ですから。それにこのように大盛況で、久々にこの役目を楽しいと思えました」
「そう言っていただけると、ありがたいです」
「次は、ラーシュ様のところ行かれるのでしょう?」
「はい。ようやく許可がおりましたので」
「そうですか、では早くお連れした方がいい」
ヴィアーロさんはそうアーサーの肩を叩いた。そして私を見て、
「一日も早くラーシュ様が目覚められることを」
と、女の人たちを連れて出て行ってしまった。
「アーサー、ヴィアーロさんも王家の人なの?」
「いいえ、違いますよ。大聖堂の管理人の一人です。さぁ、ラーシュ様に会いに行きましょうか」
アーサーはそう言って手を叩いた。
――――作者より一言―――――
ここまで読んでくださりありがとうございます。
予約設定間違えて遅くなり、すみません……
何故か来年になってた……
明日の更新はお休みします。
次回更新は11月9日になります。
次回もよろしくお願いします。
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