122 / 336
122
しおりを挟む
また、やってしまった。
途中何度かアリーダさんに起こされたのはなんとなく覚えているけど、結局ちゃんと目が覚めたのは真夜中で、時計を見ると次の日になっていた。
流石にもう眠くなくてベッドを出た。
多分アリーダさんがやってくれたんだろう。ピーちゃんのカゴにはカバーがかけられ、テーブルの上にはサンドイッチとポットが用意されていた。
お昼も夜も食べ損ねてしまったからすごくありがたい。
「明りつけたらピーちゃん起きそうだなぁ」
起きたらきっとサンドイッチを狙ってくるだろう。
ふと庭を見ると、いい感じに明るい。
「外で食べるか」
サンドイッチとカップだけ持ってガゼボへ向かう。
――――うん、ちょうどいい。
月を見ながらゆっくりサンドイッチを食べる。
中身は全部味が違うジャムだ。
これはこれでおいしいけど、ここの食事は本当においしい。二食食べられなかったのは本当に残念だ。
「キーラ」
ほぼ食事も終った頃、カークが現れた。
はい、想定の範囲内です。ちょっとびっくりしたけど。
「もう、大丈夫か?」
「うん。ごめん。驚かせて……まだ起きてたの?」
「目が覚めるのを待っていた」
カークは言いながら私の隣に腰をおろす。
「……キーラのところの家令も心配していた」
「あ」
そうだった。今日もアーサーに連絡するんだった。
「大丈夫だった?」
「あぁ、ブレスレットがキーラの魔力じゃなければ駄目なら起こそうと思っていたんだが、誰でもよかったから。ただ、キーラがいなかったからかなり心配された」
それは、重ねがさねすみません。
「それで、外で会う話だが、私やキーラが外とは言え直接会うと、誰かに見られた時面倒だ。それで、リーナについての陳情を利用して、事情を聞くために騎士団へ呼び出すと言う形をとることにした」
「じゃあ、会うのはダリルとデリック?」
「呼び出す場所が騎士団の本部だから、そう言うことになる」
「……大丈夫かな?」
「何がだ?」
「えーっと」
アーサーは二人のこと結構怒ってたけど、アーサーも大人だから、大丈夫……だよね。
「ううん、なんでもない」
「……アルマンから聞いたが、あの家令はカーラが連れてきたのか?」
「連れて来たって言うか、なんでも冒険者仲間だったみたい」
「冒険者……それは聞いたことがなかったな」
少し寂しそうにカークが言った。
大丈夫、キーラも知らなかったから。
「アーサー、結構強いみたいだよ。魔法も使えるみたいだし」
「だろうな」
「分かるの?」
って、愚問でしたね。
「まぁ、ね。……近いうち、直接会ってみたいな」
「……うん」
何か嫌な予感がするけど、とりあえず頷いておこう。
「ところで、キーラ、何で急に治癒魔法を使おうと思ったんだ?」
「それは、使えるはず、だから?」
「そう言えば前も使えると言っていたな」
「うん、前は、確かに使えたんだけど……」
と、首を傾げる。
「なんて言うか使い方を忘れたのかな?」
「……」
「こんな感じかなと思ってやってみたんだけど、魔力の流れを感じたら、いつかみたいに急にぐるぐるして具合が悪くなった」
「そうか」
「何でだろう?」
カークも顔をしかめながら、首を傾げる。
分からないよね。やっぱり。
「なんでだろうな? キーラなら魔法を使えないはずはないと思うんだが」
「カークでも分からないなら、仕方がないね」
「私は魔法は感覚で使っているから……後でケビンに聞いてみよう」
そう言って、カークは私の頭をなでた。
「分かるまで、魔法は禁止。絶対使ったら駄目だ」
途中何度かアリーダさんに起こされたのはなんとなく覚えているけど、結局ちゃんと目が覚めたのは真夜中で、時計を見ると次の日になっていた。
流石にもう眠くなくてベッドを出た。
多分アリーダさんがやってくれたんだろう。ピーちゃんのカゴにはカバーがかけられ、テーブルの上にはサンドイッチとポットが用意されていた。
お昼も夜も食べ損ねてしまったからすごくありがたい。
「明りつけたらピーちゃん起きそうだなぁ」
起きたらきっとサンドイッチを狙ってくるだろう。
ふと庭を見ると、いい感じに明るい。
「外で食べるか」
サンドイッチとカップだけ持ってガゼボへ向かう。
――――うん、ちょうどいい。
月を見ながらゆっくりサンドイッチを食べる。
中身は全部味が違うジャムだ。
これはこれでおいしいけど、ここの食事は本当においしい。二食食べられなかったのは本当に残念だ。
「キーラ」
ほぼ食事も終った頃、カークが現れた。
はい、想定の範囲内です。ちょっとびっくりしたけど。
「もう、大丈夫か?」
「うん。ごめん。驚かせて……まだ起きてたの?」
「目が覚めるのを待っていた」
カークは言いながら私の隣に腰をおろす。
「……キーラのところの家令も心配していた」
「あ」
そうだった。今日もアーサーに連絡するんだった。
「大丈夫だった?」
「あぁ、ブレスレットがキーラの魔力じゃなければ駄目なら起こそうと思っていたんだが、誰でもよかったから。ただ、キーラがいなかったからかなり心配された」
それは、重ねがさねすみません。
「それで、外で会う話だが、私やキーラが外とは言え直接会うと、誰かに見られた時面倒だ。それで、リーナについての陳情を利用して、事情を聞くために騎士団へ呼び出すと言う形をとることにした」
「じゃあ、会うのはダリルとデリック?」
「呼び出す場所が騎士団の本部だから、そう言うことになる」
「……大丈夫かな?」
「何がだ?」
「えーっと」
アーサーは二人のこと結構怒ってたけど、アーサーも大人だから、大丈夫……だよね。
「ううん、なんでもない」
「……アルマンから聞いたが、あの家令はカーラが連れてきたのか?」
「連れて来たって言うか、なんでも冒険者仲間だったみたい」
「冒険者……それは聞いたことがなかったな」
少し寂しそうにカークが言った。
大丈夫、キーラも知らなかったから。
「アーサー、結構強いみたいだよ。魔法も使えるみたいだし」
「だろうな」
「分かるの?」
って、愚問でしたね。
「まぁ、ね。……近いうち、直接会ってみたいな」
「……うん」
何か嫌な予感がするけど、とりあえず頷いておこう。
「ところで、キーラ、何で急に治癒魔法を使おうと思ったんだ?」
「それは、使えるはず、だから?」
「そう言えば前も使えると言っていたな」
「うん、前は、確かに使えたんだけど……」
と、首を傾げる。
「なんて言うか使い方を忘れたのかな?」
「……」
「こんな感じかなと思ってやってみたんだけど、魔力の流れを感じたら、いつかみたいに急にぐるぐるして具合が悪くなった」
「そうか」
「何でだろう?」
カークも顔をしかめながら、首を傾げる。
分からないよね。やっぱり。
「なんでだろうな? キーラなら魔法を使えないはずはないと思うんだが」
「カークでも分からないなら、仕方がないね」
「私は魔法は感覚で使っているから……後でケビンに聞いてみよう」
そう言って、カークは私の頭をなでた。
「分かるまで、魔法は禁止。絶対使ったら駄目だ」
2
お気に入りに追加
298
あなたにおすすめの小説
望んでいないのに転生してしまいました。
ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。
折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。
・・と、思っていたんだけど。
そう上手くはいかないもんだね。
まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)
水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――
乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】!
★★
乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ!
★★
この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
悪役令嬢だと気づいたので、破滅エンドの回避に入りたいと思います!
飛鳥井 真理
恋愛
入園式初日に、この世界が乙女ゲームであることに気づいてしまったカーティス公爵家のヴィヴィアン。ヒロインが成り上がる為の踏み台にされる悪役令嬢ポジなんて冗談ではありません。早速、回避させていただきます!
※ストックが無くなりましたので、不定期更新になります。
※連載中も随時、加筆・修正をしていきますが、よろしくお願い致します。
※ カクヨム様にも、ほぼ同時掲載しております。
乙女ゲームに転生した世界でメイドやってます!毎日大変ですが、瓶底メガネ片手に邁進します!
美月一乃
恋愛
前世で大好きなゲームの世界?に転生した自分の立ち位置はモブ!
でも、自分の人生満喫をと仕事を初めたら
偶然にも大好きなライバルキャラに仕えていますが、毎日がちょっと、いえすっごい大変です!
瓶底メガネと縄を片手に、メイド服で邁進してます。
「ちがいますよ、これは邁進してちゃダメな奴なのにー」
と思いながら
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
私はモブのはず
シュミー
恋愛
私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。
けど
モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。
モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。
私はモブじゃなかったっけ?
R-15は保険です。
ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。
注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる