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「次は、学園だな」
私の追求を無視して、カークがそう言った。
そうだ、学園だ。それもあるんだった。
「契約が発動すると、リーナは学園に通い続けられないんだよね」
「基本はそうなるな」
「それで終わりにならないかな?」
「終わり?」
「予言の終わり」
「キーラも予言を知っているのか?」
カークが眉を寄せた。
あれ、言ったことなかったっけ? そう言えば。
「隠していたわけじゃない、よ」
「キーラも異世界転生者だ。知っていてもおかしくはないな。で、どこまで知っているんだ?」
うーん、どこまで知っているんだろう。
前世の私の記憶は、多分パンフレットとCM、後は親友の話だ。
こっちで目覚めた時、流れ込んできた内容はそれよりずっと多いけど、多分ゲームをやりこまないと分からないようなものは分からない。そして、全体的にまだらな感じだ。
「予言って、どんな感じなのか聞いてもいいの?」
「あぁ、でもいつか話した通りだ。私たちとリーナが学園で出会い、リーナが“聖女”の力に目覚め、キーラを倒す。細かい部分もあるが、大まかな部分はこんな感じだ。」
「細かい部分って?」
「私やデリックたちとリーナが初めて会う場所とか、どんな話をするかとか、キーラがリーナにするいやがらせとか。凄く細かいものも多い」
やっぱりゲームをやったことがある人がいたんだ。
でも時系列がおかしくない? 私より先にこの世界に生まれた人がどうしてゲームのことを知っていたんだろう?
「多分、カークが知っていることと同じくらいしか知らないと思う。大筋は分かってる感じかな」
あとは初期設定か。
「大筋?」
「私にとってカークの言う予言は、演劇みたいなもので、舞台は学園。リーナが主人公で、私が敵役。私は内容を全部は見ていないけど、その話がどう進んでどう終わるかは知ってる。でも多分、カークが知っているよりは知らないと思う」
「……」
あぁ、カークの視線が痛い。
「キーラは、リーナがいなくなれば予言も終わると思うのか?」
「だって、フラグ……えーっと、物語ではデリックが私を殴った時、本当は私が悪役になって、リーナが聖女になる筈だった」
「キーラはどうして悪役になるんだ?」
「それは分からないけど、物語ではそうだった。でもそれが無くなったから、リーナは聖女になれなかったし、私も、今のところ何の力もない。もう物語の本筋からは外れてる。リーナが主人公の話だから、リーナがいなくなれば、お話は終わるんじゃないかなって」
この世界に聖なる力も、闇の力もないって言われているから、ゲーム仕様上での話ならリーナも私も覚醒しなければもう話は進まない。
他に新しい要素が出てくるなら、それはゲームじゃなくなる。
そうなればもう私には分からない。
「カークはどう思うの?」
「確かに、リーナがこの国からいなくなれば、問題は無くなると思う」
カークは何か考えるように腕を組む。
「でも、このまま何もなく終わるとは思えない。あの女が何を狙っているのか分からないが、簡単には諦めない気がする」
「諦めない?」
「それに、何も分からないまま終わらせたくない」
私は終わらせたい。
分からなくていいです。
そう思って顔をしかめる。
「キーラは、知りたくないか」
「知りたくないと言うか、もう係わりたくない。リーナのせいで散々な目に合っているし」
リーナだけじゃない、カークにもデリックもに、フランクにもだ。
もう、普通の生活がしたい。っていうか、普通の生活がいい。
「そうだな」
フッて鼻で笑われた。
何かムカつく笑い方だ。
「これからはそうならないように、ちゃんと守るから」
いや、今までが今までだから、守られる気がしないのは何故だろう?
――――作者より一言―――――
ここまで読んでくださりありがとうございます。
明日の更新はお休みします。
次回更新は8月9日になります。
次回もよろしくお願いします。
私の追求を無視して、カークがそう言った。
そうだ、学園だ。それもあるんだった。
「契約が発動すると、リーナは学園に通い続けられないんだよね」
「基本はそうなるな」
「それで終わりにならないかな?」
「終わり?」
「予言の終わり」
「キーラも予言を知っているのか?」
カークが眉を寄せた。
あれ、言ったことなかったっけ? そう言えば。
「隠していたわけじゃない、よ」
「キーラも異世界転生者だ。知っていてもおかしくはないな。で、どこまで知っているんだ?」
うーん、どこまで知っているんだろう。
前世の私の記憶は、多分パンフレットとCM、後は親友の話だ。
こっちで目覚めた時、流れ込んできた内容はそれよりずっと多いけど、多分ゲームをやりこまないと分からないようなものは分からない。そして、全体的にまだらな感じだ。
「予言って、どんな感じなのか聞いてもいいの?」
「あぁ、でもいつか話した通りだ。私たちとリーナが学園で出会い、リーナが“聖女”の力に目覚め、キーラを倒す。細かい部分もあるが、大まかな部分はこんな感じだ。」
「細かい部分って?」
「私やデリックたちとリーナが初めて会う場所とか、どんな話をするかとか、キーラがリーナにするいやがらせとか。凄く細かいものも多い」
やっぱりゲームをやったことがある人がいたんだ。
でも時系列がおかしくない? 私より先にこの世界に生まれた人がどうしてゲームのことを知っていたんだろう?
「多分、カークが知っていることと同じくらいしか知らないと思う。大筋は分かってる感じかな」
あとは初期設定か。
「大筋?」
「私にとってカークの言う予言は、演劇みたいなもので、舞台は学園。リーナが主人公で、私が敵役。私は内容を全部は見ていないけど、その話がどう進んでどう終わるかは知ってる。でも多分、カークが知っているよりは知らないと思う」
「……」
あぁ、カークの視線が痛い。
「キーラは、リーナがいなくなれば予言も終わると思うのか?」
「だって、フラグ……えーっと、物語ではデリックが私を殴った時、本当は私が悪役になって、リーナが聖女になる筈だった」
「キーラはどうして悪役になるんだ?」
「それは分からないけど、物語ではそうだった。でもそれが無くなったから、リーナは聖女になれなかったし、私も、今のところ何の力もない。もう物語の本筋からは外れてる。リーナが主人公の話だから、リーナがいなくなれば、お話は終わるんじゃないかなって」
この世界に聖なる力も、闇の力もないって言われているから、ゲーム仕様上での話ならリーナも私も覚醒しなければもう話は進まない。
他に新しい要素が出てくるなら、それはゲームじゃなくなる。
そうなればもう私には分からない。
「カークはどう思うの?」
「確かに、リーナがこの国からいなくなれば、問題は無くなると思う」
カークは何か考えるように腕を組む。
「でも、このまま何もなく終わるとは思えない。あの女が何を狙っているのか分からないが、簡単には諦めない気がする」
「諦めない?」
「それに、何も分からないまま終わらせたくない」
私は終わらせたい。
分からなくていいです。
そう思って顔をしかめる。
「キーラは、知りたくないか」
「知りたくないと言うか、もう係わりたくない。リーナのせいで散々な目に合っているし」
リーナだけじゃない、カークにもデリックもに、フランクにもだ。
もう、普通の生活がしたい。っていうか、普通の生活がいい。
「そうだな」
フッて鼻で笑われた。
何かムカつく笑い方だ。
「これからはそうならないように、ちゃんと守るから」
いや、今までが今までだから、守られる気がしないのは何故だろう?
――――作者より一言―――――
ここまで読んでくださりありがとうございます。
明日の更新はお休みします。
次回更新は8月9日になります。
次回もよろしくお願いします。
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