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06.侍女が、つきましたわ……
しおりを挟むお茶会からさらに一年が過ぎて、私は、今九歳よ。
お茶会は、私の周りを少しだけにぎやかにしたわ。
まず、専属の侍女がついたの。
お茶会のせいで、私を見つけられなかったこと、クローゼットが空だったこと、そして私の面倒を片手間にしていたことがお父様の知るところになってしまったことが原因。
九歳にもなって父の膝に抱かれて、執事と侍女長の言い訳を聞かされて……
何でも、妹は早産だったせいで、少し病弱なのですって。その上、愛し子様でしょう?
もしものことがあってはいけないと。家人総出でお世話をしていて、私のことはすっかり忘れていたそうよ。
頭を下げる彼らを前に、それは私の認識疎外と精霊たちの意地悪のせいです、とは流石に言えなかった。
お父様はすぐに私に侍女をつけるよう侍女長に言ったわ。
でも、家にいる者はみな妹を愛しているから、誰も私の侍女になりたがらなかったの。
私が嫌いなわけではなく、妹から離れたくないそうよ。
分かります。
妹はとてもかわいらしいし、見ているだけで幸せになれるもの。
そして、妹に優しくすると精霊たちからご褒美があるのよね。
それを聞いて私は、侍女はいらないと申し上げたわ。
もう手とり足とりお世話をしてもらうほど子供ではないし、魔法もかなり使えたから、ずっと一人で何でもしてきたでしょう?
今更プライバシーを侵害されたり、パーソナルスペースを脅かすようなお手伝いは、ご遠慮したい、と言うことを遠まわしに。
ですが、兄には執事と侍女が、妹にも侍女が専属で何人も付いてるんですって。
だから私にもつけないわけにはいかない、と言うのよ。
それに、親らしい事をしたい、そうよ。
今までこれだけ放置していたくせに、今更何を言っているのかと思ったわ。私に悪いと思うなら私の言う事を聞いてくれる方がずっといい。子の望みをかなえるのも、親だと思うけど。
でもまぁ、そんな風に言いながらも、結局一ヶ月も決まらなくて、最終的には新しい人を雇うことにしたらしいわ。
で、その話を聞いてから、さらに三ヶ月。
ようやく決まった侍女は……。
「お嬢様、これはどうしたらいいんですかぁ?」
「お嬢様、お茶ってどうやって入れたらいいんですかぁ?」
「お嬢様、すみません。壊しちゃいましたぁ」
きっと、精霊たちがまた意地悪をしたのでしょうね。
推測だけど、紹介状の入れ替え辺りが有力よ。
人は悪くないんだけど、まともに相手をするのは大変。
だから私、少し反省したの。
認識疎外のレベルを上げ過ぎてはいけない、と。
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