テストで赤点取ったら、地味系女子と恋愛が始まったんだけど

夏の出会い

赤点取りました

　テストで赤点を取った……。

　しかも３つ。

　高校の一大イベントである夏休みのかかった大事な一学期末テスト。そこであろうことか、僕は人生の最低記録更新の合計１７８点をたたき出しまうとは。

　点数の内訳はというと……国語５８点、数学３０点（赤点）、社会５０点、英語３２点（赤点）、理科に関しては一桁の８点（赤点）という目も当てられない点数。元々、勉強嫌いではあったが、いくら何でもこれはひどい。

　そんな５分の２以下となる点数により、僕の高校一年初となる夏休みは虚と化したわけだが。

　もちろん悪いのは僕自身。
　勉強しなければいけない状況でゲームを切り上げられず、大切な勉強時間を無駄にしてしまった。

　クラス唯一の赤点３冠保持者&補習決定者という負の名誉を獲得した僕は、なじみ始めたクラスの連中にバカにされるわ、親には侮蔑ぶべつの言葉を浴びせられるわ、クラスのマドンナである成海なるみさんにも笑われるわ……本当に救いがない。

　チクショウ、僕は最低だ。なんでこんなに馬鹿なんだ。いや、少し待て。そう悲観するのはいささか早計かもしれない。そんなに僕が悪いのか？

　一人の善良な高校生が夏休みを失う……それは、いうなれば日本のゲーム企業が面白いゲームを排出しすぎたが故の反動ではないのか。今年は色んな人気ゲームの新作が目白押しの豊作年。世界最大の動画共有サイトでは、いろんな実況者がいち早く実況プレイなんてしているし。そんな状況にあれば、寝る間を惜しんでプレイするのがゲーマーの性さがじゃないか。
　それに、携帯アプリゲームも悪いぞ。あちこち好きなアニメとコラボしやがって。推しのキャラとか、達成報酬が欲しくなるじゃんか。

　どう考えたって、誘惑が多すぎるのが悪い！

　なんて、まぁ……ぶつくさぼやいたところで、追い込まれた状況が変わるわけでもなし。
　明日から娯楽はすべて没収なうえに、長い、長～い補習も始まってしまう。これに夏休みのほとんどを持っていかれる、正に青春の墓場ともいえる状況。
　なんたる拷問……地獄道、餓鬼道、畜生道、六道輪廻の三悪道を巡る旅。

　かの有名な哲学者フロイトはおっしゃったのだ。「神は死んだ」と。
　え、ちがう？　誰だっけ？

　ははは、行きはよいよい、帰りもよいよい。
　同じ馬鹿ならわめかなゃ損損。
　
　はいはい、僕の頭はめでたいよっと。