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最終章 打倒! 四天王

第234話 ゼビルの最後

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 シャロルばかりを狙うゼビルに対して、キーファーは怒りを爆発させて、巨大なシャチ、スプラッシュを召喚した。

 そのシャチは滝のような水を放出させる。

 ゼビルは、男の子を呼び出し、強風で水に対抗しようとした。

 しかし、一歩遅かった。

 召喚する寸前に、滝のような水がゼビルを流し込んだ。

「くっそ……!!」

 ゼビルは滝のような水に飲まれ、何もできない。

 滝のような水が消えた時には、膝をついて血を吐き出していた。

「……おかしい……何故なんだ!? こんな力、残っているはずが……」

 ゼビルは、キーファーを睨みながら、言い訳をしていた。

「そんなに自分を認めたくないのか?」

 キーファーは呆れた。

「ふざけんな! 俺は一番強い!! 誰よりも強いんだよ!! そう、世界一強い! だから負けるわけないんだよ!!」

 ゼビルは、よろよろしながらも大剣を振って、キーファーのお腹を斬ろうとしている。

「往生際が悪いな」

 キーファーは大剣で素早くお腹を守る。

 キーン

 剣が重なり合う音が鳴り響く。

「俺は絶対に勝つ! 絶対に負けない!!」

 ゼビルは、大剣では無理だと感じて、男の子を召喚する。

 剣での勝負がダメなら、召喚魔法を頼りにしようと考えた。

 召喚された男の子は、キーファーに向けて突風を起こしていく。

 その突風は、キーファーの大きな身体でも耐え切れなくて、豆粒にしか見えないくらいまで吹き飛ばされた。

 そして、高く上がったキーファーの身体は、そのまま、スピードに乗って落下していく。

「キーファー!」

 シャロルは、本来ならば負傷して動けない状態だ。

 それでも、キーファーを心配して、ゆっくりとした動作でキーファーのほうへと向かう。

 その瞬間をゼビルが見逃すはずがない。

 ゼビルは、シャロルの腕を掴む。

 ゼビルの大剣が、シャロルに突き刺さろうとしている。

「ハヤテ!!」

 シャロルは、大剣が刺さる寸前に、ハヤテという鷹を召喚した。

 ハヤテは強風で竜巻を起こし、ゼビルを巻き込んだ。

「なんでだ……!! ふざけん……な……!!」

 ゼビルはうつ伏せに倒れたまま、まだ、何か仕掛けようとしている。

「ふざけてるのはあなたでしょう! あなたは一番大切なものが何かもわかってない!!」

 シャロルは怒鳴った。

 シャロルにしては珍しい。

 シャロルの怒鳴ったところをあまり見たことがないキーファーは、恐ろしさを感じた。

「一番大切なもの……? そんなのは強くなって一番上に立つ!」

 ゼビルはそう言うと、勢いよく立ち上がって、シャロルに大剣を振り下ろす。

 キーファーは、先ほど、ゼビルの召喚魔法でのダメージが大きかったが、なんとか反応して、シャロルを抱きしめて、大剣から逃れた。

「……ありがとう、キーファーは大丈夫なの?」

 シャロルは心配そうに、キーファーの顔を覗き込む。

「あぁ、大丈夫だよ」

 キーファーはニヤッと笑ってみせる。

 シャロルとキーファーのやりとりを見て、ゼビルは苛立った。

「なんなんだよ!! おまえらを見てるとイライラするんだよ! そんなに心配なのかよ!!」

 ゼビルは、キーファーとシャロルに大剣を振るう。

 ところが、ゼビルには、攻撃する力も残っていなかった。

 大剣は地面を斬った。

「……俺は弱かったのか……!! そんなはずじゃ……それなら、死んだほうが良い」

 ゼビルは拳を握り締めた。

「あなたは強さと権力が一番大切だと思っている。でも違う! 本当に大切なのは、思いやる気持ちなのよ。あなたは思いやる気持ちが足りなかった」

 シャロルが口を開く。

「うるさいっ! 力がなければ、やられるだけなんだよ! この世の中は弱肉強食だからな!」

 ゼビルは大剣で、自らの首を斬った。

「やめろ!!」

 キーファーが止めに入ろうとしたが、すでに遅し。

 ゼビルは大量出血して、そのまま帰らぬ人となった。

「なんで、そんな考え方しかできないんだよ! やり直すことはいくらでもできただろ!! たとえ、造られた人間だとしても、与えられた命を無駄にしていいわけないだろ!!!!」

 キーファーは、ゼビルを助けられなかったことが悔しくて、涙が出てきた。

「キーファー……」

 シャロルは、キーファーと同じ気持ちだった。

 悔しい。

 何故、ゼビルを助けることができなかったのか。

 キーファーを抱きしめながら、自問自答した。
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