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14章 召喚魔法の習得

第217話 気持ちの推測

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 セルティスたちは、体力づくりのために、ジョギングをしたり、筋トレをしながら、召喚魔法を使ってもバテない体づくりをしていた。

「もう、ムリー!!」

 と、叫んでいるのはジュン。

 本当にトレーニングが嫌いらしい。

「わかった、じゃあ、少し休憩だ」

 ジュンに付き合っているヴィンセントも、むやみにやらせようとしない。

 ジュンがやる気になるまで、ひたすら待つ。

「えっ……? いや、まだやるよっ!」

 ジュンは自分を奮い立たせて、トレーニングに励んでいる。

 シャロルは、そんなジュンの姿を見て、クスクスと笑っている。

「なんか、ヴィンセント、ジュンの扱い方が上手ね」
「確かに……」

 何気なくシャロルの言葉を聞いていた、キーファーも納得している。

「負けず嫌いだからね、ジュンも。無理って言っても、休憩と言われれば、まだ、やれる! って、またやる気になるのよね」

「ヴィンセントが、あんなにジュンのために付き合うのもびっくりだけどな」

 キーファーとシャロルは、時々、仲間のトレーニングの様子を見て、話しながら、トレーニングしている。

 何日くらいトレーニングをしていたか。

 召喚魔法を使っても、バテなくなってきた。

 この日のトレーニングは終了。

 休みながら、セルティスは疑問に思ったことを口にする。

「四天王に対して、本物の召喚魔法を使うに値しないと英雄たちが拒んだ。だから、自分たちで召喚魔法を作ろうとしているんだよな。本物の召喚よりも強力な召喚って作れるのか?」

 ミラトはセルティスの疑問に、少し考えた。

「どうなのかしら。でも、今、技術は発展している。作ろうと思えば、作れるかもしれないわ」

 ホークは珍しく怒っているようだ。

 こぶしを握り締めている。

「でもさ、四天王も、こそこそしていないで、堂々と勝負しろっての!」

 ごもっとも。ホークの言うように、こちらの動きを見ているかもしれない。

 しかし、目の前に現れたことは一度もないのだ。

 セルティスは、ホークの言葉に納得しつつも、四天王に対する推測をした。

「四天王は誰よりも強くなりたい。だから、わざわざ、召喚魔法も自分たちで作りたがる。だけど、それは恐怖心の裏返しだと思う」

「恐怖心?」

 聞き返したのは、レビーだ。

「そう、うまく言えないけれど、強くいることで、恐怖をかき消そうとしているというか。何に恐怖を感じているかはわからないけど。あたしたちだって、強くなれば、恐怖心がなくなるときがある」

「確かにそうだけど……」

 そこにジュンが加わる。

「まぁ、セルティスの言うこともわかる気がする。相変わらず、セルティスは優しいね」

 シャロルは、セルティスの背中をポンっと叩いた。

「優しいところはセルティスの良いところよね」

「ありがとう」

 セルティスは、笑みを浮かべた。

 でも、すぐに真顔に戻る。

「きっと、四天王は、権力というか、力でかき消そうとしているから、本当の意味で恐怖心は消えないと思う」

 ホークは、セルティスの頭をポンポンと軽く叩く。

「強くなったな、セルティスは」

 強くなったと認められたことは、素直に嬉しい。

 しかし、子供っぽい扱いに、セルティスはムッとする。

「もう、それ、子供みたいだから、やめろって」

「可愛い」

 子供のように頬を膨らませるセルティスに、ホークは悪戯な笑みを浮かべた。

 レビーは、セルティスとホークのやりとりに、なんだか温かい気持ちになった。

「変わってないな、あの2人。どっちとも子供なんだよなぁ」

 レビーの何気なく言った言葉。

しっかりと聞いていたホークとセルティスは、同時に答えた。

「子供じゃない」

「子供じゃない」

 レビーはニヤリと笑った。

「気が合うねぇ」

 束の間のひと時を過ごしているセルティスたちは、この時間を大切にしつつも、改めて四天王を止める覚悟をしたのだった。
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