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12章 離島 ダリ島
第200話 優しさと癒し
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セルティスは、シャロル、キーファーの過去を知り、改めて決意した。
四天王をなんとしても止める。
過去の話を聞き、悲しみや怒り、辛さなど、それぞれ噛み締めながら、再び、進んでいく。
犠牲になった街の人々、街の兵士、騎士、戦士、そして、犠牲になった仲間たちの想いを乗せて。
ロボット型モンスターを倒してから、歩いて数十分経った。
地面には、兵士、騎士、戦士の死体が転がっている。
セルティスは死体を発見する度に、優しく死体に触れて、感謝の気持ちを述べた。
「いつも、街や島を命懸けで守ってくれて、ありがとうございます。必ず、私が止めます。そして、こんな残酷な世界を終わらせます」
本当なら、セルティスも死体を見ると、目を背けたくなるし、逃げたくもなる。
それでも、国が、世界が平和になって、穏やかで安心して暮らせるように、四天王を止める。
その覚悟を持って、怖くても戦おうとしている。
セルティスに倣って、ホーク、キーファー、ヴィンセント、ジュン、シャロルも死体に寄り添って、感謝して、必ず四天王を止めると誓った。
ジュンは、死体に触れて誓いと感謝をしてから、スッと立ち上がる。
「セルティスは凄いね。戦った相手にも優しくできるし、気持ちに寄り添うこともできる。あたしなら、多分できないな」
ボソッと呟く。
できないと言いつつも、セルティスのように優しくできたら良いなと思う。
ジュンがセルティスの優しさに感心していると、甲高い叫び声が聞こえてきた。
「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!」
何事かと声のする方へ視線を向ける。
そこには、ホークの背中にピッタリとくっつき、隠れているセルティスがいた。
ホーク、キーファー、ヴィンセント、シャロル、ジュンは呆気にとられていた。
「でたぁぁぁー!!!!!!!!」
セルティスは、ホークにしがみついている。
もう、お決まりのようにホークは、軽々と持ち上げた。
「バッタだよ、これ。バッタならかわいいじゃん」
セルティスは、軽々とバッタを手に取るホークに、呆然とした。
「……ごめんなさい。悪気はないんだよ。でも、どうしても苦手で。ちゃんと生きてね」
バッタを見ながら、バッタに謝る。
シャロルが、セルティスの行動に驚愕している。
苦手だとはいえ、昆虫にも優しいとは。
「苦手な昆虫にも優しいなんて恐れ入ったわ」
思わず、口にする。
セルティスの優しさに驚いたのは、シャロルだけではない。
ジュンは昆虫にも優しくしているところを見ると、自分にはそこまで優しくできないと思ってしまう。
ヴィンセントも思わず口走った。
「あそこまで優しいとは思わなかったな」
セルティスの優しい面を見た、ヴィンセントは心が穏やかになるのを感じた。
キーファーは、ヴィンセントの言葉に頷いている。
「セルティスの優しさは、セルティスにしかない優しさだよな」
セルティスの優しい気持ちが、キーファーを笑顔にした。
束の間のホッとする瞬間だ。
ホークは、セルティスに笑顔を向けると、バッタを逃してやった。
「幸運だな、君は」
逃したバッタを見ながら呟く。
「セルティスの優しさに触れたから、きっと、あのバッタも幸せだな」
セルティスは、バッタがいなくなっても呆然としている。
ホークの言葉が気になる。
「どういう意味?」
セルティスが聞く。
ホークはニヤリと笑う。
「セルティスは気が付いていないと思うけど、俺ら、皆、セルティスの優しさに助けられてるんだぜ」
セルティスは、ホークの言ったことに疑問を持った。
その理由は、自分が何もしていないのに助けられていると言われても、しっくりこなかった。
ジュンは、ホークの言っていることに頷いている。
「セルティスの優しさは、どんなに辛いことも弱さも強さも全て、包み込む。だから、心が温まって、心の傷が癒されるんだ」
「そうね。その優しさは、皆を癒してくれる。だから、その優しさを忘れないで。それと、私たちがいるから、セルティスも自分が辛くなったら言うのよ?」
シャロルは、ジュンの言う通りだなと納得して、付け加える。
セルティスは、ジュンとシャロルの言葉に目をパチクリさせている。
「えっ?」
セルティスの様子に静かに答える。
「セルティスが皆のこと心配しているように、セルティスのことも皆、心配してるってことだ」
キーファーがうんうんと頷いている。
「そうだな、特にホークは、かなり心配してるよなぁ」
悪戯するときの笑みで、ホークを見る。
ホークは、キーファーを横目で睨んでいる。
「なんだよ、その悪戯っぽい笑みは」
キーファーは、さぁなと合図をしながらも、何故か笑っている。
セルティスは感謝の気持ちでいっぱいだった。
最高の仲間たちだ。
何度、助けられたことか。
改めて、セルティスは、この仲間たちと一緒にどんなことも乗り越えていこうと強く思った。
四天王をなんとしても止める。
過去の話を聞き、悲しみや怒り、辛さなど、それぞれ噛み締めながら、再び、進んでいく。
犠牲になった街の人々、街の兵士、騎士、戦士、そして、犠牲になった仲間たちの想いを乗せて。
ロボット型モンスターを倒してから、歩いて数十分経った。
地面には、兵士、騎士、戦士の死体が転がっている。
セルティスは死体を発見する度に、優しく死体に触れて、感謝の気持ちを述べた。
「いつも、街や島を命懸けで守ってくれて、ありがとうございます。必ず、私が止めます。そして、こんな残酷な世界を終わらせます」
本当なら、セルティスも死体を見ると、目を背けたくなるし、逃げたくもなる。
それでも、国が、世界が平和になって、穏やかで安心して暮らせるように、四天王を止める。
その覚悟を持って、怖くても戦おうとしている。
セルティスに倣って、ホーク、キーファー、ヴィンセント、ジュン、シャロルも死体に寄り添って、感謝して、必ず四天王を止めると誓った。
ジュンは、死体に触れて誓いと感謝をしてから、スッと立ち上がる。
「セルティスは凄いね。戦った相手にも優しくできるし、気持ちに寄り添うこともできる。あたしなら、多分できないな」
ボソッと呟く。
できないと言いつつも、セルティスのように優しくできたら良いなと思う。
ジュンがセルティスの優しさに感心していると、甲高い叫び声が聞こえてきた。
「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!」
何事かと声のする方へ視線を向ける。
そこには、ホークの背中にピッタリとくっつき、隠れているセルティスがいた。
ホーク、キーファー、ヴィンセント、シャロル、ジュンは呆気にとられていた。
「でたぁぁぁー!!!!!!!!」
セルティスは、ホークにしがみついている。
もう、お決まりのようにホークは、軽々と持ち上げた。
「バッタだよ、これ。バッタならかわいいじゃん」
セルティスは、軽々とバッタを手に取るホークに、呆然とした。
「……ごめんなさい。悪気はないんだよ。でも、どうしても苦手で。ちゃんと生きてね」
バッタを見ながら、バッタに謝る。
シャロルが、セルティスの行動に驚愕している。
苦手だとはいえ、昆虫にも優しいとは。
「苦手な昆虫にも優しいなんて恐れ入ったわ」
思わず、口にする。
セルティスの優しさに驚いたのは、シャロルだけではない。
ジュンは昆虫にも優しくしているところを見ると、自分にはそこまで優しくできないと思ってしまう。
ヴィンセントも思わず口走った。
「あそこまで優しいとは思わなかったな」
セルティスの優しい面を見た、ヴィンセントは心が穏やかになるのを感じた。
キーファーは、ヴィンセントの言葉に頷いている。
「セルティスの優しさは、セルティスにしかない優しさだよな」
セルティスの優しい気持ちが、キーファーを笑顔にした。
束の間のホッとする瞬間だ。
ホークは、セルティスに笑顔を向けると、バッタを逃してやった。
「幸運だな、君は」
逃したバッタを見ながら呟く。
「セルティスの優しさに触れたから、きっと、あのバッタも幸せだな」
セルティスは、バッタがいなくなっても呆然としている。
ホークの言葉が気になる。
「どういう意味?」
セルティスが聞く。
ホークはニヤリと笑う。
「セルティスは気が付いていないと思うけど、俺ら、皆、セルティスの優しさに助けられてるんだぜ」
セルティスは、ホークの言ったことに疑問を持った。
その理由は、自分が何もしていないのに助けられていると言われても、しっくりこなかった。
ジュンは、ホークの言っていることに頷いている。
「セルティスの優しさは、どんなに辛いことも弱さも強さも全て、包み込む。だから、心が温まって、心の傷が癒されるんだ」
「そうね。その優しさは、皆を癒してくれる。だから、その優しさを忘れないで。それと、私たちがいるから、セルティスも自分が辛くなったら言うのよ?」
シャロルは、ジュンの言う通りだなと納得して、付け加える。
セルティスは、ジュンとシャロルの言葉に目をパチクリさせている。
「えっ?」
セルティスの様子に静かに答える。
「セルティスが皆のこと心配しているように、セルティスのことも皆、心配してるってことだ」
キーファーがうんうんと頷いている。
「そうだな、特にホークは、かなり心配してるよなぁ」
悪戯するときの笑みで、ホークを見る。
ホークは、キーファーを横目で睨んでいる。
「なんだよ、その悪戯っぽい笑みは」
キーファーは、さぁなと合図をしながらも、何故か笑っている。
セルティスは感謝の気持ちでいっぱいだった。
最高の仲間たちだ。
何度、助けられたことか。
改めて、セルティスは、この仲間たちと一緒にどんなことも乗り越えていこうと強く思った。
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