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12章 離島 ダリ島

第186話 ガイナー港に行こう!

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 セルティスたちは、ジュンとシャロルも加わり、新たに四天王を止めるために歩み出す。

 ノワール王国の騎士たちに挨拶をし、ノワール王国を後にしようとしたとき、シャロルの元に、1匹の黒猫がやってきた。

 そして、肩に乗ると話しかける。

「わかったわ。ありがとう」

 シャロルと黒猫とのやりとりを、セルティスたちは不思議そうに見ている。  

 ジュンを除いては。

 シャロルは、不思議そうにしているセルティスたちに説明する。

「ごめんなさい。この子は、ピピっていうの。簡単にいうと、スパイのような役割をしてくれるわ。ほら、ピピ、挨拶して」

 シャロルに言われた、黒猫のピピは、首を縦に振って、まるでお辞儀をしているかのように振舞った。

「私、ピピ。よろしくね」

 シャロルは、ピピの頭を優しくなでながら、えらいねと褒める。

「何かあったとき、これから、この子が教えてくれるわ」

 ピピを見て、セルティスは、早速、何かがあったのだと察した。

「何かあったのか?」

 すると、ピピが答えた。

「この先にある、離島、ダリ島が血の海に染まっている。今、ダリ島が四天王の手下の支配下にあることは間違いないと思う。罪のない人々も命を落としている。ダリ島には騎士や戦士がいない。だから、このままだと被害が大きくなる」

 ジュンが口をはさむ。

「ダリ島……? 聞いたことはあるけれど……」

 ピピは、どこからか地図を持ってきたのか、ダリ島を指さした。

 セルティスたちは、地図を覗き込んだ。

「遠いな……」

 キーファーがボソッと呟くと、ホークが続いた。

「これだと……船が必要か……」

「船か……」

 セルティスは、ため息をつく。船酔いするので、迷惑をかけてしまう。

 セルティスの気持ちを察したか、ホークは、セルティスの肩をポンッと叩く。

「まぁ、調子悪かったら寝てていい」

 キーファーとヴィンセントも、セルティスが船酔いすることを知っているので納得する。

「酔い止めも準備しておかないとな」

 ジュンは話を聞いていて、驚愕した顔をした。

「船酔いするの?」

 ジュンの問いに頷くセルティス。

 基本的に乗り物酔いしない。

 だが、船だけはダメなのだ。

 申し訳なさそうにしていると、フワッと何かが飛んでくる。

 窓からシャロルの家に入り込んだらしいその何かは、セルティスの目の前を飛び回る。

「きゃっ!」

 セルティスが甲高い声を上げる。

 セルティスの目の前を飛んでいたのは、セミだった。

 もう、こんな時季なのかと思ったが、それどころではない。

 ホークの背中に隠れて密着している。

「ん?」

 ホークの服にセミが止まった。

「セミか」

 ホークは思わず吹き出した。

「相変わらず、昆虫嫌いなんだな」

 ホークはセミを逃してやる。

 シャロルとジュンは目を丸くしつつも、何故か笑ってしまった。

「可愛いところあるんだね」

 ジュンは呟いた。

 セルティスは、あまりの恥ずかしさに、ホークの影に隠れたままだった。

「で、船はどうする?」

 キーファーが話を戻す。

「ガイナーという港があるわ。1時間くらいかかるけど。そこで船を借りられるかも」

 シャロルが答える。

「じゃ、まずは港へ向かおう」

 キーファーが言うと、セルティスたちは頷いた。

 ジュンは、シャロルとキーファーのやりとりで何かを感じ取った。

(あの2人、気が合うような……)

 シャロルは、キーファーと話しているときに楽しそうにしている。

 シャロルは、ジュンに視線を向けた。

「どうしたの?」

「いや、なんでもないよ。ガイナー港に行こう」

 ジュンは笑顔を向けて、シャロルに声をかけた。






 こうして、セルティスたちはガイナー港に行くことにした。
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