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10章 極寒の町 コールドクール

第144話 セルティスのリーダーシップ

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 ホークはダガーで次々とモンスターを倒していく。

 だが、モンスターは倒れてもすぐに起き上がってきた。

「雑魚じゃないってことか」

 ダガーでモンスターの攻撃を防ぎながら、蹴りを入いれていく。

 モンスターは、ホークに大きなダメージを与えられているが、何もなかったかのように起き上がる。

「平然としてやがる」

 モンスターは、鋭い牙でホークに嚙みつこうとしていた。

 ホークは動きを読み、咄嗟に横へと転がった。

 転がった先には、もう1匹のモンスターがホークの肩に噛みつく。

「しまった」

 躱す準備もできなかったホークは、牙で肩をおもいっきり噛まれ、血が流れ出る。

 手で肩を押さえながら、モンスターの動きを探る。

 レビーはモンスターに対して、パンチを繰り出していた。

 モンスターの身体は硬い。

 パンチでは全く通用しなかった。

 ならばとパンチをしながら、光を放ち、その光で拳がモンスターの身体を貫通した。

 それでも、レビーにパンチをくらったモンスターは何もなかったかのように起き上がっている。

 キーファーは、モンスターにラプターソード2本を突き刺しながら、ホークとレビーの様子を見た。

 この調子だと、目の前にいるモンスターもすぐに立ち上がってくる。

 辺りを見回しながら、目の前にやってくるモンスターが体当たりしてくるのをラプターソードで受け止めた。

 ヴィンセントはブラッドソードで、雷を起こして斬っていく。

 雷が落ちて、モンスターの体の中で電気が走り大暴れしていたが、これは一時的なものだった。

 すぐに立ち上がって、攻撃を受けていないかのようにヴィンセントに向かっていった。

 あまりの素早い突進にヴィンセントは、勢いよく押し倒される。

 セルティスは、向かってくるモンスターを、ラグナロクで受け止めたり、拳で受け止めたりしながら、隙を見て横なぎにモンスターを斬っていく。

 その動きは可憐で滑らかだった。

 その場にいた誰もが、セルティスの動きに魅了されてしまった。

 相当、努力を積み重ねて鍛えていたことがわかる。

 セルティスは、男性陣たちにじっと見られていることに気にも留めず、周囲を見回す。

 一度、倒したモンスターは起き上がってくる。

 となれば、どこかに親がいるはず。

 その親モンスターを倒せば、このモンスターたちはいなくなるはずと考えていた。

 ただ、親モンスターはここにいない。

 まだ、どこかに隠れているとみて、セルティスは五感に集中して感じとる。

 フーッと息を吐いた。

 脳をリラックスさせて、五感をフルに使う。

 目を閉じて自然の音を感じる。微かな音が聞こえる。

 ここだと思ったときに、セルティスはラグナロクを振り、炎が周辺を包む。

 ギィィィィィ

 隠れていたモンスターが倒れた。

このモンスターが親なのだろうか。

 イノシシの姿をしているのは同じだが、ほかのモンスターよりも体が大きかった。

 親モンスターは、そう簡単に倒れるとは思わなかったので、セルティスは構えた。

 親モンスターは、セルティスに向かって飛びかかってきた。鋭い牙と爪がセルティスを狙っていた。

 セルティスは、軽やかにジャンプすると、親モンスターにラグナロクを叩きつけた。

 親モンスターはセルティスの動きがわかってきてか、ラグナロクを爪で受け止めると、首に噛みついた。

 セルティスは躱すことができず、膝をついた。

「っ……」

 ホークはセルティスの可憐な動きに魅了されてしまって、ボーっとしていたが、ようやく我に返った。

「セルティス!」

 セルティスは大丈夫と合図を送る。

 ホークの肩に手を触れて声をかけた。

「ホークこそ大丈夫なのか?」

 セルティスに言われて、ホークは思い出したように傷口を見た。

「あぁ、大丈夫だ」

 ホークはセルティスを襲った親モンスターを睨みつけると、ダガーで隙を見て、刺そうと考えている。

 セルティスは周囲を見回して、一息ついた。

 とりあえず脱力しよう。

 体も緊張していては、身体も鈍る。

 力を入れるときは、その瞬間だけ。

 無理に力を入れなくても、きちんと腕や足に伝える体の使い方ができれば、入れる必要はない。

「多分、この親モンスターを倒さないと、雑魚のモンスターは消えない。あたしが親モンスターを何とかするから、ホーク、レビー、キーファー、ヴィンセントは、雑魚のモンスターを頼む。その間にあたしが親モンスターを倒す」

 セルティスの声に、ホークたちは頷く。

 ヴィンセントは、ブラッドソードから雷を放ち、その雷でモンスターを貫いていく。

 何匹も襲い掛かってくるが、そのたびにブラッドソードで受け止めて、仕留めていく。その動きは一瞬で、速攻を仕掛けているようだ。

 一方で、キーファーも2本のラプターソードをクロスさせ、攻撃を受け止めては、モンスターを斬っていき、水で周囲のモンスターを流し込む。

 キーファーは、駆け抜けていき、一気にラプターソードで何匹もモンスターを倒していく。

 レビーは蹴りを入れて、一時的にモンスターの動きを封じ込め、鋭い光を放って、拳でモンスターの身体に貫通させていく。

 レビーは一瞬でモンスターに近づき、1匹ずつ、確実にパンチやキックでモンスターに強烈なダメージを与える。

 ホークは1匹1匹に近づいて、ダガーを突き刺す。

 突き刺すと同時に氷を発生させてモンスターを凍結させていく。

 パリンッと氷が割れる音がすると、矢が身体中に刺さったような痛みが走る。

 セルティスは、ホークたちの様子を見て、親モンスターに集中して、親モンスターを早めに仕留めようと、ラグナロクを構えた。
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