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7章 操られた街 ブレイス

108話 キーファーとヴィンセント

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 セルティスとホークは、情報を得ようと歩き回っていたら、プレイスという街にたどり着いた。

 街が騒がしい。

 セルティスとホークは、顔を見合わせた。

 2人はゆっくりと進みながら、街の様子を探る。

 ドォーン

 音と同時に、セルティスとホークに何者かが襲いかかってきた。

 素早く横にジャンプして攻撃を躱す。

 襲ったのは、住民と見て間違いないだろう。

「なんだ、ここは」

 ホークはダガーを取り出す。

 街の人たちの目が生きていない。

 これでは、まるで奴隷だ。

 街の人たちは無表情で、機械的に動いている。

「操られているのか?」

 セルティスは、ラグナロクで襲ってくる街の人たちを抑えながら、周囲を見回した。

 あまり、街の人を殺すのは本意ではない。

 なるべく傷つけず、気絶させるだけになるように、セルティスはキックとパンチで攻撃していく。

「つっっ!」

殺したくないという思いから、セルティスは軽めに攻めていたが、油断した。

 中には街の人たちとは違う、モンスターが混ざっている。

 そのことに気が付かなかったセルティスは、上手く身体を捻って、ずらしたものの、頬にかすり傷を作った。

「セルティス!」

 さらにセルティスの目の前には爪。

 引っ掻く寸前、ホークが、ダガーで爪を刺す。

 その背後から、別のモンスターがホークを狙っている。

「ホーク、後ろ!」

 セルティスは咄嗟にホークの前に出て、ラグナロクで攻撃をガードした。

「街の人もモンスター化してるのか」

 セルティスは様子を見ながら、ラグナロクで躱す。

 あまり、殺したくはないから気絶させようと考えていたのが、甘かったかもしれない。

 この人たちは、モンスターと化しており、殺すことも覚悟しなければならない。

「ごめんっ!」

 セルティスは謝ってから、勢いよくモンスター化した街の人たちを斬っていく。

 モンスター化した街の人は、倒れたら姿が消えてしまった。

 セルティスは一気に片付けようと、ラグナロクを振り回した。

 炎がモンスター化した人たちを焼き尽くす。

 セルティスの様子を見て、ホークは安心した。

 セルティスらしさが戻ってきたような気がする。

「ホーク、なに、ボーッとしてるんだ?」

 ホークがじっと、セルティスを見ているので、不思議に思った。

「いや、何でもないよ、ちょっと安心した」

 ホークは、それだけ言うと、ダガーをモンスター化した人たちに突き刺す。

 一瞬、氷で固められ、氷の刃が牙を剥く。

 モンスター化した人たちは、氷の刃に突き刺されて倒れる。

 セルティスとホークは、この場にいるモンスター化した人たちを全員倒すと、さらに先へ進む。

 必ず、この街の人たちを操るボスがいるはずだ。

 セルティスたちは構えたまま、周囲に気を配りながら歩いていると、近くで声がする。

「ん?」

 ホークが声に気がついて、耳を澄ます。

「チッ、キリがない」

 男の声だ。

 ひとりではなさそうだ。

 剣を振る音が聞こえる。

 2人以上の人がモンスターと戦っている気配も感じてきた。

「セルティス、まだ、モンスターがいる」

 ホークは、セルティスに告げると、警戒しながら、声のする方へと近づく。

「あぁ」

 セルティスも気が付いていたようで、周囲を鋭い眼光で見ている。

「うあぁっ!!」

 1人の男が吹き飛ばされてきた。セルティスがその男に歩み寄る。

 その男はマッチョで、大柄な男だ。

 特に腕の筋肉はバキバキで太い。

 ラグビー選手のような体格だ。

「大丈夫か?」

 セルティスが声をかける。

 男は、セルティスにニッと笑った。

「女剣士さんかい。悪かったな、驚かせて」

 そう言って、すぐに立ち上がって、細剣、ラプターソードを2本を持ち直す。

 ただ、背中を強打したようで、痛そうにしていた。

「俺は、キーファー・オーウェン。女剣士さん、名前は?」

 セルティスはフッと息を吐いてから答える。

「セルティス・ガーデン」

 モンスターが、キーファーとセルティスに飛びかかる。

 セルティスは高くジャンプをして、真上からモンスターにラグナロクを振り下ろした。

「つっ!」

 同時にモンスターと素早い動きで、攻防戦を続けていたのは、ヴィンセント・エドワードという男だ。

 こちらは、見た目は穏やかそうに見える。

 また、キーファーと違って、細マッチョ。銀髪にブルーの瞳を持つ。

 キーファーがラグビー選手なら、ヴィンセントはサッカー選手だろうか。

 ヴィンセントは、激しい攻防戦を続けていたが、防御が間に合わなくて建物に突っ込み、窓ガラスが割れる。

 ホークは、ヴィンセントに気がついて、ヴィンセントを狙うモンスターにダガーを投げつけた。

「ありがとう」

 ヴィンセントは、ゆっくりと立ち上がって、首を捻った。

 ストレッチをする感覚だ。

 ストレッチの後、長剣、ブラッドソードを構える。

「あんた、名前は? 俺はヴィンセント・エドワード。巻き込んで悪かった」

「ホーク・キール。とりあえず、こいつら、何とかしないとな」

 ホークは言って、モンスターに飛びかかる。

 ダガーをグイッと深く突き刺す。

 モンスターは悲鳴を上げて倒れた。
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