103 / 239
6章 リックの過去と友人
第103話 苛立ち
しおりを挟む
カースはリックの言葉に目を細めた。
「ふざけんな! ミアの気持ちを無視してただろ!」
カースは長剣をリックの胸をめがけて振る。
リックは大剣、アルテマで長剣を受け止めて、長剣を振り払った。
「ミアは死ぬ間際、おまえのことも言ってたんだぞ!!」
リックの言うことを信じられなかったカースは、再び長剣を振って、リックの胸を横に斬っていく。
雷鳴が響き、リックに直撃する。
「うわぁぁぁぁ!!!!」
リックは思ったより、痛みが強くて耐えきれずに叫ぶ。
カースは長剣でリックの顎を持ち上げた。
「何を言っていた?」
カースの瞳は、死んでいるかのようだ。
リックは長剣を手で押さえると、ゆっくりと下ろす。
「ミアは、知っていた。おまえがミアのことを大切にしていること。思いを寄せていること」
「何?」
カースは眉をピクリとさせた。
ミアが知っていたということに、心の中では、衝撃を受けていたが、表には見せないようにした。
「だから、死ぬ間際、俺に言った。『本当はカースが私のこと想ってくれていること、知ってる。カースには感謝している。でも、私が好きなのは……』と」
「なんだと!? だったら、何故、正直に俺に言ってくれなかったんだ!! ずっと、振り向いてくれないくらいなら、正直に言ってフラれたかった!!」
カースは声を震わせながら、でも、ミアに対する怒りも出てきた。
ミアのその態度は誤解させる。たとえ、振り向いてくれなかったとしてもいい。
ただ、他に好きな人がいるならいるって言って欲しかった。
そのことも言わずに、振り向いてくれなかったのは、あまりにショックだ。
「おまえ、傷つきやすいから、ミアは言えなかったんだ。言おうとしたけれど、傷つけないように伝えるにはどうしたらいいか、ずっと考えていた」
リックは少し息も整ってきて、ゆっくりと構え直す。
カースは長剣で斜めに、リックを斬りつける。
リックは瞬時にアルテマを振って、長剣を止めた。
「もういい!! ミアもおまえも裏切ったようなもんだ!!」
カースの怒りが爆発した。
強引にリックを押し倒すと、長剣を振り上げた。
雷がリックを襲う。
リックは倒れたまま、息を整える。ダメージが大きすぎて、すぐには息が整わない。
ゆっくりとした深呼吸を何度か繰り返す。
横隔膜を使った腹式呼吸を意識しながら、息が整うのを待つ。
その間がチャンスとカースは、リックを本気で殺そうとした。
長剣で腹を少しずつ深く抉っていく。
「うぁっっ」
血がポタポタと地面に落ちていく。
「もっと、苦しめ!」
カースは、更に深く抉っていく。
でも、一気には刺さない。
奥深くを長剣で探るように、グイグイと徐々に刺す。
その様子を見ていたレビーは静かに、カースの背後に忍び寄った。
気配を消してカースの背後に回ったレビーは、背中に飛びながら蹴りを入れて、よろめいたことを確認し、鳩尾にパンチをする。
光がバチバチと音を立てて、強力なパンチがさく裂した。
カースはレビーの気配には全く気がついていなかったため、全く反応ができなかった。
「まだ、生きてたか」
カースは唾を吐きながら、レビーに長剣を向けた。
レビーは指をボキボキ鳴らしながら、舌打ちした。
「さっきから聞いてりゃ、おまえは、ただ、嫉妬してるだけじゃねぇか!! 本当はリックのほうが何でもできて、モテて羨ましいんだろ? それが許せないんだよな」
レビーの言葉に、カースはムッとする。
それは、図星をつかれた証拠だ。
「おまえは関係ないだろ! おまえに何がわかるんだ!?」
長剣でレビーの肩を貫こうとする。
レビーは、その長剣をロイター版のように使って踏み込み、高くジャンプした。
その勢いで、飛び膝蹴りをした。
カースはレビーの肩を貫くことはできなかった。
レビーの動きが全く想像できない。
まさか、自分の長剣をバネにしてジャンプするとは、考えもしない。
「貴様……」
カースはレビーを睨み付けた。
レビーは、そんなカースを冷静に見ている。
「俺は、おまえのことなんか知らないし、わかる気もない。でも、おまえの嫉妬だけで、リックを傷つけるなら、俺は許さない。仲間だからな」
レビーは、カースの顎を狙ってアッパーパンチをする。
カースは、顎が下から突き上げられる感覚を覚えた。
そのパンチも強力で、バランスを崩して耐えられず、ダウンした。
「ふざけんな! ミアの気持ちを無視してただろ!」
カースは長剣をリックの胸をめがけて振る。
リックは大剣、アルテマで長剣を受け止めて、長剣を振り払った。
「ミアは死ぬ間際、おまえのことも言ってたんだぞ!!」
リックの言うことを信じられなかったカースは、再び長剣を振って、リックの胸を横に斬っていく。
雷鳴が響き、リックに直撃する。
「うわぁぁぁぁ!!!!」
リックは思ったより、痛みが強くて耐えきれずに叫ぶ。
カースは長剣でリックの顎を持ち上げた。
「何を言っていた?」
カースの瞳は、死んでいるかのようだ。
リックは長剣を手で押さえると、ゆっくりと下ろす。
「ミアは、知っていた。おまえがミアのことを大切にしていること。思いを寄せていること」
「何?」
カースは眉をピクリとさせた。
ミアが知っていたということに、心の中では、衝撃を受けていたが、表には見せないようにした。
「だから、死ぬ間際、俺に言った。『本当はカースが私のこと想ってくれていること、知ってる。カースには感謝している。でも、私が好きなのは……』と」
「なんだと!? だったら、何故、正直に俺に言ってくれなかったんだ!! ずっと、振り向いてくれないくらいなら、正直に言ってフラれたかった!!」
カースは声を震わせながら、でも、ミアに対する怒りも出てきた。
ミアのその態度は誤解させる。たとえ、振り向いてくれなかったとしてもいい。
ただ、他に好きな人がいるならいるって言って欲しかった。
そのことも言わずに、振り向いてくれなかったのは、あまりにショックだ。
「おまえ、傷つきやすいから、ミアは言えなかったんだ。言おうとしたけれど、傷つけないように伝えるにはどうしたらいいか、ずっと考えていた」
リックは少し息も整ってきて、ゆっくりと構え直す。
カースは長剣で斜めに、リックを斬りつける。
リックは瞬時にアルテマを振って、長剣を止めた。
「もういい!! ミアもおまえも裏切ったようなもんだ!!」
カースの怒りが爆発した。
強引にリックを押し倒すと、長剣を振り上げた。
雷がリックを襲う。
リックは倒れたまま、息を整える。ダメージが大きすぎて、すぐには息が整わない。
ゆっくりとした深呼吸を何度か繰り返す。
横隔膜を使った腹式呼吸を意識しながら、息が整うのを待つ。
その間がチャンスとカースは、リックを本気で殺そうとした。
長剣で腹を少しずつ深く抉っていく。
「うぁっっ」
血がポタポタと地面に落ちていく。
「もっと、苦しめ!」
カースは、更に深く抉っていく。
でも、一気には刺さない。
奥深くを長剣で探るように、グイグイと徐々に刺す。
その様子を見ていたレビーは静かに、カースの背後に忍び寄った。
気配を消してカースの背後に回ったレビーは、背中に飛びながら蹴りを入れて、よろめいたことを確認し、鳩尾にパンチをする。
光がバチバチと音を立てて、強力なパンチがさく裂した。
カースはレビーの気配には全く気がついていなかったため、全く反応ができなかった。
「まだ、生きてたか」
カースは唾を吐きながら、レビーに長剣を向けた。
レビーは指をボキボキ鳴らしながら、舌打ちした。
「さっきから聞いてりゃ、おまえは、ただ、嫉妬してるだけじゃねぇか!! 本当はリックのほうが何でもできて、モテて羨ましいんだろ? それが許せないんだよな」
レビーの言葉に、カースはムッとする。
それは、図星をつかれた証拠だ。
「おまえは関係ないだろ! おまえに何がわかるんだ!?」
長剣でレビーの肩を貫こうとする。
レビーは、その長剣をロイター版のように使って踏み込み、高くジャンプした。
その勢いで、飛び膝蹴りをした。
カースはレビーの肩を貫くことはできなかった。
レビーの動きが全く想像できない。
まさか、自分の長剣をバネにしてジャンプするとは、考えもしない。
「貴様……」
カースはレビーを睨み付けた。
レビーは、そんなカースを冷静に見ている。
「俺は、おまえのことなんか知らないし、わかる気もない。でも、おまえの嫉妬だけで、リックを傷つけるなら、俺は許さない。仲間だからな」
レビーは、カースの顎を狙ってアッパーパンチをする。
カースは、顎が下から突き上げられる感覚を覚えた。
そのパンチも強力で、バランスを崩して耐えられず、ダウンした。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
奴隷勇者の異世界譚~勇者の奴隷は勇者で魔王~
Takachiho
ファンタジー
*本編完結済み。不定期で番外編や後日談を更新しています。
中学生の羽月仁(はづきじん)は勇者として異世界に召喚され、大切なものたちを守れないまま元の世界に送還された。送還後、夢での出来事だったかのように思い出が薄れていく中、自らの無力さと、召喚者である王女にもらった指輪だけが残った。
3年後、高校生になった仁は、お気に入りのアニメのヒロインを演じた人気女子高生声優アーティスト、佐山玲奈(さやまれな)のニューシングル発売記念握手会に参加した。仁の手が玲奈に握られたとき、玲奈の足元を中心に魔法陣が広がり、2人は異世界に召喚されてしまう。
かつて勇者として召喚された少年は、再び同じ世界に召喚された。新たな勇者・玲奈の奴隷として――
*この作品は小説家になろうでも掲載しています。
*2017/08/10 サブタイトルを付けました。内容に変更はありません。
ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません
野村にれ
恋愛
人としての限界に達していたヨルレアンは、
婚約者であるエルドール第二王子殿下に理不尽とも思える注意を受け、
話の流れから婚約を解消という話にまでなった。
ヨルレアンは自分の立場のために頑張っていたが、
絶対に婚約を解消しようと拳を上げる。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
型録通販から始まる、追放令嬢のスローライフ
呑兵衛和尚
ファンタジー
旧題:型録通販から始まる、追放された侯爵令嬢のスローライフ
第15回ファンタジー小説大賞【ユニーク異世界ライフ賞】受賞作です。
8月下旬に第一巻が発売されます。
300年前に世界を救った勇者達がいた。
その勇者達の血筋は、三百年経った今も受け継がれている。
勇者の血筋の一つ『アーレスト侯爵家』に生まれたクリスティン・アーレストは、ある日突然、家を追い出されてしまう。
「はぁ……あの継母の差し金ですよね……どうしましょうか」
侯爵家を放逐された時に、父から譲り受けた一つの指輪。
それは、クリスティンの中に眠っていた力を目覚めさせた。
「これは……型録通販? 勇者の力?」
クリスティンは、異世界からさまざまなアイテムをお取り寄せできる『型録通販』スキルを駆使して、大商人への道を歩み始める。
一方同じ頃、新たに召喚された勇者は、窮地に陥っていた。
「米が食いたい」
「チョコレート食べたい」
「スマホのバッテリーが切れそう」
「銃(チャカ)の弾が足りない」
果たして勇者達は、クリスティンと出会うことができるのか?
・毎週水曜日と土曜日の更新ですが、それ以外にも不定期に更新しますのでご了承ください。
魔王の娘に花束を~落ちこぼれ剣士と世界を変える小さな約束~
結葉 天樹
ファンタジー
それは、人と魔族が対立する世界の話。
豊富な魔力で行使する破壊の力「魔法」を用いる魔族。
わずかな魔力を効率的に運用する技法「魔術」と剣技を組み合わせて戦う人間。
長い間続いていた戦いは遂に魔族の長、「魔王」との決戦までたどり着いていた。
まもなく始まる魔王討伐戦。それを前にとある女性に騎士団への招集がかかる。
彼女の名はトウカ=フロスファミリア。王国屈指の騎士の家の出身でありながら家を追われた存在。
対して姉のオウカは王国騎士団の実力者。
共に歩んだ道はいつしか分かれ、修復不能なほどに壊れた仲のまま二人は討伐戦へ突入していく。
そこで出会うものが二人と世界を変える存在と知らずに。
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
転生幼児は夢いっぱい
meimei
ファンタジー
日本に生まれてかれこれ27年大学も出て希望の職業にもつき順風満帆なはずだった男は、
ある日親友だと思っていた男に手柄を横取りされ左遷されてしまう。左遷された所はとても忙しい部署で。ほぼ不眠不休…の生活の末、気がつくとどうやら亡くなったらしい??
らしいというのも……前世を思い出したのは
転生して5年経ってから。そう…5歳の誕生日の日にだった。
これは秘匿された出自を知らないまま、
チートしつつ異世界を楽しむ男の話である!
☆これは作者の妄想によるフィクションであり、登場するもの全てが架空の産物です。
誤字脱字には優しく軽く流していただけると嬉しいです。
☆ファンタジーカップありがとうございました!!(*^^*)
今後ともよろしくお願い致します🍀
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる