女剣士セルティス

6章 リックの過去と友人

第93話 故郷の再現

　ミラトは杖で風を操り、モンスターを吹き飛ばしていく。

「どういうこと？　リックの故郷は破壊されたの？」

　ミラトは、そう言いながら、杖で次々とモンスターを倒した。

　それにしてもモンスターの数が多い。

　一気にモンスターに攻撃していくのだが、次から次へと襲ってくるから、キリがない。


　ホークはホークで、ダガーを突き刺しながら、モンスターを倒していく。

　街の人として、人間に溶け込んでいた、このモンスターたちは、そんなに強いモンスターではない。

　だが、どれだけの数がいるのだろう。

　一気に倒すには、どれだけの時間を要するのか。

　簡単に一気に倒すことができれば、無駄な体力も使わないで済む。


　セルティスは、ラグナロクを振り回して、炎を作り出し、モンスターを同時に30体ほど倒していくが、次から次へとやってくる。

　ざっと見ても、3000体はいるような気がする。

　このやり方で、少しずつ倒していくしかないのか。

　試行錯誤しながら、一気に倒せる方法を探った。


　リックは、アルテマで、一気に、なぎ倒す。

　その勢いは凄まじい。

　アルテマから土を浮かび上がらせて、その土が剣のように刺していく。

　どういうことだろうか。

　この街は幻なのか、それとも、知らないうちに復興でもしたのか。

　それにしても、おかしい。

　昔の、リックの幼い頃の記憶に残る街と、そっくり同じということに違和感がある。


　「せっかく、おまえの故郷を再現してやったのに、怖い顔してるな」

　どこからか、声がする。

　セルティスが振り返ったとき、モンスターが襲ってきて、ラグナロクで、横なぎに斬りながら、声の主に視線を向ける。

「誰だ！？」

　声の主は、茶髪で長剣を持っている。

「おまえのことも話に聞いてるよ、セルティスちゃん。あとで、じっくり遊んでやる」

　その声の主は、セルティスの顎を持ち上げて、笑みを浮かべると、リックのほうに歩いて行った。

「……おまえ、死んだんじゃなかったのか？」

　リックは声の主を見るなり、目を丸くした。

　声の主の名はカース。

　カースは、リックの驚いた顔を見て、豪快に笑った。

「そりゃ、そうだよなぁ、あの時、死んだって思っただろ？」

　カースの言葉に、リックはアルテマを落としそうになる。

　そう、カースの言うように、傭兵として働き始めたころ、一緒に行動を共にしていた。

　だが、ある仕事で、カースは犠牲になり、命を落としたはずだ。

　そのカースが目の前にいる。

　リックは、どういう状況なのか把握できなかった。


　ホークは、モンスターを倒しながら、リックの様子を見て、声をかけた。

「リック、どうした？」

　ホークの声に、ハッとしたリックは、構えながらカースに問う。

「どういうことなんだ？　おまえは生きていたのか？　それに街を再現したというのは？」

　カースは長剣をリックに向けた。

「教えてやろう。この街は、おまえの故郷を再現するために、作ったのさ。おまえがどんな反応をするか見たくてな。だけど、すぐに偽物だと気づくあたりは、おまえらしいな。勘が良い」

　カースはゆっくりと、リックに近づいた。

「それと、俺は1回、死んだ。でも、生まれ変わったんだ。四天王様が生き返らせてくれた。俺の血液と細胞を使って、モンスターとしてな」

　カースはそう言うと、素早く長剣をリックに振り下ろす。その瞬間、雷が落ちて、リックを直撃した。

「うわぁぁぁ！」

リックは膝をついて、息を激しく切らした。