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5章 夜の街、ブラックタウンに潜む闇

第75話 デート?

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 セルティスとホークは四天王の情報を求めて、歩き回って、全く知らない街にやってきた。

 地図に載っていたかと疑問に思うほど知らない街だ。

 この街は、昼間だというのに人の気配がない。お店もほぼ閉まっている。

「人がいない」

 セルティスはあまりに街の人がいないので、襲われたのかと想像してしまった。

 しかし、襲われたのなら、街もメチャクチャになっているはずだ。

 街は破壊されている様子はない。

「……」

 ホークはふと壁を見る。

 壁を見るなり呆然とした。

 その壁にはお店の看板らしきものが並んでいる。

 どれもが風俗のお店の看板。

ここは夜の街で昼間は眠っているのだ。

 ホークは夜の街が苦手だ。

「……この街は夜に活動するのか」

 セルティスも気がついたようだ。

「ここは何もなさそうだな」

 ホークはそう言って、辺りを見回す。

「こっち、行ってみよう」

 ホークに言われて、セルティスも頷いた。

 夜の街を出て、次に来た街は昼間から忙しない。

 ティアール街という街だ。

「こっちはバタバタしてるな……」

 ホークは落ち着けないなと感じながらも様子を見る。

「ん?」

 ホークの背中に何かが触れた。

 ホークはセルティスに背中から抱きしめられる形となっている。

「セルティス…どうした?」

 ホークはセルティスを離して振り返った。

「ご…ごめん…つまずいた…」

 セルティスは恥ずかしそうにしている。

「え? セルティス、大丈夫か?」

 つまづくようなものはない。

 だから、セルティスがつまづいた理由がわからなかった。

「セルティス、もしかして熱でもあるのか?」

 ホークは心配になって顔を覗き込み、セルティスの額に手を当てる。

「え……熱なんてないよ……」

 セルティスは顔が熱くなってしまった。

「うーん、熱はなさそうだな」

 ホークはセルティスをじっと見ている。

「大丈夫か? 無理なら無理って言えよ?」

 セルティスはホークに言われて、笑みがこぼれた。

 優しくしてくれることと心配してくれることが嬉しかった。

「ありがとう、心配してくれて。嬉しい」

「……何言ってんだ、セルティス。何もないところでつまづいたら、誰だって心配になるぞ」

 ホークはコツンとセルティスの額を叩いた。

「……そうだよな……いつも仲間がいたけれど、2人きりだからドキドキしちゃって。緊張が……」

 セルティスは小声でボソッと呟いた。

「何を今さら……まぁ、俺はセルティスの全てがかわいくて好きだけどな」

 ホークはサラッと言った。

「えっ?」

 セルティスは口を開けてぽかんとしている。

 何故、サラッと言う……

 そんなやりとりをしていたら、街の人が声をかけてきた。

「そこのカップルさん」

 セルティスとホークは口をそろえた。

「カップル……」

「そうじゃよ、君たちじゃ」

 セルティスとホークに話しかけてきたのは、老人だ。

「君たち、旅人じゃろ? 買っていってくれよ」

 老人はそう言って、アイテムを指さした。

 アイテムは回復薬や武器やら防具が揃っている。

 セルティスとホークは、回復薬を買っていくことにした。

 何かと戦いが多いので、回復薬は必要だ。

「ありがとよ、カップルさん、それともう一つ、これは話で聞いたことなんじゃが」
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