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1章 セルティスと仲間たち

第12話 かっこいい剣士

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 セルティスはアランを探しに、宮殿の跡があるという場所に向かっている。

 マスターによれば、現在、宮殿の跡には、宮殿があったという。

 当時、アランの両親は、その宮殿で四天王との激闘をした。

 その話を聞き、セルティスも行ってみることにした。

 セルティスは足早に宮殿の跡へと歩く。

「昨日のこと、まだ怒っているのか?」

 ホークはセルティスの機嫌を覗っている。

 セルティスはため息をつく。

 ホークと会ってから、何度ため息をついたのだろう。

「怒ってない。あんただって、本当は辛いんだろ。恋人を失くして」

「……」

 ホークは図星を突かれた。

 冗談も言えなくなった。

 セルティスはボソッと答えた。

「よく、その状態で明るく振る舞えるな」
 
 ホークはセルティスの言葉をしっかり聞きとっていた。

「気が紛れるからな。それに俺が暗くなったら、あいつも落ち込むと思ってさ」

 セルティスはホークに聞こえていたことに驚いていた。

「そうか」

 それ以上、セルティスは何も言わなかった。

 ホークは、セルティスに笑顔を向けた。

「ありがとうな、セルティス」

 セルティスは一瞬、ドキッとした。

 何故、照れたのかわからなかったが、悪い気はしない。

 数分後、セルティスとホークは、宮殿の跡らしき場所へとたどり着いた。

 誰かが来たのだろう。

 倒れているモンスターをよけながら歩いていく。

「誰か、ここに来たのか…?」

 ホークは周囲を見回した。

 宮殿の跡は、ほとんど原型が残っていない。

 焼け野原となっている。

 ガサッ

 何か音がする。

 セルティスは静かに音のするほうへと向かおうとした。

 ギィィィィィ!!!!

 変な音と共にモンスターがセルティスとホークを狙った。

 素早くジャンプしてよけたセルティスは、ラグナロクを振って一撃でモンスターを倒していく。

 ホークもダガーでモンスターを突き刺しながら、モンスターを倒していく。

 すると、アランだろうか。少年らしき人物が倒れているのを発見した。

「おいっ!」

 ホークがアランのほうへ駆け寄ろうとした時だった。

 鋭い爪がホークの胸を抉ろうとする。瞬時に転がって爪を避けた。

 ホークを狙ったのは、ハルだった。

「誰だ、邪魔をした奴は?」

 ホークの目の前にゆっくりとハルが姿を現す。

「誰だ!?」

 ホークはハルを睨み付けた。ハルは口角を上げた。

「俺はハル。そいつは俺の獲物だ」

 そう言って、ホークに爪を立てる。

 その爪は一瞬にしてホークの胸を突き刺そうとする。

 ホークはその一瞬の動きを見て、横に飛ぶ。

 ピッ

 頬に掠った感覚がある。ホークは舌打ちをする。

(一瞬にして爪を食い込ませる……)

 ホークはハルと間合いをとり、ハルの様子を観察する。

 その時だった。アランらしき少年の声がする。

「……誰だ……?」

 微かな声で聞きとれない。

 アランは無理矢理立ち上がった。

 フラフラな身体で手裏剣をハルに投げつけようとした。

その瞬間、ハルの爪がアランのお腹を狙ってくる。

 アランは覚悟した。

 もう死ぬかもしれないと。

 その時だった。ラグナロクから炎が放たれた。

 ラグナロクは炎の剣となってハルを斬っていく。

 アランの目の前にはセルティスの姿がある。

 セルティスがハルに一撃を与えたことにアランは驚いた。

(……俺は、あいつに一撃も食らわすことができなかったのに……)

 セルティスはハルを睨み付けた。

「ホーク、その少年を頼む」

 ホークは急にふられて驚いた。

「お……おう……」

 ホークはアランのケガの様子を見て、素早く応急処置をした。

 アランは呆然とセルティスを見ている。

「すげぇ……一撃さえ与えられなかったのにあの女剣士……」

 素直に口にした。

 ホークはフッと笑った。

「セルティス。かっこいい剣士だよな」

 間を置いてから続ける。

「俺はホーク、君がアランか?」

 アランは頷いた。

「セルティスっていうのか……? あの女剣士……」

 ホークは曖昧な返事をした。

「あぁ……どうした?」

 セルティスに興味を示すアランに驚愕した。

「かっこいい……! セルティスか」

 アランの一言に、ホークは思わず吹き出した。
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